著者
児嶋 剛 庄司 和彦 一色 信彦 中村 一博
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.39-43, 2008-01-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
21
被引用文献数
1 6

We report a case of GID (gender identity disorder) of the female-to-male type, where her vocal pitch was lowered to her satisfaction by Thyroplasty type 3. The distress of GID patients derives from the contradiction between their sexual physical features and gender self-consciousness. As to the levels of distress and the means patients select to resolve the problems they face, individual variations are great. The present patient did not want either transsexual surgery or hormonal treatment, but merely her vocal pitch lowered. Thyroplasty type 3 successfully lowered her vocal pitch as desired without any complication. Surgical details and key points were described.
著者
柳 有紀子 石川 幸伸 中村 一博 駒澤 大吾 渡邊 雄介
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.250-256, 2015 (Released:2015-08-31)
参考文献数
13
被引用文献数
4 7

女性から男性型の性同一性障害症例における,男性ホルモン投与前後の音声の経時的変化を追跡した.追跡は話声位,声域,声の使用感の聴取およびVHIにて投与前から143日間行った.投与前の話声位は187 Hzで,投与143日後に108 Hzとなった.声域は,投与48日後に一時的に拡大し,その後縮小した. 声の使用感の聴取では,投与48日後に会話時の翻転の訴えがあり,投与143日後に歌唱時の裏声の発声困難と会話時の緊張感も聞かれた.VHIは感情的側面で改善し,身体的側面で悪化した.本症例のホルモン療法の効果は話声位の低下であり,一時的に声域も拡大した.一方で翻転や裏声の発声困難,会話時の緊張感の訴えが聞かれ,声域も最終的に縮小した.本症例の各症状は,甲状披裂筋筋線維の肥大化による話声位の低下と,喉頭の器質的変化による喉頭筋群の調節障害であると推測された.これらの症状を予防するために,ホルモン投与の際には音声の変化を観察しながら投与量や投与期間の再考が必要である可能性が考えられた.
著者
二村 吉継 文珠 敏郎 東川 雅彦 南部 由加里 平野 彩 中村 一博 片平 信行 駒澤 大吾 渡邊 雄介
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.34-43, 2017 (Released:2017-02-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

Elite Vocal Performers(EVP)は職業歌手や舞台俳優など自身の声を芸術的に用いパフォーマンスを行う職業者である.EVPは声質改善にきわめて繊細な治療も希望する.そこで今回耳鼻咽喉科医,音声専門医に対してどのような意識をもって受診しどのような治療を希望しているのかを明らかにするため,EVPに対してアンケート調査を行った.選択形式の設問28問,自由記載式の設問3問の冊子を作成し,無記名の記入式アンケート調査を実施した.EVP 92名(男性41名,女性51名)から回答を得た.内容は「声の症状」「耳鼻咽喉科診察および歌唱指導について」「沈黙療法について」「ステロイド治療について」「声の悩みの解決方法」「診療に対する希望について」等である.沈黙療法を指示されたことがある者は64%であったが,適切な期間を指示することが重要であると思われた.ステロイド剤による治療を受けたことがある者は68%であり,投薬を緊急時にのみ望む者とできれば望まない者がほぼ半数ずつであった.
著者
讃岐 徹治 一色 信彦 中村 一博 湯本 英二
出版者
日本喉頭科学会
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.54-58, 2007
被引用文献数
1

Thyroplasty was performed under local anesthesia on male-to-female transsexuals (MTF/GID) as well as patients with adductor spasmodic dysphonia (AdSD).<BR>There were 31 patients with MTF/GID who underwent type 4 thyroplasty during the period from 1999 to 2006. Voice fundamental frequency (F<SUB>0</SUB>) rose in all patients. Mean preoperative F<SUB>0</SUB> was 135Hz, and postoperatively the mean value was 236Hz. Type 4 thyroplasty requires specialized skill, and was found to be effective for pitch elevation surgery in MTF/GID. <BR>Forty-one patients with AdSD underwent type 2 thyroplasty with Titanium Bridge between December 2002 and December 2005. These patients were followed up 1 year postoperatively with a questionnaire. 70% of the patients judged their voice as "excellent, " and the remaining patients as improved to "good" or "fair". Type 2 thyroplasty is a highly effective therapy for AdSD.
著者
國枝 千嘉子 金澤 丈治 駒澤 大吾 李 庸学 印藤 加奈子 赤木 祐介 中村 一博 松島 康二 鈴木 猛司 渡邊 雄介
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.118, no.10, pp.1212-1219, 2015
被引用文献数
6

