著者
高階 光梨 鈴木 ひかり 白塚 龍太郎 大橋 佳奈 宮下 太陽 横光 健吾
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.1-10, 2021-01-31 (Released:2021-05-18)
参考文献数
16

近年、多くのスマートフォン用アプリケーション・プログラムが抑うつ症状を呈する者や抑うつの予防のために開発され、日常生活場面での情報提供、支援、介入の機会を提供している。本研究は、うつ病に対する心理学的支援を目的としたアプリに関する日本の現状を明らかにすることであった。アプリケーションストアでダウンロード可能なうつ病や抑うつ症状を対象としたアプリは47個であった。ダウンロード可能なアプリについてApp Evaluation Model、アプリの主たる目的、テクノロジーコンポーネント、および治療を目的としたアプリに含まれる認知行動療法の要素について評価を行った結果、概してエビデンスに基づいており、安全で、使用者が期待するサービスを提供しているアプリはほとんど開発されていないことが示唆された。本研究はわが国において利用できるうつ病を対象としたアプリの最初のレビューであり、その枠組み作りに役立つであろう。
著者
横光 健吾 高階 光梨 山本 哲也
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.20-043, (Released:2022-05-20)
参考文献数
27

認知行動療法は、さまざまな臨床心理学的問題に対する心理療法の中心的存在として、問題解決に挑み続けてきている。本論文では、遠隔心理実践の統合モデルを紹介するなかで、①遠隔心理支援の概要、および遠隔心理実践における認知行動療法の位置づけ、②支援者の関わりが少ない支援の中で重要となる要素、および活用事例、③ICTツールを用いた認知行動療法の普及に向けた課題、を整理することを通して、遠隔心理支援に関する支援者のリテラシーの向上に寄与したい。
著者
井上 和哉 佐藤 健二 横光 健吾 嶋 大樹 齋藤 順一 竹林 由武 熊野 宏昭
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.101-113, 2018-05-31 (Released:2019-04-05)
参考文献数
34
被引用文献数
2

本研究では、スピーチ場面に対するウィリングネスの生起には、価値の意識化のみで十分であるか、それとも、価値の意識化の前に創造的絶望を付加することが必要であるかを検討した。社交不安傾向者の学生22名を創造的絶望+価値の意識化群、価値の意識化のみ群、統制群の3群に割り当て、介入効果の比較を行った。価値の意識化のみ群、統制群には創造的絶望を実施せず、回避行動が一時的に有効であることを話し合った。介入から一週間後のスピーチ課題時に、創造的絶望+価値の意識化群、価値の意識化のみ群には価値を意識させ、統制群には価値を感じないものを意識させた。その結果、創造的絶望+価値の意識化群のスピーチ場面に対する前向き度が統制群より増加した可能性が示された。また、創造的絶望+価値の意識化群のスピーチ場面から回避したい度合いが他群より減少した可能性が示された。
著者
入江 智也 横光 健吾 北田 隆義 中江 重孝
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.163-174, 2016-05-31 (Released:2019-04-27)
参考文献数
28
被引用文献数
2

本報告は、抑うつ気分を訴え来院した32歳男性に対し、医療機関においてアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)に基づく介入を実施した症例報告である。過去の出来事に対する後悔や将来の悲観に伴い、機能的な活動が制限されていると考えられたため、マインドフルネスを中心としたトレーニングを行った。しかしながら、突発的なストレッサーに伴い、希死念慮を含む抑うつ症状の悪化が認められたため、薬物療法を含む希死念慮に対する介入を行った。このことから、不快な私的体験のコントロール・アジェンダが維持または強化されている可能性が考えられたため、改めて創造的絶望のプロセスを実施したうえで価値のワークの介入を行った。その結果、再就職をはじめとした活動レパートリの増加が認められ、結果として症状の緩和が認められた。本事例から、医療機関においてACTを適用するための必要条件について考察する。
著者
横光 健吾 金井 嘉宏 松木 修平 平井 浩人 飯塚 智規 若狭 功未大 赤塚 智明 佐藤 健二 坂野 雄二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.354-360, 2015 (Released:2015-10-25)
参考文献数
23
被引用文献数
4 4

This study explores the psychological effects that Japanese people experience when consuming their “Shikohin”, such as alcohol, tea, coffee, and tobacco. We conducted a cross-sectional study among 542 people, from 20-to 69-year-old, who regularly consumed any one of “Shikohin” in Tokyo, Kanagawa, Saitama, and Chiba. The participants responded to an anonymous questionnaire concerning the consumption patterns of their “Shikohin” and the psychological effects that they experienced in taking in their “Shikohin”. Results obtained using the K-J methods showed three common psychological effects in each “Shikohin”. These effects included an increase in relaxation response, the promotion of social relationships, and an increase in positive mood. Our findings suggest that Japanese people may get some common effects through consumption of different “Shikohin”.
著者
土井 理美 横光 健吾 坂野 雄二
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.45-55, 2014-01-31

