- 著者
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坂本 正夫
- 出版者
- 飯田市美術博物館
- 雑誌
- 伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, pp.1-15, 2016 (Released:2019-06-05)
赤石山脈の長野県側は,南アルプスジオパーク(中央構造線エリア)として登録されている.そして,中央構造線と糸魚川−静岡構造線に挟まれた赤石山脈は,主に付加体で形成され,現在も隆起を続ける山岳地域の景観をセールスポイントにしている.しかし,広大な赤石山脈(以下,南アルプスジオパーク関連の内容であるため,「南アルプス」と表記)を全体的な山容としての景観に位置づけるだけでは,必ずしも一般市民に興味関心を引くものになっていない.なぜなら,隆起を続けながら侵食しているという躍動的な自然の営みが一体として示されていないからである.そこで,南アルプスに形成されている主要な渓谷の比較検討から遠山川流域の渓谷に着目し,その特性を洗い出すことによって隆起と侵食のダイナミズムを明らかにしようと試みた.