著者
品川 ひろみ
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.224-235, 2011-12-25

本研究は日系ブラジル人が多く入所する保育所において,通訳がどのような役割を果しているのかについて,保育士に対するアンケート調査,園長に対するインタビュー調査をもとに,「日常の保育」と「文化の保障」という二つの視点で検討した。その結果,「日常の保育」においては,通訳の存在は大変重要であり,通訳がいることで子どもや保護者へのコミュニケーションがスムーズにいき,細かいところにまで配慮した保育が実現できることがわかった。「文化の保障」についても,通訳が子どもの母語や文化を保障する役割としても機能していることがわかった。一方で,日本人保育士たちは多様な考えをもち,必ずしも文化の保障が必要であるとは考えていない者も見られた。また,通訳が常駐している保育所と,巡回型の保育所では,通訳の役割そのものは,どちらも同じように重要であったが,巡回型では時間的な制約があり,十分な関わりができない面も確認された。
著者
小野寺 理佳 品川 ひろみ
出版者
北海道大学アイヌ・先住民研究センター
雑誌
北海道アイヌ民族生活実態調査報告 : Ainu Report
巻号頁・発行日
vol.1, pp.89-96, 2012-01

現代アイヌの生活と意識 : 2008年北海道アイヌ民族生活実態調査報告書. 小山透編著
著者
小内 透 野崎 剛毅 濱田 国佑 佐々木 千夏 小野寺 理佳 小内 純子 品川 ひろみ 新藤 慶 新藤 こずえ
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

かつてアイヌの人々への差別は激しかった。とくに学校での差別が多く、差別を嫌い上級の学校へ進学せず条件の悪い職に就く傾向が強かった。その結果、個人所得が低くなり、結婚して子どもが生まれると、世帯所得の低さが子どもの進学にマイナスの影響を与えていた。そのため、アイヌの人々は経済支援や教育支援に対して強い要望をもっている。しかし、一般の住民は差別を解消したり、アイヌ文化を振興したりすることに対しては積極的に支持するものの、アイヌの人々だけを対象にした経済支援や教育支援については否定的であった。今後のアイヌ政策はアイヌの人々と一般の住民の間にある意識のずれを考慮に入れる必要があることがわかった。