著者
吉川 枝里 米田 美里 岩永 史子 山本 福壽
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.191-201, 2009-10-31 (Released:2020-11-04)
参考文献数
16

オオバヤドリギ(Scurrula yadoriki (Sieb.) Danser)の寄生機構解明を目的として野外調査により宿主選択特性を検討した.さらに種子接種実験を行い,発芽と成長からオオバヤドリギの寄生特性を検討した.また接種したメタセコイアとヤマモミジの若木を用いて,解剖学的手法により着生部の組織を観察し,発達初期の吸器構造を明らかにした.この結果,本種は針葉樹,広葉樹,あるいは常緑樹,落葉樹を問わず多くの樹種に寄生することを確認した.吸器構造については宿主枝内部で楔状に発達した後,突起の発達した一次吸器と,着生部から軸方向に発達する二次吸器を確認した.吸器は宿主樹種によってやや異なる形態を示した.着生部における宿主の二次木部の過剰形成は,吸器の発達に対する宿主の抵抗反応によって引き起こされていることが示唆された.また,宿主二次木部内から樹皮方向へ突起状構造を拡大することにより,常に通水機能を有する新しい宿主木部との接触が可能になっていることが推察された.
著者
吉川 枝里 宮原 詞子 成瀬 妙子 島田 和典 東 史啓 原 啓高 猪子 英俊
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.21-31, 2003 (Released:2017-03-30)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

蛍光ビーズを用いたLuminex法は, 簡便, 正確かつ短時間で多検体処理が可能(high-throughput)な新しい遺伝子多型判別法である. このLuminex法を用いて, HLA-A, HLA-BおよびHLA-DRB1遺伝子に関して, 日本人を対象とする4桁DNAタイピングを検討した. HLA-Aで33種類, HLA-Bで46種類, HLA-DRB1で44種類のプローブを1ウェルに混合し, 日本人集団で遺伝子頻度が0. 1%以上みられる対立遺伝子(allele)が4桁レベルで判別可能な方法を構築した. 遺伝子型が既知の138検体で検討した結果, HLA-AとHLA-Bで各々1検体, 増幅不良による判定不能があったもの以外は4桁の判定が可能であった. 本法は, HLA-AとHLA-Bについて1ウェル, HLA-DRB1について1ウェルの, 計2ウェルでタイピングが可能な, 迅速な方法であり, 計47検体について約5時間でHLA-A, -Bおよび-DRB1遺伝子の4桁レベルのタイピングが1名の検査員で行える. 特に, 大量検体を短時間で行うHLA検査方法として有用であると考えられる.
著者
吉川 枝里 米田 美里 岩永 史子 山本 福壽
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.191-201, 2009-10-31

オオバヤドリギ(Scurrula yadoriki(Sieb.)Danser)の寄生機構解明を目的として野外調査により宿主選択特性を検討した.さらに種子接種実験を行い,発芽と成長からオオバヤドリギの寄生特性を検討した.また接種したメタセコイアとヤマモミジの若木を用いて,解剖学的手法により着生部の組織を観察し,発達初期の吸器構造を明らかにした.この結果,本種は針葉樹,広葉樹,あるいは常緑樹,落葉樹を問わず多くの樹種に寄生することを確認した.吸器構造については宿主枝内部で楔状に発達した後,突起の発達した一次吸器と,着生部から軸方向に発達する二次吸器を確認した.吸器は宿主樹種によってやや異なる形態を示した.着生部における宿主の二次木部の過剰形成は,吸器の発達に対する宿主の抵抗反応によって引き起こされていることが示唆された.また,宿主二次木部内から樹皮方向へ突起状構造を拡大することにより,常に通水機能を有する新しい宿主木部との接触が可能になっていることが推察された.