声帯ポリープや声帯結節の診断・治療方針の決定には大きさなどの形態的特徴が関与することが多い. 初診時から音声治療を行った声帯ポリープ36例, 声帯結節35例について, 手術の効果および手術の際に測定した病変の大きさと術前音声検査値との相関, 病変の大きさとその術後改善率との相関を検討した. 手術後の音声機能は, 声帯ポリープ・声帯結節の両群で最長発声持続時間・声域・平均呼気流率・Jitter%値 (基本周期の変動性の相対的評価)・Shimmer%値 (ピーク振幅の変動性の相対的評価) のすべての項目で術前に比べ有意な改善を認めた. 病変の大きさとの相関では, ポリープ症例は術前の声域・Jitter%で相関を認め, 術後改善率では, 声域・平均呼気流率・Jitter%・Shimmer%で相関を認めた. 一方, 結節症例では術前の声域のみ相関を認めた. Elite vocal performer(EVP) (職業歌手や舞台俳優など自身の「声」が芸術的, 商業的価値を持ち, わずかな声の障害が職業に影響を与える) 群と EVP 以外群で検討を行い, 声帯ポリープ症例の EVP 群では EVP 以外群と比較して病変の大きさと音声検査値との相関は低かった. 結節では両群とも病変の大きさと音声検査値との相関は低かった. 両疾患において手術治療は有効で, 形態的評価は治療方針決定のために必要であり, 音声治療も両疾患の治療に不可欠であると思われた.
著者
中村 一博 一色 信彦 讃岐 徹治 三上 慎司
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.310-319, 2007-06-10
被引用文献数
10 15

Gender Identity Disorder (GID)は性同一性障害といわれ,生物学的性別と心理社会的性別が解離している病態である。<br>今回われわれはmale to femaleのGID (MTF/GID)症例に対し,話声位(SFF)の基本周波数を上昇させる目的でPitch Elevation Surgeryを施行した。その成績について報告する。<br>症例は1999~2006年に当院を受診し手術を施行したMTF/GIDの32例である。32例に対し甲状軟骨形成術4型(4型)を施行した。そのうち24例には喉頭隆起切除術を併せて施行した。<br>32例全例のSFFは上昇した。術前の平均SFFの基本周波数は133.8 Hz,術後は平均237.8 Hzであった。局所麻酔にて手術を施行しているため,全例ともに術中に患者の納得のいく基本周波数に調節することができ満足が得られた。<br>4型はMTF/GID症例におけるPitch Elevation Surgeryとして有用であると思われた。
著者
中村 一博 吉田 知之 鈴木 伸弘 竹之内 剛 岡本 伊作 渡嘉敷 亮二 鈴木 衞
出版者
The Japan Broncho-esophagological Society
雑誌
日本気管食道科学会会報 (ISSN:00290645)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.298-306, 2006-06-10
被引用文献数
5 2

