- 著者
-
嚴 先鏞
西堀 泰英
坪井 志朗
- 出版者
- 公益社団法人 日本都市計画学会
- 雑誌
- 都市計画論文集 (ISSN:09160647)
- 巻号頁・発行日
- vol.54, no.3, pp.1549-1555, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
- 参考文献数
- 10
近年,人口の急激な減少と高齢化を背景に,環境負荷,財政問題に対応しながら住民が公共交通により生活利便施設等にアクセスできるよう,「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」型の都市構造が推進されている.本研究では,近年の立地適正化計画の拠点のような都市機能の地理的な集約による複数の都市機能を持つ施設の集約と交通網を考慮した利便性の評価を行い,その優劣の要因について施設の分布と交通網の観点から明らかにすることを目的とする.第一に,自家用車,送迎,公共交通の3つの移動パターンにおいて,移動時間を最短にしながら複数の施設を巡回する際の利便性を評価する.第二に,自家用車および公共交通の両方において便利な地域は2割程度である一方,居住地の6割を占めている地域では公共交通の利用が不可能である.第三に,住民が公共交通によりアクセスできる施設集約地点は約4割のみである.第四に,公共交通が相対的に不便である地域は,居住地面積および人口の2割を占めており,「路線網による不便」と「施設分散による不便」に区分できる.