著者
濱田 国佑
出版者
北海道大学アイヌ・先住民研究センター
雑誌
北海道アイヌ民族生活実態調査報告 : Ainu Report
巻号頁・発行日
vol.2, pp.157-168, 2012-03-31

現代アイヌの生活の歩みと意識の変容 : 2009年北海道アイヌ民族生活実態調査報告書. 小山透編著
著者
濱田 国佑
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.138, pp.181-194, 2021-06-25

本稿では,大衆化が進んだ大学において民主主義的な価値観がどの程度育まれるのかについて検討を行った。具体的には「リベラル」の対をなす価値観として,「権威主義的態度」および「格差容認意識」の2つの価値意識を設定し,大学教育がこれらの意識に与える効果が1995年から2015年にかけてどのように変化したかを検討した。その結果,特に「権威主義的態度」において,時点間の差異が顕著であり,大学で学ぶことによって権威主義的態度を弱める効果,つまりリベラルな価値観を育む効果は失われつつあることが示唆された。また,1995年時点では,権威主義的態度に対する出身階層の負の影響が,大学教育を受けることで縮小していた。つまり大学教育を受けることで出身階層の高低にかかわらず,非権威主義的な態度が育まれていたのに対し,2015年時点においてこうした傾向は失われていた。
著者
田辺 俊介 松谷 満 阪口 祐介 永吉 希久子 濱田 国佑
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2017年度は、2009年・2013年に実施した先行調査データの再分析を行うとともに、本研究の目的を果たすために必須となる全国調査を実施した。再分析の成果の一つとして、たとえば社会的問題として取り上げられる「嫌韓」という現象に関する分析結果として、以下のことが明らかとなった。まず2009年から2013年の4年間に韓国への好感度は低下し、韓国人への排外性も強まっていた。また2013年では、嫌韓感情に対する愛国主義の影響力が強まり、対韓国・韓国人への態度はより「ナショナリズム化」しているといえる状態になっていた。対中国・中国人感情の悪化も同様の傾向を示したことから、2010年代からの日本の排外主義の高まりの原因の一つとして、地政学的なコンフリクト(竹島・尖閣問題など)の影響が大きいと考えられるまた2017年度の全国調査については、日本全国の有権者(18歳以上80歳未満)を対象とし、70市区町の選挙人名簿から無作為に抽出した10,500名に調査票を送付した(郵送配布・回収)。また本年度調査では、沖縄と他地域との比較を重視したため、上記の70市区町村の内10市町は沖縄県に割り当て、合計1,500名の沖縄県民に調査票を送付した。その結果、全国調査については3822票(転居先不明の方など調査不能を除いた回収率は44.5%)、沖縄調査については504票(転居先不明の方など調査不能を除いた回収率は34.4%)を回収した。回収表の入力作業と基礎的なクリーニング作業は終了しており、対象者向けの速報版調査報告書を作成し、その内容はインターネットを通じて公開済みである。加えて2013年調査で取得したデータについては、日本最大のデータアーカイブであるSSJDAに寄託し、公開済みである。そのことから、本継続調査に類似した関心を持つ幅広い研究者と共有可能なデータを作成できた、と考えている。
著者
濱田 国佑
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-17, 2013 (Released:2016-07-02)
参考文献数
17

本論文では,2005年に実施されたSSM 調査データを用い,新自由主義的な 政策支持と社会に対する閉塞感との関連,さらには社会的不平等感との関連に ついて,世代的な差異に着目しながら検討を行った。 世代別に新自由主義的な政策支持を従属変数にして重回帰分析を行ってみた ところ,「規制緩和支持」に対して「再配分志向」が影響を与えていた。また, 「権威主義」および「閉塞感」については20~34歳の世代でのみ効果が認めら れた。「民営化支持」に対しては,「閉塞感」の効果は見られないものの,20~34 歳の世代で「再配分志向」の効果が見られた。以上の分析結果から,小泉政権 による新自由主義的な改革に対する支持の一因として,「再配分」を求める意識 および「閉塞感」が一定の影響力を持っていることが明らかになったと言える。 次に,構造方程式モデリングによって若年層における意識間の関連について 検討を行ったところ,「閉塞感」から「再配分志向」を経由して新自由主義的な 政策支持に影響を与える間接効果の存在が確認された。「閉塞感」と「再配分志 向」がそれぞれ独立に影響を与えているわけではなく,「閉塞感」を感じる人ほ ど「再配分志向」を高め,それが新自由主義的な政策支持に影響を与えている ことが明らかになった。
著者
田辺 俊介 松谷 満 永吉 希久子 濱田 国佑 丸山 真央 米田 幸弘 斉藤 裕哉 張 潔 五十嵐 彰 伊藤 理史 桑名 祐樹 阪口 祐介
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年の日本のナショナリズムの時点間比較として、前回調査の2009年全国調査データと本科研費によって得た2013年全国調査データを用い、2時点間の比較分析を行った。その結果、愛国主義については大きな変化は見られず、純化主義は一定程度強まる傾向が示された。また排外主義は、対中国・対韓国に対するものと他の外国人に対するものの2種類に分けられた上で、対中国・韓国への排外主義については日本型愛国主義の影響力が強まっていた。この点は、尖閣/釣魚諸島沖衝突事件(2010年)や李 明博大統領の竹島/独島上陸(2012年)ような国家レベルの紛争が、人々の抱く排外主義にも影響した結果と考えられる。
著者
小内 透 野崎 剛毅 濱田 国佑 佐々木 千夏 小野寺 理佳 小内 純子 品川 ひろみ 新藤 慶 新藤 こずえ
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

