著者
和田 邦泰 橋本 洋一郎 中島 誠 植田 光晴
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.822-839, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
118
被引用文献数
4

新型コロナウイルス感染症(corona virus disease 2019,以下COVID-19と略記)の流行により,脳卒中診療は大きく変貌しており,受診数減少,受診遅延,recombinant tissue plasminogen activator静注療法や機械的血栓回収療法の施行数減少などが報告されている.既報告ではCOVID-19患者の1.1(0.4~8.6)%程度に脳卒中が合併している.特徴は,虚血性脳卒中,特に潜因性脳梗塞や大血管病変合併例が多く,D-ダイマー高値例が多く,心血管危険因子を持つ患者での発症が多く,転帰不良例が多いことなどである.また本疾患では動脈血栓塞栓症より静脈血栓塞栓症が多く,急性冠症候群より脳卒中発症が多い.安全で有効かつ迅速な治療を完全な感染対策下で行うprotected code strokeが提案されている.
著者
橋本 洋一郎 和田 邦泰
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.715-719, 2020 (Released:2020-08-01)
参考文献数
18

能動喫煙は脳卒中の危険因子となり、脳卒中発症の相対危険度はその用量に依存して増加し、中年層で最大の相対危険度を示す。脳梗塞(約2倍)とくも膜下出血(約3倍)では、喫煙は明らかな危険因子となっている。脳出血が喫煙で増加するとの報告もあるが、まだ危険因子としては確立されていない。45歳未満の女性では、経口避妊薬使用や前兆のある片頭痛などの危険因子をもつ場合は喫煙による脳卒中の危険性はさらに高くなる。受動喫煙も脳卒中の危険因子(1.25倍)となり、受動喫煙に安全なレベルは存在しない。禁煙により脳卒中の危険度は低下する。