著者
國井 大輔 喜多 秀行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00211, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
18

過疎地域における生活の足を確保するため,コミュニティバスからタクシーや自家用車を活用した互助的な個別輸送サービスへの転換を図る自治体が増加しているが,もともと人口が少ない過疎地域においては,個別輸送サービスの採算性と利便性を同時に確保することは容易でなく,自治体からの公的支出は年々増加し,現状のままでは立ち行かなくなりつつある状況も見受けられる.本研究では,それらの課題を解決すべく,先に提案したタクシーとボランティア輸送を一体的に運営する公共交通サービスの仕組み「準交通空白地有償運送(仮称)」の社会実装にむけて,法制度上・運用上の課題を洗い出すとともに,課題解決のための対応策を提案した.
著者
國井 大輔 喜多 秀行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.II_623-II_633, 2022 (Released:2022-04-20)
参考文献数
29

過疎地域においては,路線バスの代替交通手段としてコミュニティバスやデマンド交通等の運行が行われているが,利便性と持続可能性の両立が困難な地域が少なからず存在している.そのような地域においては低廉な運賃でサービスを提供することができるライドシェアが自家用有償旅客運送という形で運行されているが,ドライバー不足等の問題でサービスの維持が困難な地域もでてきている.一方で,近年はタクシーを利活用する動きが活発化しているが,自治体の財政負担が増加傾向であるため,持続可能性が懸念されている.本研究では,公共交通サービスが具備すべき様々な条件を基に,過疎地域におけるニーズの隙間(ギャップ)の存在を明らかにする.また,そのギャップを埋めるためのライドシェア活用方策に着目し、現状課題と将来展望について述べる.
著者
喜多 秀行 國井 大輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.22-00046, 2023 (Released:2023-07-20)
参考文献数
13

過疎地域における生活の足を確保するため,コミュニティバスからタクシーや自家用車を活用した互助的な個別輸送サービスへの転換を図る自治体が増加しているが,もともと人口が少ない過疎地域においては,個別輸送サービスの採算性と利便性を同時に確保することは容易でなく,自治体からの公的支出は年々増加し,現状のままでは立ち行かなくなりつつある状況も見受けられる.そこで本研究では,タクシーとボランティア輸送を一体的に運営する新たな公共交通サービスの仕組み「準交通空白地有償運送(仮称)」を提案する.いくつかのサービス特性と地域特性を想定し,運行形態や運賃に関する施策が採算性に及ぼす影響について分析した結果,制度面での制約等はあるものの,一定の条件下ではサービスが成立する可能性が確認できた.
著者
西村 和記 東 徹 土井 勉 喜多 秀行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.I_809-I_820, 2019 (Released:2019-12-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1

利用者の減少等から地域公共交通の維持が困難な状況となっているため,行政から補助金等の財政支出がなされている.しかし,これまで企業として独立採算で運営されていた交通事業者に補助金を継続して投入することに対しては,行政側の財政難からの否定的な意見なども少なくない.一方,地域公共交通の価値や必要性を重要視する声も多数あるが,これまでは定性的に述べられていることが多く,収支率以外に定量的に評価されたものが残念ながら少ない状況である.そこで本研究では,クロスセクター効果の考え方から,地域公共交通の定量的な価値算定を試みるものである.このことを通じて「公共交通の赤字」という意味を改めて考え直し,地域公共交通への支援は赤字補填ではなく,地域を持続するための必要な支出であることを考察するものである.
著者
喜多 秀行 月岡 修一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.145-152, 2005-10-31 (Released:2010-06-04)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

本研究では, より正確なバス利用者ODパターンのデータを得るため, 停留所別の乗降者数を基にした推計方法を開発し, 現実のバス路線データを用いて推計方法の妥当性を検討した. その結果, 路線によって差はあるが, 観測乗降者数データのみから, 補助金の算定やバスサービスの向上に必要とされる, より正確なバス利用者ODパターンを推計することが可能となった. また, 限定的な調査結果を年間データに拡大して用いなくとも, 比較的簡単に観測できる乗降者数データを基に推計することができることを示した. 今後は推計計算の考え方について更に検討を行い, より推計精度を向上させる方法を開発する.
著者
喜多 秀行 谷本 圭志 福山 敬
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.737, pp.147-157, 2003-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2

個人間での意思決定に基づく個人の選択行動を分析する道具としてゲーム理論がある. ゲームを用いてある現象の再現を試みる場合には, 利得を正確に与える必要がある. しかし, ゲームの分析者は利得を観測しえないため, これをどのように推定するかが問題となる. 一方で, ゲームの結果は分析者によって観測可能である. そこで本研究では, 同一の利得関数をもつプレイヤーによって行われる2人ゲームを複数回観測した結果を用いて利得の構造を逆解析する方法を提案する. その際, 離散選択モデルをベースとし, 最尤推定法を用いることで利得を推定しうることを示す.
著者
西村 和記 土井 勉 喜多 秀行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.I_809-I_818, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
12
被引用文献数
4

地方部の公共交通利用者は減少傾向が続いていることから維持が困難な状況となっているため,補助金という形で行政支援がなされている.しかし,行政側も財政難から公共交通に対する財源確保が困難な状況である.また,これまでは公共交通の価値や必要性を交通分野単独で検討していることが多く,収支を重視した評価を行う結果,公共交通の価値や必要性が小さく評価されている面もある.そこで本稿では,交通分野だけでなく他の行政分野も含めて社会全体の支出の削減を目的として,公共交通の価値や必要性をクロスセクターベネフィットの考え方から整理した.公共交通が関係する12分野において,公共交通が担っている役割・効果,そしてその価値を算出した結果,公共交通が地域社会に果たす役割は大きいものであることが本稿により明らかになった.