著者
伊藤 嘉博 尾畑 裕 片岡 洋人 加登 豊 篠田 朝也 丸田 起大 吉田 栄介 澤邉 紀生
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.81-94, 2021 (Released:2022-09-22)

『メルコ管理会計研究』編集委員会の委員・委員長補佐にオンラインで集まってもらい,2020年8月12日に「査読制度についての座談会」を開催した。この座談会は,日本の管理会計研究者が査読制度についての理解を深めるための一助として開催されたものである。査読制度を運用する立場にある編集委員・委員長補佐同士がそれぞれの経験や考え方についてざっくばらんに意見交換し,それを読者と共有することが有用であるという考えにたち,下記に座談会の模様をお伝えする。
著者
桝谷 奎太 岩澤 佳太 吉田 栄介
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.3-20, 2022 (Released:2023-03-07)
参考文献数
39

本研究の目的は,日本企業における業績管理実践と効果の変化に加え,その背後にある考え方に関する変容の有無や内容,要因について探究することにある。本研究の特徴は,10年分の実態調査データに基づく経時的な分析の実施,得られたデータの深掘り,他の実態調査を参照した統合的解釈にある。分析の結果,2009年から2019年の10年間での業績管理の変化は,資本効率性や貸借対照表を重視した管理への変革というよりも,伝統的な損益計算書中心の管理を計数管理の強化により漸進的に改善するものである可能性や,中長期的な企業価値の向上というよりも短期的な財務業績の向上を目指したものである可能性が示唆された。一部の企業群における変容の兆候も示唆されたが,平均的な調査対象企業においては,業績管理の革新的な変容というよりも,従来の実践の延長線上での漸進的な改善に留まっている可能性がある。本研究は,仮説導出的研究と位置付けられ,実態の説明と将来の研究課題の析出に役立つ。
著者
吉田 栄介
出版者
慶應義塾大学出版会
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.75-86, 2012-02

論文本研究は, テンション・マネジメントとしての管理会計という視座に立ち, 管理会計の機能・役割を探索することを意図する。具体的には, 原価企画と業績管理を取り上げ, 「業績目標水準」と「コントロール・モード」に焦点を当て, 成果との関係を実証的に明らかにする。分析の結果, 第1に, 製造業での原価企画においてある程度の挑戦的目標原価が有効であること, 第2に, 業種を問わず原価企画における部門間協働が有効であること, 第3に, 業種を問わずインターラクティブ・コントロールも診断的コントロールも業績目標の達成に有効であることが示唆された。This paper aims to clarify the function of management accounting from the point of view of management accounting as tension management. We focused on the level of performance targets and control mode on target cost management and management control and show the relationship between them and organizational performance. As the results, first, we identified that stretch target costs which were set at relevant levels were effective. Second, we identified that cross functional activities at target cost management are effective in both manufacturing and non-manufacturing industries.Third, it suggests that both interactive and diagnostic control were effective for achievement of performance targets.
著者
岩澤 佳太 桝谷 奎太 吉田 栄介
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.37-53, 2022-03-30 (Released:2022-03-30)
参考文献数
36

本研究の目的は,近年の日本の製造業におけるコストマネジメントの変容について,コンティンジェンシー要因との関係およびコストマネジメント活動と効果の関係に着目して解明することである.とりわけ原価企画に注目した上で,2009年,2014年,2019年と郵送質問票調査を実施した.多母集団同時分析の結果,原価企画活動,効果・逆機能の平均値および原価企画活動と効果の関係性は,概ね一貫していたのに対し,原価企画活動と逆機能の関係性および組織コンテクストと原価企画活動の関係性については,調査時点間で統計的に有意な差を確認した.このことは,日本企業の原価企画について,従来の活動の一貫した有用性を示す一方で,経営環境やビジネスモデルの変化に対応する新たな仕組みの必要性を示唆していた.