著者
新井 康平 加登 豊 坂口 順也 田中 政旭
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.49-69, 2010-01-10 (Released:2019-03-31)

本論文の目的は,工場や事業所の製品原価計算について,その実態を明らかにすることである.管理会計教育における製品原価計算の割合は依然として大きいにもかかわらず,近年,この領域が研究者によって研究されることは少なくなってしまった.そこで本論文は,規範的な議論ではなく,実証的かつ経験的な方法によって製品原価計算の利用目的と設計原理を探求する.探索的因子分析の結果,製品原価計算の5つの利用目的が明らかとなった.また,これらの利用目的と技術変数などが,製品原価の範囲,総合/個別原価計算の選択,原価情報の報告相手,といった設計要素に影響を与えることが明らかとなった.
著者
伊藤 嘉博 尾畑 裕 片岡 洋人 加登 豊 篠田 朝也 丸田 起大 吉田 栄介 澤邉 紀生
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.81-94, 2021 (Released:2022-09-22)

『メルコ管理会計研究』編集委員会の委員・委員長補佐にオンラインで集まってもらい,2020年8月12日に「査読制度についての座談会」を開催した。この座談会は,日本の管理会計研究者が査読制度についての理解を深めるための一助として開催されたものである。査読制度を運用する立場にある編集委員・委員長補佐同士がそれぞれの経験や考え方についてざっくばらんに意見交換し,それを読者と共有することが有用であるという考えにたち,下記に座談会の模様をお伝えする。
著者
加登 豊
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.3-20, 2022-03-30 (Released:2022-03-30)
参考文献数
44

本稿は,2021年度日本管理会計学会全国大会(主催校:長崎県立大学佐世保校(リモート開催))の特別企画報告「再び「管理会計のレゾンデートル」について」(2021年8月27日(木))の概要を,それに先行して公表した二編の論文(加登2020, 2021)やここ数年の学会報告も踏まえて取りまとめたものである.管理会計の存在意義の確認が研究遂行上,不可欠であることを強調した後に,管理会計の研究・教育の高度化を達成し,加えて,経営実践での有用性を獲得するために取り組むことが望まれるアクションを示す.具体的には,経営者・経営幹部・他領域の研究者との「対話」を促進すること,管理会計の魅力を広く喧伝すること,管理会計教育の一層の高度化を果たすことなどがある.
著者
加登 豊
出版者
公益財団法人 牧誠財団
雑誌
メルコ管理会計研究 (ISSN:18827225)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.3-18, 2021 (Released:2022-03-08)
参考文献数
101
被引用文献数
1

「管理会計とは何か」「管理会計の本質はなにか」「管理会計に期待される機能は」という根源的な問いに答えることなく,あるいは,これらに対する回答は自明であるという前提のもとで現在の管理会計研究は進められている。かつて,管理会計研究の主要テーマであった管理会計の存在意義の検討は,いつの間にか行われなくなった。そのこともあって,昨今の管理会計研究は,管理会計の経営実践への有用性という視点から見れば羅針盤を失って漂流する難破船,あるいは,荒地に勝手気ままに育つ根無し草の様相を呈している。そのような管理会計研究は,経営者や上位管理者からも,また,他の経営学の研究者からも一瞥もされない。それにもかかわらず,研究者にはこのような現状を憂うる気配すらない。 本論文では,管理会計の存在理由を再確認した後に,なぜ管理会計の意義は忘れられがちになるのかを説明する。そして,管理会計の有用性を経営実践の場で正しく認識してもらうための方策やこのトピックスに関する検討事項を明らかにする。
著者
加登 豊 石川 潔 大浦 啓輔 新井 康平
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.52-62, 2007 (Released:2017-04-17)

経営企画部門は,管理会計組織としての重要性が提唱されているにも関わらず,管理会計の視点からの経験的研究は少ない。そこで本論文では,郵送質問票調査から得られたデータをもとに,わが国の経営企画部門における業務にはどのような特性がみられるのか,そして同部門は,中期利益計画,予算管理の実務にどのように取り組んでいるのかについて探索的に検討する。
著者
新井 康平 加登 豊 坂口 順也 田中 政旭
出版者
日本管理会計学会
雑誌
管理会計学 (ISSN:09187863)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.49-69, 2009

本論文の目的は,工場や事業所の製品原価計算について,その実態を明らかにすることである.管理会計教育における製品原価計算の割合は依然として大きいにもかかわらず,近年,この領域が研究者によって研究されることは少なくなってしまった.そこで本論文は,規範的な議論ではなく,実証的かつ経験的な方法によって製品原価計算の利用目的と設計原理を探求する.探索的因子分析の結果,製品原価計算の5つの利用目的が明らかとなった.また,これらの利用目的と技術変数などが,製品原価の範囲,総合/個別原価計算の選択,原価情報の報告相手,といった設計要素に影響を与えることが明らかとなった.
著者
谷 武幸 ALI Arnaut HORVATH Pete HOPPER Trevo SCAPENS Robe 加登 豊 TREVOR Hopper PETER Horvath ROBERT Scapens ARNAUT Ali HORYATH Pete HOPPER Trero SCAPONS Robe WANGENHEIM S
出版者
神戸大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

平成10年度には、過去2年間の研究を踏まえて、研究成果の総括を行った。研究の成果は、次の3点にまとめることができる.(1) 原価企画の日独比較。3年間のフィールド調査に基づいて、またすでに実施済みの日本企業対象の「原価企画の実態調査」をドイツ企業対象に実施した.これらの比較調査の分析観察結果については、8月に神戸大学でワークショップを開催し、日米の研究者・実務家が参加してディスカッションを行った。このワークショップでのディスカッションをフィードバックして、研究成果をとりまとめ、公刊することにしている。(2) サプライヤーマネジメントの日独比較。これについては、平成9年度に行った日独比較のサーベイ調査をとりまとめ、論文を公刊した。ドイツ企業において、試作から量産までのリードタイムが長くなっている要因をサプライヤーマネジメントの観点から析出できた。(3) グローバル組織の管理会計に関する日英比較。次の諸点が明らかになった。1 日本の多国籍企業は、本社主導でマネジメントコントロールを行う傾向があること2 日本における場合と同様に、業績評価を行うが、それとインセンティブとの関連が希薄なこと3 指揮や指示がハイコンテキストな方式で行われる結果、現地人管理者には不平や不満が少なくないこと4 現地からすれば、不要だと思われるような頻繁で大量の情報を本社が要求すること、そして、それらの情報に基づいた本社からの指示がほとんと行われていないこと5 上記の点を含めて、「マネジメント・コントロール」という用語が世界共通で用いられるにもかかわらず、その意味の理解については、国ごとに相違があり、このことが、多国籍企業のマネジメント・コントロールの実施にあたって,多種多様な問題を生じさせていることなどが明らかになった。