著者
坂口 嘉之 美濃 導彦 池田 克夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.483-491, 1995-03-25
参考文献数
20
被引用文献数
14

衣服の数値計算において,動的に変形する衣服と人体との衝突を,摩擦と跳ね返りの影響をも含んだ制約条件とみなした制約充足型アプローチによる衝突の影響の計算方法とその応用について述べる.衣服の変形過程は,衣服の自己衝突と人体形状に影響されるため,衣服形状を計算するには,これらとの衝突を計算する必要がある.また,衣服を着た人間の動きを表現する場合には,衣服の動きと人体の動きの両方を考慮した衝突計算を行わなければならなず,複雑で時間のかかる処理となる.しかし,人体の動きと衣服の動きの相対速度が十分小さい場合には,衣服から人体への衝突だけに注目すればよく,計算速度を向上させることができる.計算実験として,実際の婦人用ワンピースの型紙と,実測の布特性を用いて,距離画像から作成した人体モデルに着せつけた.その結果,布が人体表面を滑らかにすべるような状況が計算でき,計算結果は実物の形状に近いものになった.
著者
武田 祐樹 坂口 嘉之 田中 弘美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.132-143, 2008 (Released:2009-01-14)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

織物の異方性反射特性を表現するためには,任意の入射方向の入射光に対する任意の視方向への反射光の比率を表す双方向反射分布関数(BRDF) が必要である.本論文では,光沢のあるシルクライク織物を対象とし,繊維の断面形状と織構造の違いにより織物の光沢感に相違が現れることに着眼し,入射方向を固定し反射光の分布を多視点観測した,少数視点画像に基づいた効率的なBRDF の自動生成法を提案する.まず,無彩色(黒色)の織物表面に対し入射方向を鉛直方向に固定し,織構造の直交二軸性に基づいて選択された1/8 球の視点範囲内で,少数の多視点画像を獲得し鏡面反射光の分布を観測する.獲得した観測画像データを用いて基準異方性反射分布と呼ぶ基準鏡面反射モデルを生成する.次に,入射方向を変化させた場合の基準異方性反射分布の変化を多視点から観測し,獲得した多視点画像から,光の反射と屈折を表すフレネル効果を考慮した反射光解析により,直交二軸性の異方性反射特性を抽出する.得られた特性に基づき,基準異方性反射分布から高精度のBRDF を生成する.生成したBRDF を用いて異方性反射レンダリングを実現し,同素材の任意に彩色されたドレス着装シミュレーション実験結果から提案手法の有効性を確認する.
著者
坂口 嘉之
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1997-03-24

本文データは平成22年度国立国会図書館の学位論文(博士)のデジタル化実施により作成された画像ファイルを基にpdf変換したものである
著者
坂口 嘉之 美濃 導彦 池田 克夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.11, pp.2210-2219, 1994-11-25
被引用文献数
12

人間が衣服を着て着飾って動く状況を作り出す仮想服飾環境(PARTY)における,衣服形状を計算するときに用いる,型紙と人体モデルとに適用する格子形成法について述べる.衣服の形状は,衣服を構成する布の物理特性と型紙形状,衣服をまとう人体形状とその動き,衣服の着方等さまざまな要因によって決まる.このために,解析的に衣服形状を算出することは困難であり,数値計算を行うことになる.衣服形状を数値計算するためには,まず,型紙と人体形状を格子に離散化した表現にする必要がある.更に,型紙は人体の展開図的な性質をもつために,この格子形成法は,基本的には型紙と人体とに共通して適用可能でなければならない.本論文では,滑らかさ,せん断変形,格子間距離からなる幾何学的制約を充足することによる格子形成法を提案する.計算実験により,型紙のダーツやプリーツ,縫合に対応できる本手法の柔軟性を示し,人体形状の格子形成では,あらかじめ設定した格子点数で人体形状を表現する.その結果,ほぼ満足できる格子が型紙と人体形状とに対して得られた.
著者
坂口 嘉之 田中 弘美 脇田 航
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

織物は、極細い短繊維から構成される糸が、経糸と緯糸として複雑に絡み合ってできているために、その見え方をCG表現することは容易ではない。織物のような複雑な構造でも、数値計算で画像化するために、新しい反射モデルの研究を行った。実験では、ミクロレベルの織り構造が見えるまで拡大したスペクトル画像を測定した。また、反射のダイレクト成分とグローバル成分を分離するためにパターン光投影も行った。実験の結果、織物の直接反射成分は、わずかに光源色を含むものの、その大部分が物体色を帯びていることがわかった。これは、光源からの光が糸の内部を通過して反射する、表面下散乱が起きているためだと考えられる。