著者
古別府 ひづる
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.143, pp.60-71, 2009 (Released:2017-04-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本稿では,大学日本語教員養成における二人の海外日本語アシスタントの成長を,良き日本語教師観の変容という視点を中心に,PAC分析と半構造化面接の方法を用いて示す。 調査の結果,双方の渡航前と帰国後の良き日本語教師観に変化があった。帰国後の双方の変化として,派遣先の日本語教師の影響が強く出ていることがわかった。帰国後の,双方に共通の良き日本語教師観として,教室運営力と明るい人間性が挙げられた。さらに,二人の成長のプロセスには,共通点と異なる点が見られた。また,アシスタント以外のホームステイ等の体験が成長に関わることが考えられた。 これらの結果は,大学日本語教員養成の実習の延長線上にある日本語アシスタントの事前教育及び資質の特定に寄与すると考える。
著者
古別府 ひづる
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.170, pp.107-121, 2018 (Released:2020-08-26)
参考文献数
13

本研究の目的は,英語圏中等教育機関の日本語教師が求める日本語アシスタント (以下,JA) の資質を明らかにすることである。質問紙調査より日本語教師212名の回答が得られた。データを因子分析にかけた結果,「教師の専門性と英語力と規律」「日本語教授者の基本的態度」「明るい人間性」「勤勉さと役割認識」の4因子が抽出された。うち,JAに強く求められる因子とそうでない因子,教師と共通の因子,JAに特徴的な因子が挙げられた。次に,4因子と教師の語学アシスタント (以下,LA) 経験有無とJA受入希望有無との関係を探るためノンパラメトリック検定を行った。結果,「教師の専門性と英語力と規律」の因子に有意差があり,LA経験有無とJA受入希望有無は,JAと教師の区別の認識に重要な要因であることがわかった。また,JA受入希望者が多い一方,JAと教師の区別が明確でない者も多いことが指摘できた。本結果は,海外JA活用の基礎的な指標を示したと考える。
著者
古別府 ひづる
出版者
日本インターンシップ学会
雑誌
年報 (ISSN:18811663)
巻号頁・発行日
no.14, pp.27-34, 2011-12-25

本稿では、大学日本語教員養成における海外日本語アシスタントの「社会人基礎力」が、日本語アシスタントの段階及び社会に出て起業した段階において、どのように発揮されたかを、被調査者1名のケーススタディとして示すことを試みた。PAC分析(個人別態度構造分析)と半構造化面接の手法を用いて調査した結果、「社会人基礎力」を誘発し、継続させる内発的要因として、未知への関心、自分の才能、周囲の期待、志などの自尊心を支えるものと、失敗や現状不満が、注目すべき変数として抽出できた。さらに、海外日本語アシスタントの特性として、パラフレーズする(言い換える)ことや多様性への関心が挙げられた。また、海外日本語アシスタントの「社会人基礎力」の外発的誘因として、格闘せざるを得ない環境や期間が、「問題の埋め込まれた情況」を生み出し、「社会人基礎力」を育成すると考えられた。これらの結果は、大学における「社会人基礎力」育成の場面の創出の手掛かりとなると考える。