- 著者
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古谷 彰子
三星 沙織
平尾 和子
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
- 巻号頁・発行日
- pp.50, 2015 (Released:2015-08-24)
【目的】大麦種子には水溶性多糖類の(1,3)(1,4)-β-グルカン(β-グルカンと略)が胚乳部細胞壁に分布しており,血中コレステロールや血糖値,中性脂肪の低下作用,アレルギー反応を鎮め,ガンなどの腫瘍を抑える効果などが報告されている。近年,アメリカ(FFA)やフランス(EFSA)でもヘルスクレームの許可が試みられており,国際的にも注目の栄養素である。しかし,大麦は茹でる調理法(湯取り法)が主流であり,喫食時のβ-グルカンの大幅な損失が否めない。本実験では大麦を用い,その調理法を変化させてβ-グルカン含量を定量し,より美味しく損失の少ない調理法を検討した。【方法】大麦はうるち種押麦(カナリヤ 業務用,永倉精麦(株))を使用した。調理器具は炊飯器(Panasonic SR-HD103)を用い,炊き干し法と湯取り法の2種の調理法を用いた。炊き干し法の最適加水量は,順位法による官能評価により決定した。湯取り法の加熱条件は押し麦の5倍量(重量比)を加水し,物性測定を行って,炊き干し法と同様の硬さが再現できる加熱時間とした。双方のβ-グルカン量をAOAC公定法のβ-グルカン測定キット(Megazyme社)を使用して定量し比較した。物性測定は,テンシプレッサー(My BoyⅡ,㈲タケトモ電機製)を用いて1粒法による低・高圧縮測定・解析をした。【結果】加水量2倍および3倍の炊き干し法炊飯押麦飯はすべての項目で加水量1倍よりも有意に好まれた。炊き干し法では加水量の違いによるβ-グルカン量の差が見られなかったが,湯取り法では炊き干し法と比較して有意に減少し,加水量の増加に伴い減少の割合が高くなった。以上より,押麦のβ-グルカンの損失を少なくし,効率よく美味しく喫食するためは炊き干し法が効果的であった。湯取り法を使用する場合は,麦の3倍量(重量比)程度まで加水量を少なくして茹で, 炊き干し法に近似の方法で調理することにより, β-グルカンの損失を防ぐことが可能と考えられた。