著者
吉開 泰信
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

Mycobacterium bovis BCG感染においてIL-7はIL-17A産生γδT細胞との増殖と維持に、IL-21はエフェクターCD8+T細胞の増殖に働くことがわかった。結核菌由来の防御抗原であるAg85Bとこれらサイトカインの融合蛋白質を分泌するレコンビナント(r) BCGワクチンを作成して、免疫応答を解析した結果、rBCG-IL-7/Ag85BはIL-17A産生γδ型T細胞と抗原特異的CD4+Th1細胞を増加させた。rBCG-Ag85B-IL-21は抗原特異的エフェクターCD8+T細胞を増加させ、相対的に疲弊CD8+T細胞を減少させた。
著者
吉開 泰信
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.6, pp.539-546, 2011 (Released:2011-09-10)
参考文献数
17

T細胞は胸腺で分化して, T細胞レセプター (TCR) で自己の主要組織適合性抗原 (MHC) に提示された抗原を認識してサイトカイン産生や細胞障害活性を通じて, 免疫応答の中心的役割を担う. MHCクラスIIに結合したペプチドを認識する典型的なヘルパーCD4Th細胞はそのサイトカイン産生の特徴によってIFN-γ (γインターフェロン) を産生するTh1細胞, IL-4 (インターロイキン4) を産生するTh2細胞, IL-17を産生するTh17細胞, TGFβ/IL-10を産生する調節性Treg細胞に分類される. さらに最近はIL-9を産生するTh9細胞やIL-22を産生するTh22細胞, リンパ節のB細胞濾胞に局在するIL-21産生Tfh (follicular helper) 細胞などのサブセットの存在も提唱されている. MHCクラスIaに結合したペプチドを認識する典型的なヘルパーCD8T細胞は, 短い寿命のエフェクターT細胞, 末梢へホーミングするエフェクターメモリーT細胞, リンパ節にとどまりIL-2を産生して増殖するセントラルメモリーT細胞に分類され, パーフォリン, グランザイムを産生して細胞障害活性を示す. これらの典型的なCD4/CD8T細胞と異なる自然免疫T細胞 (innate T cells) は, 多型性に乏しいMHCクラスIb様分子に提示される核酸代謝物や糖脂質などペプチド以外の微生物抗原や自己抗原をクロスして認識する. NK関連レセプターやメモリー型の表面形質をもつことが特徴であり, クローン増殖なしにTCR刺激で早期に活性化されエフェクター分子を発現する点で自然免疫に近いT細胞と考えられ, NKT細胞, γδ型T細胞, MAIT細胞, MHCクラスIb拘束性CD8T細胞などがある.
著者
永井 美之 審良 静男 菅村 和夫 柳 雄介 吉開 泰信 堀井 俊宏 光山 正雄 山本 直樹
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

本特定領域は感染と宿主応答の分子論的な最高度の基礎研究を推進し、感染症制御のための技術を開発することを目的とする。総括班は本特定領域研究の目的を厳正かつ遅滞なく達成するために組織された。総括班は班員に理論的、実質的なガイドラインを提示し、且つ、彼らの成果を評価したが、単に研究の質を問うのみではなく、微生物学と免疫学のように異なる研究分野の研究者間の共同研究を支援してきた。そのため、総括班は毎年全体班会議を開催した。会議では各班員が各年度の研究成果を報告し、その評価を受けた。さらに、総括班は、遺伝子操作マウスの作成、霊長類を用いた研究の支援を行うとともに、若手研究者を育成するために、沖縄フォーラムをはじめとする種々の会議を主催した。平成16年、17年度は顕著な研究成果を上げつつある45研究課題を計画研究とし、公募研究課題は100課題を採択した。研究期間中に審査制度のある国際的学術雑誌に3,993編の掲載または掲載確定の論文が公表された。特にImpact Factor (IF)が高いとされるNatureに27編、Scienceには17編が掲載または掲載確定された。その他、IF 10.000以上の一般学術誌では、EMBOに35編、JEMに101編、PNASに87編が掲載または掲載が確定された。これらの研究業績には微生物学者と免疫学者の共同研究による優れた業績も少なからず含まれている。また、これらの業績は総括班が共催する「あわじしま感染症・免疫学国際フォーラム」(平成14年、15年)において発表された。平成17年度には国際シンポジウム「Molecular Bases Underlying Microbial Infections and the Host Responses」を開催し、5年間の成果を発信した。さらに、基礎研究の成果を社会に還元するため、抗マラリア薬N86化合物とDNA/センダイベクター骨格のAIDSワクチンの前臨床試験及び、SE36マラリアワクチンと抗エイズ薬CCR5阻害剤(AK602)の第I相臨床試験を実施した。