かつてアイヌの人々への差別は激しかった。とくに学校での差別が多く、差別を嫌い上級の学校へ進学せず条件の悪い職に就く傾向が強かった。その結果、個人所得が低くなり、結婚して子どもが生まれると、世帯所得の低さが子どもの進学にマイナスの影響を与えていた。そのため、アイヌの人々は経済支援や教育支援に対して強い要望をもっている。しかし、一般の住民は差別を解消したり、アイヌ文化を振興したりすることに対しては積極的に支持するものの、アイヌの人々だけを対象にした経済支援や教育支援については否定的であった。今後のアイヌ政策はアイヌの人々と一般の住民の間にある意識のずれを考慮に入れる必要があることがわかった。
著者
濱田 国佑
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.216-231, 2008-06-30 (Released:2010-04-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 3

本稿では,外国人住民が集住する地方工業都市において,日本人住民が外国人住民に対して抱いている否定的意識のあり方とその規定要因を,1999年と2005年の2回にわたって実施した地域住民調査を通じて明らかにする.まず,外国人に対する「排他的意識」の規定要因を分析したところ,1999年の段階では,回答者の居住地域における「外国人比率」が影響を与えていたのに対し,2005年段階では,「外国人比率」の効果はなくなり,それにかわって「ブルーダミー」,あるいは「個人収入」といった変数の影響がみられるようになった.これは,“Group threat theory”と呼ばれる理論を支持するものである.次に,日本人住民によって認識された「生活悪化意識」の規定要因を分析してみたところ,「教育年数」を除いて,有意な効果をもつ変数は確認できなかった.これは,幅広い住民の間で「生活悪化意識」が共有されているということを示唆している.本論文の意義としては,まず第1に,日本の地方工業都市においても“Group threat theory”を支持する知見が得られたこと,そして第2に,「生活悪化意識」と「排他的意識」とではその規定要因が異なっており,「生活悪化」という問題の「認識」と「排他的意識」の「表明」には異なるメカニズムが働いていることが示唆されたという2点を挙げることができる.
著者
濱田 国佑
出版者
日本都市社会学会
雑誌
日本都市社会学会年報 (ISSN:13414585)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.28, pp.101-115, 2010 (Released:2011-12-20)
参考文献数
18
被引用文献数
1

In this paper, I analyzed about the Japanese residents consciousness harbored toward foreign residents using the data of local resident investigations conducted in Oizumi-town, Gunma Prefecture and Toyohashi-city, Aichi Prefecture.     Firstly, it became clear that “contact hypothesis” was supported in Oizumi-town. When they have contact with foreign citizens, their is a tendency to weak exclusive consciousness toward foreign people. On the other hand, “contact hypothesis” was not supported in Toyohashi-city.     Secondly, I analyzed about the contribution factor of “exclusive consciousness” using regression model. Then, it became clear that the “blue-collar worker” made an impact on the “exclusive consciousness” to foreign residents in both areas. Furthermore, the regression slope of the “ratio of foreign residents” in the “blue-collar” category is sharper than other categories. This would suggest that people who feel “threat” of foreign residents might have a tendency to express exclusive consciousness toward foreign residents.     Finaly, I analyezed about the model that social positions and the “ratio of foreign residents” had impacts on “exclusive consciousness” through “perceived threat”. Then, I found that “bluecollar worker” had an indirect impact on “exclusive consciousness” through “perceived threat” in Toyohashi-city.