著者
大平 悠季 桑野 将司 福山 敬
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.319-325, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
10

我が国の地方都市では,人口減少やモータリゼーションに伴う郊外化の進行によって,中心市街地の空き店舗が増加し,商店街が空洞化している.本研究は,中心市街地の魅力を向上させるための施策を検討する第一段階として,鳥取市をケーススタディとし,空間構造の観点からみて利便性の高い場所の土地利用状況の有効性を診断することを目的とする.分析に際して,中心市街地を訪問する人々の行動を直接観察するのではなく,ネットワーク理論や地理空間情報システム(GIS)を援用し,中心市街地の骨格を形成する街路や都市施設の空間構造の特性を表す客観的な指標に基づいた分析を通じて,潜在的ににぎわいが形成されやすい場所を明らかにし,中心市街地整備方策に対する示唆を導き出す点に新規性がある.分析結果より,対象地域では,歩行者・自転車による利用が多い施設の周辺では,施設のにぎわいが波及することによって空き店舗が少ない状況を維持できているのに対し,自動車利用が中心の施設である施設の周辺ではそのような波及効果が得られていないことがわかった.
著者
喜多 秀行 谷本 圭志 福山 敬
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.737, pp.147-157, 2003-07-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
15
被引用文献数
2

個人間での意思決定に基づく個人の選択行動を分析する道具としてゲーム理論がある. ゲームを用いてある現象の再現を試みる場合には, 利得を正確に与える必要がある. しかし, ゲームの分析者は利得を観測しえないため, これをどのように推定するかが問題となる. 一方で, ゲームの結果は分析者によって観測可能である. そこで本研究では, 同一の利得関数をもつプレイヤーによって行われる2人ゲームを複数回観測した結果を用いて利得の構造を逆解析する方法を提案する. その際, 離散選択モデルをベースとし, 最尤推定法を用いることで利得を推定しうることを示す.
著者
佐々木 公明 日野 正輝 長谷部 正 山本 啓 小林 一穂 照井 伸彦 赤松 隆 徳永 幸之 林山 泰久 福山 敬 徳川 直人 平野 勝也 伊藤 房雄 村山 良之 横井 渉央 張 陽
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

日本の集計データに基づいた幸福関数の統計的分析は「他者との比較」を表す生活水準が住民の幸福度に影響を与えることを示す。一方、物質の豊かさの価値よりも心の豊かさに価値を置く方が幸福度を増加させる。幸福度は所得満足度と共に単調に増加するが、所得満足度は生得水準の単調増加ではなく、「快楽の踏み車」仮説があてはまる。社会環境を表す所得分配の不平等と失業率はいずれも個人の幸福度に負の影響を与えるが、不平等よりも失業が住民の幸福により大きな影響を与える。