著者
永崎 研宣
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.422-437, 2015-09-01 (Released:2015-09-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

SAT大蔵経テキストデータベースは,1億字超の校訂テクストのデータベースとして2008年に全文検索を中心としたWebサービスを開始して以来,着々とサービスを拡充してきている。特に,他のWebサービスやデータベースとの連携サービスに注力している。これら一連のサービスについて「涅槃(ねはん)」と「泥洹(ないおん)」という言葉の使い分け方の調査を例にとって概観する。SATプロジェクトは,単に仏教研究に資するだけでなく,デジタル時代の人文学の在り方を追究しつつ国内外の人文情報学の動向とリンクしながら発展してきている。オープンデータとして見た場合にはまだ十分とは言えないが,そこに向けての準備は進めている。
著者
永崎 研宣
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.1-10, 2016-11-28 (Released:2017-09-15)

本稿は、大学図書館におけるデジタル人文学の状況について、筆者の知る範囲での現状をお知らせするものである。とりわけ、紙媒体からデジタル媒体へと情報の伝達手段が大きく変化するなかで、情報伝達に大きく依存してきた人文学の変容と、そこにおける大学図書館の役割について、主に米国・英国の事例を参照しつつ、日本の状況とそこへの期待について述べている。
著者
永崎 研宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.105, pp.17-24, 2005-10-28
参考文献数
42
被引用文献数
2

「デジタルアーカイブ」という言葉が登場し、人口に膾炙するようになったのはこの10年程のことである。文化資産をデジタル化して、記録し、発信するという営み自体はそれ以前より行なわれてきている。しかしながら、かつては、学術利用のために学術的価値のある資料を蓄積・公開したり、博物館・美術館が所蔵資料をデジタル化するといったものが主流だったのに対して、「デジタルアーカイブ」の登場以後は、文化資産の「正しい継承」や商業的利用にも重きが置かれるようになった。デジタルアーカイブはその性質上、評価や批判が容易ではないが、各々の合目的性に基づいて評価し、建設的に批判するための枠組みが必要である。Digital Archives have appeard and spread rapidly in these ten years. We have continued to digitize, store and publish intellectual properties for twenty years or more. At the beginning, scholars dealt with academic materials for their own research and museums digitized their own materials using databases. However, after "Digital Archives" appeared, new concepts such as orthodox succession of culture and commercial use have become the mainstream. It is difficult to evaluate or criticize digital archives, but we must do so for each digital archive based on its particular purpose.
著者
永崎 研宣
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.61-66, 2017-02-01 (Released:2017-02-01)
被引用文献数
1

デジタル文化資料のWebでの流通の仕方を抜本的に改革し,より効果的効率的に共有するための規格,IIIFが研究図書館を発信源として国際的に広く支持を集めるようになってきており,英国図書館やフランス国立図書館をはじめ,多くの関連機関がこれに積極的に関わるようになっている。本稿では,IIIFの初期段階の構想を採り上げ,それが現在にどのように実現されているかを明らかにする。そして,IIIFが現在提供する様々な利便性について紹介するとともに,現在国内外でどのように広まっているか,その広がりがどういった状況をもたらし得るか,について検討する。さらに,人文学向けのテクスト資料のデジタル化に関するデファクト標準であるTEIについても触れ,両者の対比と今後の可能性を提示する。最後に,デジタル文化資料の国際的な規格に日本が積極的に関わっていくことの意義を述べる。
著者
和氣 愛仁 宇陀 則彦 永崎 研宣 松村 敦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-4, 2013-07-27

