著者
伊藤 嘉博 尾畑 裕 片岡 洋人 加登 豊 篠田 朝也 丸田 起大 吉田 栄介 澤邉 紀生
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.81-94, 2021 (Released:2022-09-22)

『メルコ管理会計研究』編集委員会の委員・委員長補佐にオンラインで集まってもらい,2020年8月12日に「査読制度についての座談会」を開催した。この座談会は,日本の管理会計研究者が査読制度についての理解を深めるための一助として開催されたものである。査読制度を運用する立場にある編集委員・委員長補佐同士がそれぞれの経験や考え方についてざっくばらんに意見交換し,それを読者と共有することが有用であるという考えにたち,下記に座談会の模様をお伝えする。
著者
澤邉 紀生
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1-2, pp.33-47, 2020 (Released:2020-09-23)
参考文献数
34

This essay provides a typology of accounting fraud that distinguishes those motivated by individualgreed, by loyalty to organizations, and those without any substantial benefits neither to individuals nor to organizations. Drawing on a concept of stupidity management, this essay seeks mechanisms that made ordinary people to engage in accounting fraud that does not profit anyone.
著者
澤邉 紀生
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.16-28, 2013 (Released:2017-04-17)
被引用文献数
1

管理会計において研究者の科学知と実務家の実践知を媒介する臨床知を集積し体系化する「場」として,臨床会計学の構想を提示する。臨床知のふたつの系譜について確認したうえで,構成論的アプローチによって設計・実施しているメタ・フィールドワークから得た知見を「固有世界」「身体性を伴った行為」「多義性」の3つの原理を鍵に説明する。
著者
澤邉 紀生
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.19-30, 2013-09-24

Drawing upon the concept of teleoaffective structure proposed by Schatzki (1996, 2002), the emotional dimension in relation to the teleological dimension of accounting practices is examined in this paper. Utilizing the data obtained from ethnographic field research of a financial institution which assists its clients to turnaround their business, it is found that instrumentally rational activities are systematically connected to the emotionality of the site. While on the teleological dimension, signifying chain links meanings of local activities with the strategic agenda set by the top management, a dilemma between discontinuity from the past and the perceived feasibility of business turnaround is overcome by the social signification generated on the emotional dimension of the site.
著者
菊谷 達弥 椙山 泰生 澤邉 紀生
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本、米国シリコンバレー、英国ロンドン近辺の幾つかの企業について、共同開発、技術提携、技術情報会社の役割などを聞取り調査した結果、オープンイノベーションの問題を、取引コストの視点から分析することが有効であることがわかった。取引コストはさらに「取引相手を探索するコスト」と、「企業内部での調整コスト」の2つに分けられる。この視点の有効性を大規模サンプルで検証するために、日本の上場製造企業を対象に質問票を実施した。本社研究開発部門については「技術提供」と「技術獲得」、事業部については「技術獲得」を調査した。その結果、以下のことが判明した。(1)まず、取引相手を探索する部門の存在は、これらすべての取引を促し、この意味で探索コストを共通に減らすのに有効である。これに対し、調整コストのあり方は、取引や企業組織のタイプによって異なる。(2)本社研究開発部門の、外部への技術提供の決定には、事業部門との調整が必要であり、事業部の数が多くなるほど、外部への提供は抑制される。これと整合的に、事業部の権限が強い分権型マネジメント・コントロールであるほど、外部への提供は減少する。ただし、部門間で技術情報を共有する仕組みがあれば、この調整コストは減少し、外部提供が促される。逆に、中央の研究開発部門の権限が強い場合は、テクノロジー・プッシュ型の外部提供が行われる。(3)次に、本社研究開発部門の技術獲得は、事業部が多くなるほど促進される。そしてマネジメント・コントロール・システムが、事業部の権限が強い分権型であるほど、こうした本社部門による技術獲得は増大し、事業部からの要請に基づくニーズ・プル型の技術獲得が行われる。(4)これは事業部における技術獲得に影響し、分権型システムであるほど、事業部自らが技術獲得を行う必要性を減少させる。こうした調査の実施は他には皆無といってよい。また、分析結果についても、技術取引を取引コストの視点から捉え、さらに取引コストを構成する内部調整コストを、マネジメント・コントロールと関連させて分析した点で重要である。
著者
澤邉 紀生
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.19-30, 2013-09-24 (Released:2017-08-07)

Drawing upon the concept of teleoaffective structure proposed by Schatzki (1996, 2002), the emotional dimension in relation to the teleological dimension of accounting practices is examined in this paper. Utilizing the data obtained from ethnographic field research of a financial institution which assists its clients to turnaround their business, it is found that instrumentally rational activities are systematically connected to the emotionality of the site. While on the teleological dimension, signifying chain links meanings of local activities with the strategic agenda set by the top management, a dilemma between discontinuity from the past and the perceived feasibility of business turnaround is overcome by the social signification generated on the emotional dimension of the site.
著者
丸田 起大 市原 勇一 澤邉 紀生
出版者
公益財団法人 メルコ学術振興財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.95-106, 2018

