著者
斎藤 隆文 吉田 典正 原田 利宣 今間 俊博
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,CGや意匠デザインで用いる曲面形状を,鏡面・拡散反射による見栄えを包括的に考慮して生成・制御することを目的としたものである.鏡面反射による良好な映り込み形状を得るための,対数美的曲面の形状パラメータに関する知見を得るとともに,対話的制御法を提案した.また,より理想的な曲面集合として,完全対数美的曲面を提案した.アニメ調描画で用いる,拡散反射とセルシェーディングによる段階的陰影形状に関して,屈曲や波打ちの原因を明らかにし,滑らかで単純な陰影形状を得るための陰影付け方法を提案した.その他,見栄えを良くする形状処理技術に関して,種々の成果を得た.
著者
宮尾 和樹 原田 利宣
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.81-90, 2008-05-31

近年,ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下,SNS)のユーザ数は急速に増加している。しかし多くのSNSサイトは汎用性を重視しており,すべてのユーザにとって必ずしも便利なものにはなっていない。そこで,本研究では,SNSサイトユーザ(以下,ユーザ)の価値観と利用機能等の関係を明らかにし,ユーザの価値観に対して最適なSNSサイトのプロトタイプの構築を目的とした。まず国内で運用中のSNSサイト,44サイトを数量化理論第III類とクラスター分析によって4つのクラスターに分類した。次に被験者101名に対し実験計画法を用いて作成した9つのサンプルに対する評価,SNSサイトの利用目的とSNSに対する印象に関するアンケートを行った。さらに利用目的で被験者を分類し,利用目的と各被験者クラスターが欲する機能との関係を明らかにした。以上の結果からSNSプロトタイプを作成し,検証実験を行った結果,機能の最適化により被験者クラスターの選好を制御できる可能性が示された。
著者
吉本 富士市 原田 利宣 高木 佐恵子 岩崎 慶
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

描画の素人にとって,高品質な絵を描くことは容易ではない.コンピュータの支援により,素人が高品質な作品を容易に製作できれば,多くの人にとって福音となる.しかし,絵の一般的な評価基準を作り,それに基づいて素人の絵を評価・修正することは極めてむずかしい.そこで本研究では描画の初心者が,コンピュータを用いて心地よい手描き風曲線を生成するための支援システムと,それらの周辺の研究を行った.その成果の要点は以下のとおりである.まず,手描き風曲線の形とともに太さを玄人風に表現する,手描き風曲線の生成支援システムを研究した.手描き曲線の輪郭線の骨格から手描きの概形的特徴をフラクタル次元と曲率の符号変化数で抽出する.骨格線から輪郭線の縁までの距離をフーリエ変換して,そのスペクトルの高周波領域から太さの特徴を抽出する.それらについて,素人の特徴を玄人の特徴に近づけることにより,高品質な手描き風曲線を生成する.プロトタイプシステムを開発して評価実験を行った.その結果,玄人が描いた手描き曲線の特徴を用いて,素人が描いたぎこちない手描き曲線の概形的特徴を残しつつ,高品質な手描き風曲線を生成できることがわかった.また,周辺研究として以下の研究を行った.1.モバイル環境で素人が手軽に美しいイラストを作成するシステムを開発した.2.曲率半径と周波数分析を用いた人形の顔を構成する曲線の特徴解析3.VRシステムを用いた自動車コンフィギュレーション印象評価4.日本刀の曲線の性質を解析し,どのような共通点があるかを調べた.5.カーナビの情報デザインを構成する要素とユーザが持つ印象との関係を明確化した.
著者
原田 利宣
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

A)曲線(面),面構造に関する研究今日,ゲームやアニメ作品等で存在する2次元キャラクターを3次元CGや立体造形(フィギュアと呼ぶ)する傾向にある.人の顔を立体造形する技術の需要は増加傾向にあるが,その造形様式は漠然と存在している.そこで本研究では人の顔を表した造形物の中より日本人形,フィギュアおよびリカちゃん人形に着目し,これらを事例として取り上げ,3次元モデルと2次元画像の輪郭線の関係性を調査と事例に基づくキャラクターデザイン支援システムの作成を目的とした.まず,人形の顔の造形にはどのような相違があり,またどのように人の顔を抽象化しているかを明らかにした.次に,日本人形と浮世絵,フィギュアと2次元アニメキャラクターの顔の輪郭線の関係性を調査した.さらに,得られた人形の特徴を用いて,ある任意の人の顔の特徴を付加した人形の顔の断面線を出力するデザイン支援システムを作成した.B)システムの推論部に関する研究自動車の印象に対して,その設計において最も重要である最適なコンフィギュレーション項目を抽出する逆問題を解くことは,従来からいくつかの研究において行われてきた.このような感性に関する問題を扱うためには非線形問題を解く必要がある.しかし,非線形問題を扱うことができるラフ集合を用いた研究例は少ない.そこで,本研究ではこの逆問題を解くための手法としてラフ集合を適用した.また,本研究ではラフ集合を使用することにより非線形最適解の特徴の明確化と,実験計画法による線形最適解と非線形最適解の比較を目的とした.具体的には,C.I.値の高い決定ルール条件部と実験計画法による主効果の値の高い属性値を比較した.さらに,両方の解の特徴を考察し,それぞれの特徴を明らかにすることができた.最後に,両方の最適解の視覚化によりデザイン支援を行うシステムを開発した.
著者
井上 拓也 原田 利宣 榎本 雄介 森 典彦
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.11-18, 2002-09-30
被引用文献数
7

商品企画者やデザイナーには,製品の形態要素とイメージとの関係を知識として得たいという要望がある.また,近年,ある結果(例えばイメージ)を成立させるための最も少ないカテゴリー(形態要素)の組み合わせを得ることができるラフ集合(Pawlak,1982)が注目されている.そこで,本研究では自動車のフロントマスクデザインをケーススタディとし,ラフ集合を用いて形態要素とイメージとの関係を明らかにし,デザインコンセプト立案への応用を試みることを目的とした.以下の3つに関して研究を行った.(1)ラフ集合による縮約と数量化理論第II類との推論結果比較を行った.(2)縮約併合アルゴリズムによるデザインシミュレーションを行った.(3)多人数における縮約併合アルゴリズムの開発を行った.その結果,ラフ集合によって得られる縮約やそれら縮約の併合により,デザインコンセプトへ用いることができる知識の獲得が可能であることが考察された.