著者
原口 友也 松木 秀多 竹中 千瑛 山本 北斗 村田 安哲 成瀬 涼 伊藤 晴倫 西川 晋平 板本 和仁
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1+2, pp.1-7, 2018 (Released:2018-12-08)
参考文献数
15

健常ビーグル犬およびイヌ口腔内腫瘍症例(各5頭)で、頭頸部のCTリンパ管造影(CTLG)を実施した。健常ビーグル犬では多くの個体で投与部位と同側の下顎リンパ節がSLNであったが下顎吻側では左右下顎リンパ節がSLNである個体が存在した。また、症例では内側咽頭後リンパ節がSLNである個体が確認された。このようにイヌ頭頸部リンパ流には個体差があるため、CTLGは術前計画に有用な情報であると考えられた。
著者
村田 安哲 板本 和仁 磯崎 恒洋 原口 友也 西川 晋平 檜山 雅人 谷 健二 井芹 俊恵 伊藤 晴倫 中市 統三 田浦 保穂
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1+2, pp.10-14, 2019 (Released:2020-05-08)
参考文献数
12

我々は膀胱から尿道に渡る移行上皮癌と診断された症例に遭遇した。症例に対し、膀胱と尿道の全摘出術を適用し、排尿機能維持のために小腸の一部を用いて導管を作成、腹壁への尿路変更を実施した。術直後から良好な尿流出を認め、造影X線CT検査では小腸導管は造影効果が認められ、血流は良好であることと良好な尿の排出が確認された。術後397日の定期検査では全身状態は良好に維持されていたが、術後495日目に斃死した。下部尿路系の移行上皮癌に対し、獣医学領域における新たな治療法が示唆された。
著者
原口 友也 板本 和仁 原田 秀明 谷 健二 仲澤 宏 田浦 保穂
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-5, 2011 (Released:2011-10-18)
参考文献数
10

2歳齢、雄のアメリカン・コッカー・スパニエルが慢性鼻出血を主訴に来院した。X線CT検査で真菌感染症が強く疑われたが、生検・培養検査・血清学検査で真菌感染を証明できなかったため、左鼻腔・前頭洞切開術を実施し鼻腔粘膜を切除した。切除した粘膜組織は病理組織検査により、真菌性肉芽腫と診断されたため、抗真菌剤の投与を行った。その結果、本症例は3年4ヵ月以上再発を認めずに生存している。以上より、X線CT検査で真菌感染症の特徴的な所見が得られた場合は、検査で感染が証明されなくても、診断・治療のために適切な鼻腔や前頭洞切開による鼻粘膜の生検が必要であると考えられた。
著者
原口 友也 中島 敦 木村 志穂 伊藤 晴倫 小坂 周平 松木 秀多 西川 晋平 板本 和仁
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1+2, pp.8-13, 2018 (Released:2018-12-08)
参考文献数
16

腹腔鏡・内視鏡合同手術(Laparoscopy and endoscopy cooperative surgery:LECS)は、ヒト早期胃粘膜下腫瘍に対する胃局所切除術のための新しい術式として考案され有用性が認められているが、獣医療においては一般的な手術法ではない。本検討では、健常ビーグル犬を用いLECS予防的胃固定術の有用性を評価した。LECS予防的胃固定術は他の胃固定術と比較して、よりシンプルで容易な術式であり、周術期合併症も認められなかった。そのためLECSは、安全性が高く侵襲度が低く、予防的胃固定術の術式として有用性が高いと考えられた。しかし、本検討は実験動物を用いて行っているため、今後は症例において有用性を評価する必要があると考えられた。
著者
三浦 京夏 原口 友也 小田 康喬 西川 晋平 谷 健二 下川 孝子 下山 由美子 板本 和仁
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1+2, pp.14-19, 2018 (Released:2018-12-08)
参考文献数
12

被嚢性腹膜硬化症(Encapsulating peritoneal sclerosis:EPS)とは、腹腔内臓器周囲の線維性硬化と癒着を特徴とする稀な疾患である。今回、我々はEPSを疑うイヌ3症例において画像診断を実施したところ、ヒトと同様に臓器を被覆する肥厚した被膜や、消化管の集束などの特徴的な所見が得られた。また、各症例に外科的/内科的な治療を実施した結果、その予後はヒトと同様、外科的整復の成績に左右される可能性が示唆された。
著者
仲澤 宏 伊藤 良樹 谷 健二 板本 和仁 土橋 英理 原口 友也 田浦 保穂 中市 統三
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.29-34, 2011 (Released:2012-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

11歳の雌の柴犬が2ヵ月前からの頻回の嘔吐を主訴に当院を紹介来院した。初診時、ボディコンディションスコア(BCS):3/9、X線CT検査において胃の拡張と幽門部の胃壁の肥厚、内視鏡検査において幽門部の腫瘤病変が認められ、内視鏡下生検では胃腺癌が強く疑われた。内科的な入院管理の後、幽門部の腫瘤を含む遠位約1/3の胃と十二指腸を約1.5 cm切除し、ビルロート II法による消化管の再建を行った。手術によって摘出した腫瘤の病理組織学的診断は胃腺癌であった。症例は術後合併症や再発の兆候もなく、術後約7ヵ月の現在も良好に維持されており、QOLの向上のためにも、転移を示唆する所見がない症例では積極的な切除を試みることが重要であると考えられた。