著者
鈴木 政登 坂木 佳寿美 松原 茂 三浦 次郎 塩田 正俊 飯島 好子 町田 勝彦 井川 幸雄
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.231-242, 1990-08-01
被引用文献数
5

成長期にあるスポーツ選手の運動と栄養摂取の実状を把握するとともに適正な運動と栄養のあり方を考える目的で、次のような実験を行なった。高校生野球部員17名(15〜16歳、169.1cm、59.0kg)を対象に、1週間の夏期強化練習(自宅通学)時にエネルギー消費量(EE)、栄養摂取量(CI)、摂取食品目数、体重および血圧を毎日測定し、12分間走は4回行なった。血液・尿成分は強化練習初日、4日目および最終日(7日目)の3回測定した。本実験結果は、次の通りであった。1.強化練習1週間の平均EEは53.4±7.5kcal/kg/dayであった。CIはEEの87.2%に相当し、1日あたり平均7.4kcal/kg少なかった。しかし、体重の経日的変化は観察されなかった。2.強化練習経過に伴う血圧変化はみられなかったが、12分間走成績は低下した。3.炭水化物(C)、脂肪(F)および蛋白質(P)の熱量比は、1週間の平均でそれぞれ66.0、20.3および13.8%であり、動物性蛋白質は47.8%であった。4.食事内容は各家庭でほぼ決まっており、個人内変動が少なかった。概ね摂取食品目数が少なく、10品目に満たない者が35%みられ、それがほぼ1週間継続していた。5.血液成分のうち顕著に変化したのは、血清TG、TP、Hgb濃度およびCPK活性であり、強化練習4日目から最終日CPKTG41/36.4(Pi)(UN)(CA)NaCl7.112EECI(CI-EE)CACPKTGTPHgb(20.3%)(1.50g/kg/day)
著者
鈴木 政登 坂木 佳寿美 松原 茂 三浦 次郎 塩田 正俊 飯島 好子 町田 勝彦 井川 幸雄
出版者
The Japanese Society of Physical Fitness and Sports Medicine
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.231-242, 1990-08-01 (Released:2010-09-30)
参考文献数
32
被引用文献数
1

成長期にあるスポーツ選手の運動と栄養摂取の実状を把握するとともに適正な運動と栄養のあり方を考える目的で, 次のような実験を行なった.高校生野球部員17名 (15~16歳, 169.1cm, 59.Okg) を対象に, 1週間の夏期強化練習 (自宅通学) 時にエネルギー消費量 (EE) , 栄養摂取量 (CI) , 摂取食品目数, 体重および血圧を毎日測定し, 12分間走は4回行なった.血液・尿成分は強化練習初日, 4日目および最終日 (7日目) の3回測定した.本実験結果は, 次の通りであった.1.強化練習1週間の平均EEは53.4±7.5kcal/kg/dayであった.CIはEEの87.2%に相当し, 1日あたり平均7.4kcal/kg少なかった.しかし, 体重の経日的変化は観察されなかった.2.強化練習経過にともなう血圧変化はみられなかったが, 12分間走成績は低下した.3.炭水化物 (C) , 脂肪 (F) および蛋白質 (P) の熱量比は, 1週間の平均でそれぞれ66.0, 20.3および13.8%であり, 動物性蛋白質は47.8%であった.4.食事内容は各家庭でほぼ決まっており, 個人内変動が少なかった.概ね摂取食品目数が少なく, 10品目に満たない者が35%みられ, それがほぼ1週間継続していた.5.血液成分のうち顕著に変化したのは1血清TG, TP, Hgb濃度およびCPK活性であり, 強化練習4日目から最終日にかけてCPK活性が著しく上昇し, 他は低下した.とくにTG濃度低下が著しく4日目には初日の1/3以下に激減した.6.強化練習4日目, 最終日にかけて, 無機燐 (Pi) , 尿素窒素 (UN) およびカテコールアミン (CA) 排泄量が著増し, Na, Cl排泄量は低下した.7.強化練習1週間の体重, 12分間走成績, EEおよびCIと血液・尿成分変化との相互関連を調べた結果, 負のエネルギー出納 (CI-EE) が増すほど, 尿中CA排泄量や血清CPK活性が上昇し, TG, TPおよびHgb濃度が逆に低下することが示された.以上の実験結果から, 現状の運動量と栄養摂取状態が持続すれば体重が減少し, 貧血を生じる可能性は十分あり, 体力のみならず十分な技術向上も期待できない, と考えられる.この運動量で野球練習を続けるならば, 摂取食品目数および総摂取熱量の増加, とくに脂肪 (現在の熱量比の平均20.3%) , 蛋白質 (現在平均1.509/kg/day) の摂取増加など栄養摂取面の改善が必要であると思われる.稿を終えるにあたり, 本研究遂行に御協力いただいた栄養士, 三浦かおり, 横田あけみの両氏に厚く御礼申し上げます.また, 被検者として御協力いただいた千葉県立流山中央高校野球部々員諸君ならびに大井監督に御礼申し上げます.
著者
坂木 佳寿美
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.925-925, 1991-09-25

第2回スポーツ健康医学懇談会 平成3年3月2日 東京女子医科大学臨床講堂2
著者
坂木 佳寿美
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.11-20, 1980-03-01
被引用文献数
1

1)分泌した脂肪酸の数・量は個人差が著しい。2)被検者全員に分泌がみられた脂肪酸は,C_<14>(ミリスチン酸),C_<16>(パルミチン酸),C_<18>(ステアリン酸)の3脂肪酸,量的に多い脂肪酸はC_<16>(パルミチン酸),C_<18>(ステアリン酸),C_<18-1>(オレイン酸),C_<16-1>(パルミトレイン酸)の4脂肪酸である。3)個人の脂肪酸構成比は,大差なくC_<18>が約54%,C_<18>が約27%,C_<18-1>,が約8%,C_<16-1>が約5%,C_<14>が約5%,C_<12>が0.2%弱である。但し,分泌している脂肪酸と分泌していない脂肪酸があり,全員に適用することは不可能である。4)分娩後に分娩前の約10倍近い分泌量が認められた。5)陣痛時間の平均は約4時間前後であるが,その時の皮脂分泌量を平均値とするならば,それより短いか長い陣痛時間の妊婦の皮脂分泌量は,増大している。6)分娩時刻別の皮脂分泌は,午後の方が午前より分泌量が多く,日内リズムに則している。7)分娩の月別皮脂分泌は,各月の分泌動態から季節変動が認められる。以上,陣痛,分娩という特殊な状態におかれても,ホメオスタシスを基盤に生体リズムを繰り返しながら,生理機能は営まれている。汗や尿成分,内分泌腺系,神経系,血液成分等と同様に皮脂分泌も,外部環境に対して変動することから,基礎代謝,特に熱量産生に関しての間接的指標となり得る,と考えたい。