著者
吉永 敦征 畔津 忠博
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2019-CE-152, no.8, pp.1-5, 2019-11-08

本論文ではアンケート結果に基づき,大学初年次生が獲得している情報リテラシーとパソコン (PC) の使用開始時期との関係について報告する.情報リテラシーが獲得できているかどうかの指標として,PC の入力に関する主観的評価を採用した.この指標に基づいて学生を情報リテラシーの高いグループと低いグループに分けて,それぞれのグループに属する学生の特徴を調べた.その結果,特に小学生のときに家庭で PC の使用を始めた学生は,情報リテラシーの指標が高い傾向にあった.このことから,情報リテラシーは家庭環境に依存する文化資本であり,その獲得においては PC 等の情報端末を利用する時期が重要であることが示唆される.また,情報リテラシーの指標が高い学生は,一般に良く利用される PC のアプリケーションの利用率が高かった.その一方で,小学生のときに自宅で PC に触れていない学生であったとしても,情報リテラシーの指標が高い学生が一部存在しており,学校教育が有効である可能性も存在している.
著者
大谷 卓史 村上 祐子 川口 由起子 川口 嘉奈子 永崎 研宣 坪井 雅史 吉永 敦征 芳賀 高洋
出版者
吉備国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究においては、①最新の社会・技術動向に照らして大学教養課程向けの情報倫理学教科書を改訂して基本的な情報倫理学概念を確認し、②情報倫理学の歴史を整理し、あわせて、③プライバシーと自己決定権に関する議論を概観したうえで、④ソーシャルメディアによる個人をターゲットとした世論操作の可能性や、⑤サーチエンジンの検索結果表示アルゴリズムなどによるプライバシーや自律への影響の問題などの考察を行った。これらの成果を踏まえ、研究成果の一部を書籍として刊行した。同書『情報倫理-技術・プライバシー・著作権』(みすず書房)は、公益財団法人電気通信普及財団第33回(2017年度)テレコム社会科学賞奨励賞を受賞した。