著者
小倉 興太郎 右田 たい子 山田 徹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌
巻号頁・発行日
vol.1989, no.5, pp.817-821, 1989
被引用文献数
2

メタンは化学的に不活性な化学種であるが, CH<SUB>4</SUB>-NH<SUB>3</SUB>-H<SUB>2</SUB>O系の光化学反応によって付加価値の高い化合物に転化することができた。主生成物は, メチルアミン, エチレンジアミン, メタノール, エタン, 水素である。これらの化合物の生成において, もっとも重要な化学種は ・CH<SUB>3</SUB>であるが, このラジカルは水の光分解 (185nm) によって発生する ・OH のメタンからの水素引抜反応により生成する。また, NH<SUB>3</SUB>は 185nmの光を吸収して・NH<SUB>2</SUB>と・Hに分解する。CH<SUB>3</SUB>NH<SUB>2</SUB>, CH<SUB>3</SUB>OH, C<SUB>2</SUB>H<SUB>6</SUB>, H<SUB>2</SUB> の生成は, ・NH<SUB>2</SUB>,・CH<SUB>3</SUB>,・OHラジカル,・H原子の相互カップリングによるものである。ESR-スピンドラッピング法によれば, CH<SUB>4</SUB>-NH<SUB>3</SUB>-H<SUB>2</SUB>O系の光化学反応において, ・CH<SUB>2</SUB>NH<SUB>2</SUB>の存在を確認することができたので, エチレンジアミンは・CH<SUB>2</SUB>NH<SUB>2</SUB> の二量化によるものと結論した。
著者
松下 一信 右田 たい子 三芳 秀人 山田 守 外山 博英
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、ピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素とするキノプロテイン脱水素酵素である大腸菌のグルコース脱水素酵素(GDH)および酢酸菌やPseudomonasに存在する異なる2種類のアルコール脱水素酵素(ADH)の構造と機能を、生化学、有機化学、遺伝子工学及びX線構造解析の手法を総合的に駆使して解明することを目的とし、3年間の研究によって以下に示す研究成果を得た。1)大腸菌GDHの構造機能解析:GDHの変異体ランダム変異法と部位特異的変異法を組み合わせて調製し、細胞膜から精製したそれら変異体のキネティクス解析及び酸化還元スペクトル分析を基に、PQQの周辺で酸化反応に関与する部位と分子内電子移動反応に関与する部位について解析した。その結果とGDHモデル構造解析から、His-262、His775、Trp-404、Asp466、Asp730、さらにLys-493の機能を明かにした。2)酢酸菌ADH及び大腸菌GDHのユビキノン反応部位の解析:酢酸菌ADHにはユビキノン還元反応とは別にユビキノールを酸化する活性が存在することを発見し、その2つの部位が異なる領域に存在し、異なる立体構造をもつことを、数多くの合成フェノール系およびカプサイシン系ユビキノン阻害剤の阻害スペクトラムとユビキノン類似体の基質特異性の比較から明にした。GDHのユビキノン結合部位が膜の比較的表面に存在することも明かとなった。3)酢酸菌ADH及びPseudomonas ADHのX線構造解析:Type II ADH(ADH IIB)の結晶化とそれに続くx線結晶構造解析を行い、その構造を1.9Aレベルで解読すること成功した。また、酢酸菌の膜結合型ADHに関しては、その結晶化には成功し、部分的な解像は得られているものの、最終的な構造を得るにいたっていない。
著者
右田 たい子 吉田 匡
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.81-86, 2004 (Released:2004-03-23)

Plant heme oxygenase (HO), which catalyzes conversion of heme to biliverdin, being further converted to photo-receptive phycobilins, had been known only in the cell extracts of primitive red algae and cyanobacteria for these twenty years. Recent development of gene analysis, however, has shown that HO is ubiquitously contained in variety of living species. We have succeeded for the first time in obtaining recombinant HO protein of cyanobacteria and in characterizing the HO protein and its heme complex by spectroscopic analyses. Here, we review the existence, role, and characteristics of cyanobacterial and plant HOs in comparison with those of mammalian and bacterial HOs.