著者
李 雅次 渡部 一雄 吉田 ひかり 吉田 知之 舩坂 宗太郎
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.657-662, 1993-10-15 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4

慢性副鼻腔炎患者20例に対してクラリスロマイシンを1日朝1回200mg内服投与した。投与開始後1ヵ月目ですでに後鼻漏および嗅覚障害が60%以上改善した。投与開始後3ヵ月目では, すべての評価項目で改善がみられたが, 自覚症状の鼻閉および他覚所見の鼻汁の性状の改善が著しかった。腹痛を訴えた1例が本剤による副作用と思われたが, 投与中止により症状はすみやかに消失した。本剤に対して感受性のない検出菌を認めた症例でも治療効果がみられ, 本治療の効果は単なる抗菌作用ではないことが推察された。
著者
高雄 啓三 吉田 知之
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は脳発達期における RNA 編集異常がシナプス結合選択の異常をもたらし、それが高次脳機能異常を伴う発達障害の原因であるという仮説に基づき、どのような因子がRNA 編集異常とシナプス結合選択の異常をもたらすのか同定し、その制御機構を明らかにする。シナプスをオーガナイズする因子の遺伝子はこれまで20種類程度知られているがその多くが脳で発現、RNA に転写される際に編集され、多様なタンパク質が作り出されることでシナプスは多様となる。本研究では、精神疾患モデルマウスの RNA 編集を調べ、その制御機構と精神疾患との関係を明らかにする。
著者
吉田 知之
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.3-6, 2018 (Released:2019-07-30)
参考文献数
17

中枢シナプスの分化誘導を担う細胞接着分子であるシナプスオーガナイザーをコードする遺伝子に生じるさまざまな変異が自閉スペクトラム症,知的障害,統合失調症などの神経発達障害の発病にかかわることが明らかになっている。このような変異を再現したヒト型遺伝子改変マウスを用いた研究は発病メカニズムの理解に貢献してきた。最近,いくつかのシナプスオーガナイザー複合体の構造が解明され,さまざまな組み合わせで形成される複合体の中から,特定の複合体の形成のみを阻害するような点変異のデザインが可能となった。このようなシナプスオーガナイザー遺伝子点変異を導入したマウスは神経発達障害発病機序研究の重要なツールになると考えられる。
著者
中村 一博 吉田 知之 鈴木 伸弘 竹之内 剛 岡本 伊作 渡嘉敷 亮二 鈴木 衞
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.298-306, 2006-06-10
被引用文献数
5 2

咽頭食道異物は外来診療において遭遇することの比較的多い疾患である。通常は経口的,経内視鏡的に摘出可能であるが,異物の種類によっては頸部外切開が必要となることもある。今回われわれは外切開による摘出を必要とした下咽頭頸部食道異物の3例を経験したので報告する。<br> 症例1と2は義歯の紛失が主訴であった。CTと単純X線にて下咽頭頸部食道に義歯を認めた。同日,全身麻酔下頸部外切開にて摘出した。<br> 症例3は食事中の突然の顔面頸部腫脹を主訴に当院救命救急部を受診した。初診時のCTにて頸部皮下気腫,縦隔気腫,下咽頭頸部食道異物を認めていたが救命的処置を優先し,第11病日に当科を受診した。同日緊急切開排膿術,異物摘出術を施行した。多量の膿汁と頸部食道粘膜壊死を認め,食道外に蟹の殻が存在していた。第78病日に敗血症で死亡した。<br> 下咽頭頸部食道粘膜は薄く鋭利な物質で容易に穿孔する。誤飲した異物についての詳細な問診が重要である。有鉤義歯の鉤が陥入している場合,無理に抜こうとすると消化管穿孔の原因となる。症例3は皮下気腫から縦隔膿瘍,敗血症となり不幸な転帰をたどった。迅速な診断が重要である。<br> 下咽頭食道異物症例では診断の遅れが致命的になることもある。詳細な問診,迅速な診断,適切な処置が重要である。