- 著者
-
喜多 信之
- 出版者
- 一般社団法人 日本エネルギー学会
- 雑誌
- 燃料協会誌 (ISSN:03693775)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.1, pp.32-50, 1962-01-20 (Released:2010-06-28)
- 参考文献数
- 31
本研究は主としてピッチ練炭の燃焼時の崩壊現象を究明し, 蒸気機関車の高燃焼率にともなう損失の増大に対処せんとするものである。練炭は機関車火床において多様の崩壊現象を呈するが, 一般に崩壊性は炭種, 製造条件および燃焼条件によつて変化することを述べた後, これを整理して4つの崩壊型すなわち凝結型, 花弁型, 細粉型および膨脹型に整理分類できることを指摘した。さらに諸型の生成機構について調べた結果, 急速加熱にもとずく加熱方向収縮差による亀裂, 膨脹抑制作用および石炭のピツチ接着面における粘結性による融合作用ならびに収縮性による剥離作用などの組合せによつて成立することを明らかにした。つづいて現車試験を行い崩壊型と燃焼損失の関係を求め, 凝結型は燃渣損失の増大, 細粉型はシンダー損失の増大, また膨脹型は焚火障害のため, いずれも不適当で, 花弁型が各種損失が最小で機関車用として最適であるとした。以上によつて (1) 機関車用練炭の具備条件として従来の発熱量, 強度などのほかに花弁型の崩壊性を持つこと6 (2) 花弁型の生成理論を応用することにより, たとえ単身では細粉型あるいは凝結型となる原料炭を用いても, その適度の配合によつて花弁型練炭を製造することができる。