<p>不動産再生事業を営むサンフロンティア不動産株式会社におけるアメーバ経営をとりあげ,業種の特性や経営者の考え方がアメーバ経営の仕組みや実践にどのように反映されているか紹介する。歩合給のようなインセンティブ報酬が支配的な不動産業において,「利他」の精神を基盤とする経営実践がアメーバ経営によってどう実現しているのかを示すことで,アメーバ経営の類型のバリエーション増大に貢献する。また,サンフロンティア不動産の部門別採算制度では,社内ファンドのような仕組みを活用して,努力せずとも得られる固定的な収益(埋没収益)を部門の業績評価から除外するような工夫が行われていることを紹介する。</p>
著者
澤邉 紀生 飛田 努
出版者
公益財団法人 メルコ学術振興財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.53-67, 2009 (Released:2015-11-17)
参考文献数
17

マネジメントコントロールシステム(MCS)は,経営目的を達成するために利用されている情報ベースの仕組みであり,管理会計システムに基づく会計コントロールはその中軸に位置し,経営理念を基礎とした理念コントロールや人間関係に基づく社会コントロールとともに組織の行動パターンに影響を及ぼしていると考えられる。本研究では,日本企業におけるMCS の利用実態を明らかにするためにサーベイ調査を実施し,組織文化によってMCS がどのように組み合わされて利用されているのか,MCS が組織成員の心理的状態に及ぼす影響を手がかりにその実態を分析した。分析の結果,組織文化の違いによって,組織成員の心理的状態や企業業績に影響を及ぼしているMCS の組み合わせが異なることが明らかになった。具体的には,柔軟性を重視する組織文化を有する企業群では,理念コントロールや社会コントロールの役割が大きく,安定や統制を重視する組織文化を持つ企業群では,理念コントロールや社会コントロールに加えて会計コントロールも重要であることが示された。
著者
澤邉 紀生
出版者
大阪経済大学
雑誌
大阪経大論集 (ISSN:04747909)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.181-203, 2002-09-14
著者
松村 勝弘 川越 恭二 井澤 裕司 平田 純一 富田 知嗣 澤邉 紀生 村山 嘉彦 荒川 宜三 豊原 紀彦 荒井 正治 八村 廣三郎
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

(研究・教育システム)われわれは,立命館大学において.経済・経営・理工の学部横断的な研究・教育システムづくりの一環として,ファイナンス・インスティテュートを設置し,一昨年来その研究教育システムの開発に取り組んできた。これは,現代企業に突きつけられている複雑な課題を文理総合型の新たな仕組みの中で,その解決策を発見できないかと考えたからである。このような取り組みは,学際的な研究教育の仕組み作りを必要とした。(データ・ベース)そこで,ファイナンス分野での研究・教育をすすめるために,現存のマクロ・データ,株価データ,企業財務データなどのデータを総合的に分析するための研究・教育用ソフトウェアを,バックグラウンドを異にする研究者の協力共同のもとで,開発した。と同時に,別途資金により日経クイック社の協力を得て新たなデータ・ダウンロードのためのもう一つの仕組みも完成させ,これも併用している。これらは学生初学者用ウェッブ・ページ版と中級上級用バッチ処理版およびアクセス対応版の三本立てでデータベースへのアクセスをする仕組みを完成させるとともに日経クイック版とあわせ,これらの研究・教育の両面からの利用を進めてきた。それぞれ一長一短がある。今後もこれらの改善すすめる予定である。ここで最大の問題は,環境その他日進月歩でできあがったものがすぐに陳腐化してしまうことである。そこで,科研以外の資金も活用しつつ,かつ日経クイック,大和SBをはじめとする資金力のある外部機関との共同の取り組みでこれに対応しようとしている。(教育プログラム)教育プログラムとしては,2000年度開講の『金融市場分析実習』の内容となるものを共同して研究し,これを教育に活用したが,なお改善の余地があると考え,現在さらに改善しテキストにしようとしている。その第一の内容は,証券アナリスト資格要件の一つとして,財務分析,の学習が課されており,これを含んで,実際のアナリスト業務を行うにあたっての素養としての企業分析の実習を内容とする。第二は,ファイナンシャル・エコノミクスに基づいた金融市場分析を内容とする。これについては,別途大和SBが開発したPoet-SBを活用した教育を進めてきている。これらについても一定その成果を別途冊子にまとめた。(研究プログラム)現在,まずはこれまでの研究を基礎に,前者を内容とするテキスト作りを進めている。これと並行して,日本の金融システムと企業財務戦略に関する研究を深めるという作業を行っている。成果の刊行はすでに終えたものの他,なお継続中のものもあるが,これまでの成果をさしあたり別途冊子にまとめた。
著者
廣本 敏郎 尾畑 裕 挽 文子 横田 絵理 木村 彰吾 中川 優 澤邉 紀生 伊藤 克容 諸藤 裕美 片岡 洋人 藤野 雅史 鳥居 宏史 河田 信 西村 優子 河田 信 西村 優子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では組織コンテクスを重視する管理会計研究を行い、日本的管理会計は自律的組織を前提とする学習と創造の経営システムに組み込まれていること、市場志向のイノベーションに対する従業員のコミットメントを強化するシステムであること、カレントな業績の向上を目指すだけでなく適切な組織文化・風土作りと密接に関連していることなどを明らかにした。更に、管理会計は企業のミクロ・マクロ・ループを適切に形成する経営システムの中核的システムであるという新たな命題を提示した。