著者
土井 理美 坂野 朝子 武藤 崇 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.83-94, 2017-01-31 (Released:2017-10-11)
参考文献数
31
被引用文献数
3

本研究の目的は、Acceptance & Commitment Therapy(ACT)の文脈における「価値」に沿った行動を測定するValuing Questionnaire(VQ)の日本語版を作成し、信頼性および妥当性の検証を行うことであった。大学生262名を対象に確認的因子分析、構成概念妥当性、内的整合性の検討を行い、大学生65名を対象に再検査信頼性および測定誤差の検討を行った。その結果、日本語版VQは10項目2因子構造であり、信頼性と妥当性を有する尺度であることが示された。これまでの価値に沿った行動を測定する尺度と比べ、測定が容易であることから日本語版VQは研究上および臨床上の効果測定に活用できる。今後は、臨床群を対象とした場合でも同様の因子構造が仮定されるかを検討する必要がある。
著者
土井 理美 横光 健吾 坂野 雄二
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.45-55, 2014-01-31

本研究の目的は、Acceptance and Commitment Therapy(Hayes et al.,1999)の文脈で用いられる「価値」の概念を多面的に測定することが可能であるPersonal Values Questionnaire II(PVQ-II;Blackledge et al.,2010)の因子構造、内的整合性、妥当性を検討し、PVQ-IIがより活用されるよう精緻化を行うことであった。大学生、大学院生、一般成人388名を対象に項目分析、探索的因子分析を実施した結果、1項目が削除され、PVQ-IIは8項目3因子構造であることが示された。また内的整合性、妥当性ともに十分な値が示された。そして、413名を対象に確認的因子分析を実施した。その結果、第1因子と第3因子の相関を仮定した3因子構造モデルの適合度は十分な値を示していた。その結果、PVQ-IIの標準化に関するデータを追加し、わが国でもPVQ-IIの利用が可能であることが明らかとなった。今後は、PVQ-IIをわが国においても普及させていくために、わが国におけるPVQ-IIの特異性を明らかにしていく必要がある。
著者
土井 理美 横光 健吾 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.45-55, 2014-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
4

本研究の目的は、Acceptance and Commitment Therapy(Hayes et al.,1999)の文脈で用いられる「価値」の概念を多面的に測定することが可能であるPersonal Values Questionnaire II(PVQ-II;Blackledge et al.,2010)の因子構造、内的整合性、妥当性を検討し、PVQ-IIがより活用されるよう精緻化を行うことであった。大学生、大学院生、一般成人388名を対象に項目分析、探索的因子分析を実施した結果、1項目が削除され、PVQ-IIは8項目3因子構造であることが示された。また内的整合性、妥当性ともに十分な値が示された。そして、413名を対象に確認的因子分析を実施した。その結果、第1因子と第3因子の相関を仮定した3因子構造モデルの適合度は十分な値を示していた。その結果、PVQ-IIの標準化に関するデータを追加し、わが国でもPVQ-IIの利用が可能であることが明らかとなった。今後は、PVQ-IIをわが国においても普及させていくために、わが国におけるPVQ-IIの特異性を明らかにしていく必要がある。
著者
井上 裕子 松山 祐輔 伊角 彩 土井 理美 越智 真奈美 藤原 武男
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.283-294, 2020-04-15 (Released:2020-05-08)
参考文献数
37

目的 う蝕は進行性の疾患であり,う蝕と診断された場合には早期に受診し適切な管理を受けることが重要である。しかし,う蝕と診断されても歯科受診に至らない子どもの存在が問題となっている。本研究では,う蝕と診断された子どもの歯科受診に消極的な保護者の態度(消極的受診態度)に関連する要因を明らかにすることを目的とした。方法 東京都足立区で実施された「足立区子どもの健康・生活実態調査」の2016年の調査データを使用し横断研究を行った。区立小学4年生,6年生,中学2年生の保護者1,994人に調査票を配布し,1,652人から有効回答を得た(有効回答率83%)。子どものう蝕が指摘された場合に保護者がすぐに歯科医院に連れて行けるかを「すぐに行く」「すぐには行けない」の二択で回答を得た。また,すぐには行けないと回答した理由についても回答を求めた。受診態度が実際の受診行動を反映しているか検証するために,学校歯科健康診断の結果から得た未処置歯の有無とクロス集計し,指標の妥当性を確認した。受診態度および未処置歯の項目が欠損値でない1,613人を対象に,消極的受診態度と子どもの性別,学年,世帯収入,父母の最終学歴,家族構成,きょうだい人数,祖父母との同居,父母の就業形態,父母の帰宅時間,朝食の頻度,間食摂取の自由度,ジュースの摂取頻度,歯みがき回数,子どもとの関わりの関連をロジスティック回帰分析で検証した。結果 269人(16.7%)の保護者が消極的受診態度を示した。その理由として「歯科医院へ連れていく時間がないから」(172人,55.8%)がもっとも多かった。未処置歯のある子どもの保護者は消極的受診態度を示す者が有意に多かった(P<0.001)。母親の最終学歴が中学校または高校であること,子どもが朝食を食べないこと,歯磨き回数が少ないことが保護者の消極的受診態度に有意に関連した。小学生においては,母親が就業していること,母親の帰宅時間が遅いこと,保護者が子どもの勉強をみていないことも保護者の消極的受診態度に有意に関連した。結論 医療費助成のある地域であっても,子どもの歯科受診は母親の社会的背景および家庭要因の影響を受けることが明らかになった。消極的受診態度の改善には,医療費助成だけでなく,家庭の社会的背景にも配慮した支援を積極的に行っていくことが求められる。