本研究の目的は、Acceptance and Commitment Therapy(Hayes et al.,1999)の文脈で用いられる「価値」の概念を多面的に測定することが可能であるPersonal Values Questionnaire II(PVQ-II;Blackledge et al.,2010)の因子構造、内的整合性、妥当性を検討し、PVQ-IIがより活用されるよう精緻化を行うことであった。大学生、大学院生、一般成人388名を対象に項目分析、探索的因子分析を実施した結果、1項目が削除され、PVQ-IIは8項目3因子構造であることが示された。また内的整合性、妥当性ともに十分な値が示された。そして、413名を対象に確認的因子分析を実施した。その結果、第1因子と第3因子の相関を仮定した3因子構造モデルの適合度は十分な値を示していた。その結果、PVQ-IIの標準化に関するデータを追加し、わが国でもPVQ-IIの利用が可能であることが明らかとなった。今後は、PVQ-IIをわが国においても普及させていくために、わが国におけるPVQ-IIの特異性を明らかにしていく必要がある。
著者
横光 健吾 入江 智也 斎藤 了 松岡 紘史 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.95-104, 2014-05-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、病的ギャンブリングに対する認知行動療法がどの程度有効であるかを検討するため、PGの診断を受けている参加者に対して実施され、かつ研究の質の高い治療効果研究を対象にメタアナリシスを実施することであった。論文検索にはPsycINFO、MEDLINE、PubMed、CiNii、医中誌を使用した(2012年2月時点)。また、各論文の引用文献による検索を行った。抽出された213件を対象に、適格基準と研究の質の検討を行った結果、4編の論文(7件の治療プログラム)がメタアナリシスの対象となった。その結果、認知行動療法は、治療終結期のギャンブル行動、ギャンブル費用、病的ギャンブリングの症状を減少させ、ギャンブル行動とギャンブル費用について、その効果が6ヵ月後においても維持されることが示された。今後の課題として、異質性と公表バイアスの結果から、今後の病的ギャンブリングに対する認知行動療法について、サンプルサイズの大きい研究の必要性が述べられた。
著者
土井 理美 横光 健吾 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.45-55, 2014-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
4

本研究の目的は、Acceptance and Commitment Therapy(Hayes et al.,1999)の文脈で用いられる「価値」の概念を多面的に測定することが可能であるPersonal Values Questionnaire II(PVQ-II;Blackledge et al.,2010)の因子構造、内的整合性、妥当性を検討し、PVQ-IIがより活用されるよう精緻化を行うことであった。大学生、大学院生、一般成人388名を対象に項目分析、探索的因子分析を実施した結果、1項目が削除され、PVQ-IIは8項目3因子構造であることが示された。また内的整合性、妥当性ともに十分な値が示された。そして、413名を対象に確認的因子分析を実施した。その結果、第1因子と第3因子の相関を仮定した3因子構造モデルの適合度は十分な値を示していた。その結果、PVQ-IIの標準化に関するデータを追加し、わが国でもPVQ-IIの利用が可能であることが明らかとなった。今後は、PVQ-IIをわが国においても普及させていくために、わが国におけるPVQ-IIの特異性を明らかにしていく必要がある。
著者
入江 智也 河村 麻果 青木 俊太郎 横光 健吾 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.1-12, 2019-01-31 (Released:2019-06-08)
参考文献数
28

本研究は、大学生の精神的健康に対する集団アクセプタンス&コミットメント・セラピー(G-ACT)の効果の検討を目的として行われた。大学生17名のうち9名(男性4名、女性5名)をG-ACT群、8名(男性1名、女性7名)を通常介入群に割り付けた。G-ACTはアクセプタンスとマインドフルネスに関わるワーク、コミットメントと行動変容に関わるワークを含む全6セッションから構成された。通常介入は学生相談サービスの利用であった。測定は、G-ACT実施前、実施後、実施1カ月後時点で実施した。線形混合モデルによる解析の結果、G-ACT群は通常介入群と比較して、実施後時点において不快気分の改善、および行動の活性化が、実施1カ月後時点において不快気分の改善および心理的柔軟性の向上が認められた。価値の明確化および回避行動は、G-ACT群と通常介入群の変化量の差異は認められなかった。以上の結果を踏まえ、大学生に対してG-ACTを実施するうえでの留意点について考察を行った。
著者
瀧川 真也 横光 健吾
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.49-58, 2019-08-31 (Released:2019-09-14)
参考文献数
31
被引用文献数
1