咽頭食道異物は外来診療において遭遇することの比較的多い疾患である。通常は経口的,経内視鏡的に摘出可能であるが,異物の種類によっては頸部外切開が必要となることもある。今回われわれは外切開による摘出を必要とした下咽頭頸部食道異物の3例を経験したので報告する。<br> 症例1と2は義歯の紛失が主訴であった。CTと単純X線にて下咽頭頸部食道に義歯を認めた。同日,全身麻酔下頸部外切開にて摘出した。<br> 症例3は食事中の突然の顔面頸部腫脹を主訴に当院救命救急部を受診した。初診時のCTにて頸部皮下気腫,縦隔気腫,下咽頭頸部食道異物を認めていたが救命的処置を優先し,第11病日に当科を受診した。同日緊急切開排膿術,異物摘出術を施行した。多量の膿汁と頸部食道粘膜壊死を認め,食道外に蟹の殻が存在していた。第78病日に敗血症で死亡した。<br> 下咽頭頸部食道粘膜は薄く鋭利な物質で容易に穿孔する。誤飲した異物についての詳細な問診が重要である。有鉤義歯の鉤が陥入している場合,無理に抜こうとすると消化管穿孔の原因となる。症例3は皮下気腫から縦隔膿瘍,敗血症となり不幸な転帰をたどった。迅速な診断が重要である。<br> 下咽頭食道異物症例では診断の遅れが致命的になることもある。詳細な問診,迅速な診断,適切な処置が重要である。
著者
讃岐 徹治 一色 信彦 中村 一博 湯本 英二
出版者
日本喉頭科学会
雑誌
喉頭 (ISSN:09156127)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.54-58, 2007-12-01 (Released:2012-09-24)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

Thyroplasty was performed under local anesthesia on male-to-female transsexuals (MTF/GID) as well as patients with adductor spasmodic dysphonia (AdSD).There were 31 patients with MTF/GID who underwent type 4 thyroplasty during the period from 1999 to 2006. Voice fundamental frequency (F0) rose in all patients. Mean preoperative F0 was 135Hz, and postoperatively the mean value was 236Hz. Type 4 thyroplasty requires specialized skill, and was found to be effective for pitch elevation surgery in MTF/GID. Forty-one patients with AdSD underwent type 2 thyroplasty with Titanium Bridge between December 2002 and December 2005. These patients were followed up 1 year postoperatively with a questionnaire. 70% of the patients judged their voice as “excellent, ” and the remaining patients as improved to “good” or “fair”. Type 2 thyroplasty is a highly effective therapy for AdSD.
著者
後藤 正之 中村 一博 高木 一義 高木 直史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.22, pp.79-84, 2009-02-26

コンピュータビジョンアルゴリズムの中で画像から直線の検出を行うハフ変換は,携帯機器や車載機器などの組込システムに用いられている.ハフ変換は処理する画像サイズが大きくなるにつれリアルタイムで処理することが難しくなる.そこで並列化による計算高速化の研究が行われてきている.本報告では画素について並列に計算するハフ変換回路において投票を無衝突化する手法を提案する.画素について並列に計算する際に発生する投票の衝突を解消する手法は,画像探索方向と丸め精度の工夫により投票の無衝突化を達成する.本手法に基づく画素並列ハフ変換回路は投票無衝突であり,本手法と以前提案した投票空間アクセス局所化を用いた画素並列ハフ変換回路は省メモリ,小面積で,投票の衝突を解消するための回路も不要である.提案手法と投票空間アクセス局所化手法を用いた画素並列ハフ変換回路について評価したところ,画像サイズを VGA,並列数を 16 としたとき,回路内に必要なメモリ量がθ並列ハフ変換回路の回路内メモリ量の約1%,必要クロックサイクル数はほぼ同じであることが確認できた.The Hough transform in computer vision algorithms is a method which detects lines from an image and is used in embedded systems such as cellular phones and vehicles because of the robustness. The more the number of pixel, the more difficult it is to process Hough transform in real-time. Thus, researchs on hardware acceleration which parallelize voting operations on the angular parameter θ have been done. In this report, we propose a method for eliminating vote collisions. Collision-free voting memory access is accomplished by selecting the direction of parallelism and changing accuracy of rounding. The voting memory accesses are collision-free. A pixel-parallel Hough transform circuit using collision-free and localized voting memory access is more memory efficient than a θ-parallel circuit and a pixel-parallel circuit, and collision-free. We have evaluated the circuit by comparing clock cycles and amount of memory in the circuit of the circuit and conventional circuits. We compared 16-parallel circuits for VGA image size, and the result shows that clock cycles are almost the same and the circuit has approximately 99% less amount of memory than a θ-parallel circuit.