著者
田中 恵 武田 真輝 小野 雅代 種田 遥美 古谷 陽一
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.86-94, 2021 (Released:2021-12-01)
参考文献数
20

【目的】骨盤位に対する鍼灸治療の効果と安全性を検討する目的で、当科における骨盤位の矯正率および有害事象を調査したので報告する。 【対象と方法】対象は当院の産婦人科で骨盤位と診断され、20XX-9年4月1日から20XX年10月31日までの期間に鍼灸治療を受療した妊婦とした。対象妊婦を診療録で後ろ向きに調査した。主な調査項目は、鍼灸開始時の妊婦の状態(切迫早産の有無)、施術姿位(座位もしくは側臥位)、鍼灸後に頭位になった率、経膣分娩の率、および有害事象の発生状況とした。矯正率は鍼灸後に頭位になった率と定義した。有害事象の定義は「因果関係を問わず治療中または治療後に発生した好ましくない医学的事象」とした。 【結果】対象の妊婦は371名。鍼灸開始時に切迫早産と診断されていた妊婦は57名、そのうち21名は入院中の切迫早産妊婦だった。施術姿位は座位が45.2%(168例)、側臥位が54.7%(203例)であった。骨盤位矯正率は72.2%(268例/371例)であった。鍼灸開始時に入院中の切迫早産妊婦では矯正率が28.6%(6例/21例)と、外来通院の妊婦に比べて有意に低かった。施術姿位による矯正率は座位と左側臥位との間に有意差を認めず、左側臥位での施術では迷走神経反射の有害事象が見られなかった。施術回数あたりの有害事象発生頻度は1.1%(21件/1916回)、症例数あたりでは5.7%(21件/371症例)であった。因果関係の明らかではない破水2件が見られた。 【結論】妊婦における安全な施術姿位は左側臥位と考えられた。有害事象はほとんどが軽症または中等度のものであったが、因果関係の明らかではない2例の破水がみられた。骨盤位矯正の鍼灸治療を実施する際には、主治医の産科医と十分に連携をとる必要がある。
著者
古谷 陽一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.339-344, 2017 (Released:2018-02-07)
参考文献数
15

当帰芍薬散加地黄に相当するエキス製剤2剤の併用が有効であった16症例を経験したので報告する。全例女性で年齢の中央値35.5歳(範囲22-62歳),疾患は不妊症5例,皮膚疾患5例,婦人科疾患2例,冷え症2例,オトガイ神経知覚異常と倦怠感それぞれ1例。全症例で当帰芍薬散証に強い血虚を認めていた。不妊症5例は全て治療1年以内に妊娠した。他疾患は症状の程度が初診時の半分以下までに軽減した。掌蹠膿疱症の1例と慢性湿疹ではステロイド外用剤なしでも良好な状態となった。当帰芍薬散証で血虚の程度が強い場合,加地黄が有用だと思われる。
著者
古谷 陽一 谷川 聖明 立野 豊 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.131-138, 2004-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

今回, 我々は黄耆桂枝五物湯が有効であった知覚異常の3例を経験したので報告する。症例1は70歳の女性, 1998年発症の帯状疱疹後神経痛 (左三叉神経領域) で, 左顔面のしび加れと痛みを主訴に●●●●●●に当科初診。黄耆桂枝五物湯を服用4週後にはしびれは初診時の5割に改善し, 6週後には約2割に軽減した。●●●●から, 六味丸を併用し, ●●●●にしびれと痛みはほぼ消失した。症例2は55歳女性, 1999年から両手にしびれがあり, 2002年3月に手根管症候群と診断された。同年4月に当科初診。黄耆桂枝五物湯を服用し1週間で, 手掌全体のしびれが指先だけになった。現在は同薬の服用に加え防已黄耆湯, 鍼灸治療の併用でしびれはほぼ消失した。症例3は72歳の女性、●●●●●●に帯状庖疹 (Th12, L1レベル) を発症。同年●●●から麻酔科で加療されたが, 改善がしないため, 同年●●●に当科を初診。黄耆桂枝五物湯を開始し23日後にはしびれと痛みは当科初診時の4割ほどに改善, 6週服用後は2割ほどに軽減した。
著者
古谷 陽一 渡辺 哲郎 永田 豊 小尾 龍右 引網 宏彰 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.609-614, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

目的:冷え症の危険因子となる身体症状を明らかにする。研究デザイン:2008年7月7日から11月14日にかけて前向きコホート研究を行なった。対象と方法:観察開始時に冷えを認めない女子短期大学生70名(年齢中央値20歳)。冷えの苦痛の程度をNumerical Rating Scale(NRS)で7月および11月に5日間ずつ記録した。身体症状は気血水スコア(寺澤)で評価した。冷え症の判定基準は冷えNRSの平均値5以上とした。結果:11月に17名が冷え症と判定された。有意な関連を示した自覚症状は「体がむくむ」で,多変量オッズ比[95%信頼区間]11.6[1.9 to 97.5]であった。また,冷え症群は非冷え症群より低身長であった(身長差[95%信頼区間]-5.9cm[-8.6 to -3.1])。結語:「体がむくむ」と「低身長」は冷え症の危険因子である可能性が示された。