著者
吉野 大介 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_1229-I_1239, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
19
被引用文献数
2

デマンド交通の運行計画の検討にあたり,運行経路の解のバリエーションが得られることはサービス運営者にとって有効な情報となり得る.しかし,既往の列挙アルゴリズムでは経路列挙のような膨大な組み合わせが存在する際に現実的な計算時間での列挙が困難であった.本研究は,デマンド交通の運行経路をグラフ構造により表現し,与えられたグラフ構造の中からある制約条件を満たすような部分グラフ構造を全て列挙して,それらをZDD(ゼロサプレス型二分決定グラフ)により圧縮表現して索引化する技法について提案した.また,ZDDによって得られた列挙解を用いたネットワーク上での影響分析への適用可能性についても併せて検討を行った.
著者
吉野 大介 羽藤 英二
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.802-809, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
11

公共交通サービスの提供がビジネスとして成立しない地区においては,公的主体により公共交通の整備を行う必要がある場面が見受けられる.その財源として税が投入される場合,社会的合意を得る必要があり,その際には公的負担の上限を鑑み,最も効率的に活動機会の均等化(公平性)が図られる施策を選定する必要がある.このような課題に対するひとつのアプローチとして公共交通需要の顕在化率をもとに施策展開の優先順位を検討する方法があり,包絡分析法を用いた評価手法が先行研究により開発されている.しかしながら,既往の評価手法は静的モデルであり,施策導入前後のwith-without評価に適用することが難しかった.そのため,本研究において包絡分析法とMalmquist指数の組み合わせにより評価モデルの動学化を図った.開発モデルについてはケーススタディの中でその適用可能性を検証し,将来趨勢シナリオではベンチマークとなる地区における需要の顕在化が図られる一方,ベンチマーク地区とそれ以外の地区の格差が広がることから,ベンチマークへの近接を促す施策の導入が必要であることが確認された.
著者
佐藤 啓輔 吉野 大介 小池 淳司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_229-I_240, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
16

アジアの"Land-locked" countriesと呼ばれている内陸国は,貿易にかかる輸送コストの比重が大きく,これが貿易の発展を阻害する大きな要因となっている.このボトルネックを解消すべくADB等の援助機関が各国政府とともに国境をまたぐ幹線道路の整備を行っているが,これらの幹線道路の整備を各国の経済活動の活性化に繋げるには道路整備が地域経済活動へ及ぼす影響を定量的に把握することが重要である.本研究では,"Land-locked" countriesの一部の国々を対象に,現地の交通・物流状況を整理するとともに既存の統計調査結果を用いた産業・物流の実態を分析する.分析にあたっては,現状把握に加えて応用一般均衡(SCGE)モデルを適用し幹線道路整備による空間的な経済効果の波及状況を算出する.