これまでの研究により,嗜好品の摂取には心理学的効果があることが確認されている.本研究は,嗜好品の自伝的記憶に着目し,嗜好品に関する回想機能の特性とその加齢の影響について検討を行った.日常的に嗜好品を摂取している20歳から79歳までの1,800名(平均年齢=49.49歳,SD=16.32)を対象にオンライン調査を行った.調査協力者は,コーヒー,茶,タバコ,酒のうち最も好んで摂取している嗜好品に関する記憶について回想機能尺度に回答した.分析の結果,年代間で,“アイデンティティ”や“辛い経験の再現”などの回想機能に差があることが確認された.また,“退屈の軽減”や“会話”などの回想機能では,嗜好品の種類により回想機能が異なることが明らかとなった.
著者
横光 健吾 金井 嘉宏 佐藤 健二 杣取 恵太 坂野 雄二
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.87-90, 2019-07-01 (Released:2019-07-06)
参考文献数
20

The purpose of this cross-sectional study was to examine the relationship between happiness, satisfaction, and the psychological effects of consuming “shikohin” at social events on psychological health. Five hundred and thirty-two participants (270 men, 262 women; mean age=44.91 years, SD=13.81 years) from a community sample in Tokyo, Kanagawa, Saitama, and Chiba completed a set of questionnaires and the data were analyzed. The results of partial correlation analyses showed that when people experienced positive and negative social life events, the psychological effects of consuming “shikohin” showed a weak but positive correlation with happiness and satisfaction.
著者
杉原 百合子 武地 一 山本 晃輔 岩崎 陽子 横光 健吾
出版者
同志社女子大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2019-10-07

健常な高齢者あるいはMCIの段階からの、効果的・実用的な認知症予防プログラム開発が、わが国のみならず世界的にも喫緊の課題である。本研究では、①日本・スウェーデン共同で「嗅覚感応デジタルデバイスゲームを応用した認知症予防プログラム」を開発すること、②開発した認知症予防プログラムの高齢者に対する効果を縦断的に測定すること、を目的とする。そのために、スウェーデンで構築されている「嗅覚ゲーム」の研究チームに、日本から認知症診療・ケアを専門とする医学・看護学の研究者および「嗅覚」を専門とする研究者グループが参画し、認知症の人の特性等を考慮した予防プログラムの開発及び効果測定に主導的な役割を果たす。
著者
入江 智也 横光 健吾 河村 麻果 藤田 雅彦 坂野 雄二
出版者
日本不安症学会
雑誌
不安症研究 (ISSN:21887578)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.72-82, 2015-11-30 (Released:2015-12-10)
参考文献数
33

本研究では,精神科外来における集団形式のアクセプタンス&コミットメント・セラピー(G-ACT)の効果を検討した。G-ACTは,アクセプタンスとマインドフルネスに関わるエクササイズとホームワーク,コミットメントと行動変容に関わるエクササイズとホームワークを含む全8セッションから構成された。分析は11名(男性5名,女性6名,平均年齢=38.73±5.93歳)を対象に,G-ACT実施前,実施後,実施後1カ月時点の,STAI, 認知的統制尺度の破局的思考の緩和因子,AAQ-IIの得点を用いて行われた。その結果,G-ACT実施後ならびに実施後1カ月時点において,不安症状の減少と心理的柔軟性の向上が認められた。また,それぞれの変化は中程度から大きな効果であった。以上のことから,G-ACTは不安症状に対して有効であり,本研究は不安症状を抱える患者に対するG-ACTの適用を支持する成果を示すものである。
著者
横光 健吾 金井 嘉宏 佐藤 健二 杣取 恵太 坂野 雄二
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.28.1.7, (Released:2019-06-07)
参考文献数
20

The purpose of this cross-sectional study was to examine the relationship between happiness, satisfaction, and the psychological effects of consuming “shikohin” at social events on psychological health. Five hundred and thirty-two participants (270 men, 262 women; mean age=44.91 years, SD=13.81 years) from a community sample in Tokyo, Kanagawa, Saitama, and Chiba completed a set of questionnaires and the data were analyzed. The results of partial correlation analyses showed that when people experienced positive and negative social life events, the psychological effects of consuming “shikohin” showed a weak but positive correlation with happiness and satisfaction.
著者
横光 健吾 入江 智也 斎藤 了 松岡 紘史 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.95-104, 2014

本研究の目的は、病的ギャンブリングに対する認知行動療法がどの程度有効であるかを検討するため、PGの診断を受けている参加者に対して実施され、かつ研究の質の高い治療効果研究を対象にメタアナリシスを実施することであった。論文検索にはPsycINFO、MEDLINE、PubMed、CiNii、医中誌を使用した(2012年2月時点)。また、各論文の引用文献による検索を行った。抽出された213件を対象に、適格基準と研究の質の検討を行った結果、4編の論文(7件の治療プログラム)がメタアナリシスの対象となった。その結果、認知行動療法は、治療終結期のギャンブル行動、ギャンブル費用、病的ギャンブリングの症状を減少させ、ギャンブル行動とギャンブル費用について、その効果が6ヵ月後においても維持されることが示された。今後の課題として、異質性と公表バイアスの結果から、今後の病的ギャンブリングに対する認知行動療法について、サンプルサイズの大きい研究の必要性が述べられた。