著者
山崎 慎也 澁澤 登 栗林 剛 唐沢 秀行 大日方 洋
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.522-527, 2012-10-15 (Released:2012-11-30)
参考文献数
11

(1) 杏仁をエタノール濃度0∼99.5 % (v/v)の水溶液に1∼3日間,25℃で浸漬し,アミグダリン量の変化を調べた結果,エタノール濃度10∼30% (v/v)の範囲の水溶液に浸漬した杏仁において,特にアミグダリンの低減促進効果が高かった.(2) 0,20,50% (v/v)のエタノール水溶液に杏仁を浸漬し,アミグダリンの低減における酵素分解と浸漬液への溶出の割合について調べた結果,分解量は20% (v/v),溶出量は50% (v/v)で特に高い数値を示した.(3) 細胞損傷による酵素溶出がエタノール水溶液による低減の要因である可能性について検討し,エタノール濃度0% (v/v)においてもアミグダリンの減少が見られたことなどから,細胞損傷はエタノール水溶液によるアミグダリン低減機構の直接的な要因ではない考えられた.(4) 以上の結果から,エタノール水溶液によるアミグダリン低減促進効果の要因の一つとして,杏仁からのアミグダリンの溶出力とエタノール水溶液中での酵素活性のバランスにより,10∼30% (v/v)のエタノール濃度で特に高くなったという機構を推察した.(5) 杏仁を20% (v/v)エタノール水溶液に35℃で2日間浸漬することによってアミグダリン濃度を低減した後,蒸留水に交換してさらに35℃で2日間浸漬し,その後40℃で16時間送風乾燥を行うことで,最終的にシアン化水素残存量を7μg/gまで低減することができた.本研究の一部は,第58回日本食品科学工学会大会において発表した.
著者
山崎 慎也 澁澤 登 栗林 剛 唐沢 秀行 大日方 洋
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.522-527, 2012-10-15
参考文献数
11

(1) 杏仁をエタノール濃度0&sim;99.5 % (v/v)の水溶液に1&sim;3日間,25℃で浸漬し,アミグダリン量の変化を調べた結果,エタノール濃度10&sim;30% (v/v)の範囲の水溶液に浸漬した杏仁において,特にアミグダリンの低減促進効果が高かった.<BR>(2) 0,20,50% (v/v)のエタノール水溶液に杏仁を浸漬し,アミグダリンの低減における酵素分解と浸漬液への溶出の割合について調べた結果,分解量は20% (v/v),溶出量は50% (v/v)で特に高い数値を示した.<BR>(3) 細胞損傷による酵素溶出がエタノール水溶液による低減の要因である可能性について検討し,エタノール濃度0% (v/v)においてもアミグダリンの減少が見られたことなどから,細胞損傷はエタノール水溶液によるアミグダリン低減機構の直接的な要因ではない考えられた.<BR>(4) 以上の結果から,エタノール水溶液によるアミグダリン低減促進効果の要因の一つとして,杏仁からのアミグダリンの溶出力とエタノール水溶液中での酵素活性のバランスにより,10&sim;30% (v/v)のエタノール濃度で特に高くなったという機構を推察した.<BR>(5) 杏仁を20% (v/v)エタノール水溶液に35℃で2日間浸漬することによってアミグダリン濃度を低減した後,蒸留水に交換してさらに35℃で2日間浸漬し,その後40℃で16時間送風乾燥を行うことで,最終的にシアン化水素残存量を7&mu;g/gまで低減することができた.<BR>本研究の一部は,第58回日本食品科学工学会大会において発表した.
著者
小原 忠彦 大日方 洋 唐沢 秀行 松橋 鉄治郎
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.586-595, 1992
被引用文献数
6

豆乳に塩化カルシウム溶液を添加した際,その反応系の粘度変化を連続計測できるトルク計測システムを使い,「豆乳に対する凝固剤適量」におよぼす豆乳の成分の影響を検討した.<BR>(1) 各種大豆から同一条件で豆乳を調製し,トルク計測システムから得られる最高トルク到達時間(<I>MVT</I>)と豆乳成分の分析値との相関関係を検討した.その結果,最大トルク到達時間は豆乳の蛋白質,灰分,リンおよびカリウムとの問に,それぞれ正の相関関係が認められた.また,豆乳の電気伝導度との間には正の相関関係が,大豆浸漬液の電気伝導度との間に負の相関関係があった.<BR>(2) 市販脱脂大豆より脱脂大豆水抽出液,酸沈澱蛋白質溶液およびホエーを調製し,モデル凝集試験を行った.蛋白質濃度の増加は最大トルク到達時間を増加させた.脂質の添加は最大トルク到達時間には影響を及ぼさないが最高トルク(<I>MV</I>)を増加させた.豆乳のpHが減少すると最大トルク到達時間が減少し平坦トルク(<I>FV</I>)も減少したが,最大トルクは一定であった,脱脂大豆水抽出液を透析すると,透析時間とともに最大トルク到達時間は減少した.一方,酸沈澱蛋白質溶液にホエーを添加すると最大トルク到達時間は増加した.このような最大トルク到達時間の増減から,凝固剤を消費する成分割合は蛋白質区分が65%,ホエー区分が35%であることがわかった.分画分子量の異なる膜を使い,電気透析したホエーの添加試験から,ホエー中の凝固剤を消費する成分因子の分子量は約300~1000と分った.また,化学分析の結果,クエン酸やリンを含む窒素化合物であることが確かめられた.<BR>(3) 大豆の浸漬液中及び豆乳中のリン,クエン酸を数点の大豆について定量し,最大トルク到達時間との関係を考察した.
著者
大日方 洋 唐沢 秀行 村松 信之
出版者
長野県食品工業試験場
巻号頁・発行日
no.28, pp.61-64, 2000 (Released:2011-03-05)

寒天の熱水可溶性という特徴を活かした可食性フィルムの開発を目標として、ここでは特に可食性フィルムの基礎的特性である強度及び熱特性について検討を行い、以下の結果を得た。 1.寒天及びゼラチンを主成分とする可食性フィルムは、引張強度は大きいが伸びが小さく、硬くて脆い性質を示した。 2.グリセリンやソルビトールのような多価アルコールの添加は可食性フィルムに柔軟性を与えるのに有効であった。 3.寒天とゼラチンの混合フィルムは、水分がある状態では65℃以上に融点をもつため、通常のインパルスシーラーでシールでき、かつ熱水可溶性であることが確認された。
著者
金子 昌二 唐沢 秀行 大日方 洋
出版者
長野県工業技術総合センター
雑誌
長野県工業技術総合センター研究報告 (ISSN:18813119)
巻号頁・発行日
no.3, pp.152-158, 2008

湿式で試料の分散・粉砕・微細化がインラインで行える装置を用いて、オカラ分離前の"呉"に微細化処理を施し、オカラの減量化やその全量を用いる豆腐(以下全粒豆腐)製造について検討を行った。その結果、微細化処理によりオカラ量が減量することが確認された。また、全粒豆腐の凝固剤にはニガリが好ましく、外観や凝固性の向上には脱気処理が必須で、TG製剤の併用が効果的であった。そして、全粒豆腐はオカラを分離した豆腐より食物繊維、カルシウム成分が多い傾向にあり、官能評価では甘みやコクが感じられ、ザラツキ評価は不快な評価ではなかった。