筑波人文情報学研究会は,筑波大学人文社会系及び図書館情報メディア系の教員が中心となって立ち上げた研究グループである.資料の在り方に対して両極端の姿勢を持つ,人文学研究者と図書館情報学研究者のコラボレーションによって,人文情報学へ如何にアプローチしていくかを,本研究会のこれまでの活動報告を交えて議論する.The Tsukuba Research Group for the Digital Humanities is a research group that was started by members of the Faculty of Humanities and Social Sciences and the Faculty of Library, Information and Media Science. This paper will discuss approaches to the digital humanities through the collaboration of scholars in the humanities and in library and information science, who have views from opposite ends of the spectrum regarding data and what it should be. The discussion will include a report of the activities of this research group to date.
著者
下田 正弘 蓑輪 顕量 永崎 研宣 大向 一輝 宮崎 泉 納富 信留 Muller Albert 苫米地 等流 藏本 龍介 船山 徹 高橋 晃一 師 茂樹 齋藤 希史 高岸 輝
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は「人文学がデジタル時代にいかに遂行されうるか」という次世代の人文学にとって重要なテーマについて、人文学諸分野が参照可能なデジタル知識基盤を仏教学から提供し、人文学全体が共同で未来を開く方法論を検討する〈統合デジタル研究環境〉を形成する。そのため、人文学におけるテキスト、画像、事物、行為等の研究対象の相違と、思想、言語、歴史、行動科学等の研究方法の相違の両者を視野に入れ、両者から生まれる知識の多様性を、デジタル技術を通し効果的に保存し利用する多層的概念モデルを構築し、新大蔵経データベース(新SAT-DB)に実装して提供する。
著者
下田 正弘 小野 基 石井 清純 蓑輪 顕量 永崎 研宣 宮崎 泉 Muller Albert 苫米地 等流 船山 徹 高橋 晃一
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2015-05-29

本研究事業は、永続的に利用可能な仏教学の総合的知識基盤を日本に構築し、世界の仏教研究におけるウェブ知識拠点(ハブ)を構築することで次世代人文学のモデルを提供することを目的とする。これを達成するため、(1)大蔵経テキストデータベース(SAT-DB)を継続的に充実発展させ、(2)有望な新規国際プロジェクトを支援し、連携してSAT-DBネットワークを拡充し、(3)人文学の暗黙的方法の可視化を図って人文学テクストの適切なデジタル化を実現するためTEIと連携してTEI-Guidelinesを中心とするテクスト構造化の方法を精緻化し、(4)ISO/Unicodeとの連携し、国内のデジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)に関する研究教育の環境向上を図り、人文学国際化を支援する研究環境を整備する。これらの成果はSAT大蔵経テキストデータベースにオープンアクセスのかたちで反映させることをめざす。本年度は、James Cummings(Newcastle University, UK)、Paul Vierthaler(Leiden University, NLD)を迎えた国際会議「デジタルアーカイブ時代の人文学の構築に向けて」をはじめ、国際会議とワークショップを3回主催し、国内外で招待講演を行うとともに、東大から2度のプレスリリースを行って、当初の研究計画を大きく進展させた。その成果は、次世代人文学のモデルとなる新たなデジタルアーカイブSAT2018の公開となって結実した。SAT2018は、直接の専門となる仏教研究者にとって実用性の高い統合的研究環境を提供するばかりでなく、人文学研究のための専門知識デジタルアーカイブのモデルになるとともに、人文学の成果を一般社会に利用可能なかたちで提供する先進的事例となった。
著者
永崎 研宣 三宅 真紀 苫米地 等流 A.CharlesMuller 下田 正弘
雑誌
じんもんこん2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.4, pp.239-246, 2013-12-05

本稿は、大正新脩大藏經テキストデータベースにおける脚注の校勘情報を通じた人文学資料としてのテクスト構造化に関する研究を扱う。これはこのデータベースを構築・運用するSAT プロジェクトの次のフェーズの方針の策定に役立てることを目指すものである。大正新脩大藏經の校勘情報は、各一次資料の歴史的な関係からある程度想定可能だが、具体的に研究されてきたわけではなかった。ここでは、デジタル化された校勘情報を用いた分析を行ったが、結果は一般的な想定を裏付けするものであった。いくつかの例外的なものがあったことが、今後の方針を策定する上で有益かもしれない。また、Linked Data という形で校勘情報を扱うことで、一次資料公開に関する権利所有者との合意形成が容易になるかもしれない。
著者
明星聖子 永崎 研宣
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49(2007-CH-074), pp.25-32, 2007-05-25

本稿は、人文科学研究資料のための汎用的なエディティング・システム構築をめぐる研究報告である。まず第一段階として、カフカの文学作品のなかでも編集という点でもっとも複雑な問題を呈している”Der Jaeger Gracchus”のテクストに関する情報を、ドイツ編集文献学の理論に基づき構造化し、それをインド仏教学研究用に開発された文献関連情報データベース上へ実装することを試みている。現在この試みは比較的順調に進行しており、その順調さの背景には、文学と宗教学の文献情報処理の方法の共通性が認められる。今回の研究は、システム開発を通してこうした共通性を検討しながら、汎用的システム設計を支える汎用的な文献学理論を模索することも目的としている。
著者
永崎 研宣
出版者
一般社団法人人文情報学研究所
巻号頁・発行日
2012-08

テキストアノテーションワークショップ, 2012年8月6日~7日, 国立情報学研究所
著者
永崎 研宣
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.369-376, 2013-09-01

人文学分野においてもサイバーインフラストラクチャは欠かせないものになりつつある。歴史的には1940年代から取り組みが行われ続けてきたものであり,人文学研究者自身が積極的に取り組んでいくことがこれまで以上に重要になってきている。国際的にはすでに欧米の関連学会によって設立されたADHOを中心として大きな組織的枠組みができあがっており,我国もそこに参画している。個別のテーマとしては知的所有権をはじめ様々な事項に配慮しながら進めていかなければならない。また,評価や教育の体制等については,特に米国では人文学の側で新しい枠組みの構築に向けての取り組みが進みつつある。そこでは,我国の人文学の貢献の余地も大いにあり得る。
著者
明星聖子 永崎 研宣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.49, pp.25-32, 2007-05-25

本稿は、人文科学研究資料のための汎用的なエディティング・システム構築をめぐる研究報告である。まず第一段階として、カフカの文学作品のなかでも編集という点でもっとも複雑な問題を呈している"Der Jaeger Gracchus"のテクストに関する情報を、ドイツ編集文献学の理論に基づき構造化し、それをインド仏教学研究用に開発された文献関連情報データベース上へ実装することを試みている。現在この試みは比較的順調に進行しており、その順調さの背景には、文学と宗教学の文献情報処理の方法の共通性が認められる。今回の研究は、システム開発を通してこうした共通性を検討しながら、汎用的システム設計を支える汎用的な文献学理論を模索することも目的としている。This paper describes the collaborated electronic editing system of Franz Kafka's work that we are now developing. The concept behind this system is based on German scholarly editing theory, especially the methodolgy of historical-critical editing. As the first step of constructing the database, we structured information about Kafka's texts, including historically significant editions and their editorial information (such as pagination and linage). This same information was also cross-referenced. This model was implemented via an existing system originally developed to analyze Buddhist texts.
著者
後藤 真 小風 尚樹 橋本 雄太 小風 綾乃 永崎 研宣
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.243-248, 2018-11-24

本研究は,日本古代の史料である『延喜式』に対してTEI マークアップを施した際の,マニュアル等の記述の状況について述べたものである.TEI は,広く人文研究のためのテクストを作る国際標準として重要であるものの,そのルールが複雑であり,専門家以外には記述が困難であるという状況がある.また,このようなデータを作成した際に「どのような意図でデータを作ったのか」を記録することで,研究そのものをトレースすることができるようになるとともに,データの長期保存にとっても有益であると考えられる.
著者
永崎 研宣
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.111-114, 2018-03-09 (Released:2018-05-18)

国際的な画像共有の枠組みIIIFは世界的に大きな広まりをみせつつ、日本でも徐々に普及が進みつつある。IIIFにはいくつかの課題があるものの、コミュニティによって解決へと進められつつある。一方、IIIFに限らず、高精細画像の公開・共有につきものの課題もあるが、これがIIIFの課題と混同される例もある。そこで、本発表では、高精細画像の公開・共有における課題とIIIFにおける技術面・運用面での課題とを切り分けてそれぞれに提示するとともに、その解決方法について検討する。