著者
出口 智也 嶋田 喜昭 三村 泰広 坪井 志朗 菅野 甲明
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集 (ISSN:24357316)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.43-46, 2020 (Released:2020-10-05)
参考文献数
7

近年、自転車利用のニーズが高まっている中、2012年に警察庁および国土交通省において「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」が策定・公表され、「車道通行」を前提とした自転者通行空間の整備も進みつつある。しかしながら、車道に自転車通行空間が整備されてもあまり利用されず、従来の慣習により歩道通行を維持する自転車利用者も多いなど、利用と空間にギャップが生じている。そこで本研究では、愛知県豊田市を事例対象として、自転車ネットワーク計画の整備路線から車道混在型(矢羽根マーク)の整備済み路線13箇所(単路)を選定し、自転車の通行位置等について交通観測調査を行った。そして、自転車利用者の車道利用に及ぼす要因を分析した。その結果、歩道の有効幅員等が自転車の車道利用に影響を及ぼすことが把握された。
著者
伊藤 聖樹 松本 幸正
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集 (ISSN:24357316)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.25-28, 2021 (Released:2021-10-05)
参考文献数
3

リニア中央新幹線は最短で2037年に東京-大阪間の全線が開通予定となっており,三重県へも駅の設置が予定されている.目的地までの移動時間短縮は時間的余裕を生み,観光においても訪問箇所数の増加や範囲の広域化が期待される.そこで本研究では,リニアの全線開通が三重県での観光行動にどう影響するかを把握するため,まず,現在の三重県の人気エリアをSNS投稿データから抽出した.次に,WEBアンケートの結果に基づき,リニア全線開通後の観光地間の関連の強さを算出し,想定される周遊ルートを明らかにした.その結果,リニア全線開通後の三重県内の周遊ルートとしては,伊勢,鳥羽,志摩の組み合わせが最も選ばれることになった.また,広域周遊する場合,大阪や奈良,京都も訪問先として選ばれる可能性があることもわかった.他にも,東京在住者は熊野への周遊が増加する可能性が,大阪在住者は名古屋まで観光範囲が広がる可能性も示唆された.
著者
塚本 満朗 髙木 朗義
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集 (ISSN:24357316)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.63-64, 2022 (Released:2022-10-03)
参考文献数
3

近年の豪雨災害時における人的被害の状況に対して災害の危険性認知が十分でないことが指摘されている.このような現状の改善に向け様々な視点や方法により分析をする必要がある.本研究では,先に塚本・髙木が統計分析に代わる手法として構築した6,7種類の避難場所を予測する住民避難選択行動モデルを従来の住民避難行動分析に倣って改変し,避難と非避難の2分類を予測するモデルを用いた.そのうえで,平成30年から令和3年に発生した豪雨災害時の避難行動に対するアンケート調査データを対象に,XAIという技術を用いて住民避難行動において避難の決定に影響をもたらす要因を抽出した.結果から,災害による被害を身近に経験していることや避難の経験があること,災害の危険性に対する意識が既に高いことが避難行動に影響を与えている一般的な要因の中でも影響が強いこと,本研究の結果と同じデータを用いた統計分析の結果が概ね一致することが明らかとなった.
著者
近藤 智士 数井 航平 野際 大介
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集 (ISSN:24357316)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.5-8, 2020 (Released:2020-10-05)
参考文献数
17

コンパクトシティ政策を進めている富山市を対象として2005年,2010年,2015年の国勢調査の地域メッシュデータを用いて人口分布を把握した.その結果,2005年から2015年にかけて市全体に占める市街化区域の人口割合が上昇していることを確認した.また,人口規模別階級を整理したところ,2005年から2010年にかけては人口1,000人以上を有するメッシュ数が減少したのに対して,2010年から2015年にかけてはメッシュ数が増加に転じた.これらのデータや基本統計量の推移を考慮すると,富山市では2005年から2010年にかけては人口分布が拡散する傾向にあったが,2010年から2015年にかけては人口拡散に歯止めがかかり,集積する傾向に転じていることが確認できた.
著者
吉村 朋矩
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
日本都市計画学会中部支部研究発表会論文集
巻号頁・発行日
vol.32, pp.35-38, 2021

本研究では、鉄道やバス等の公共交通を補完することが期待できる電動キックボードに着目し、地方都市における持続可能な地域交通としてのあり方に関する基礎的な知見を得ることを目的として、若年層を対象とした電動キックボードの走行調査および、利用意向に関するアンケート調査を実施した。電動キックボードを認知している割合は35.7%であり、電動キックボードシェアリングサービスが本格的に展開された際の利用意向は、28名全ての被験者が利用したいとしていることが分かった。電動キックボードを利用したい距離は、福井市立地適正化計画での公共交通を利用しやすい区域の考え方に基づき整理した結果、鉄道駅の徒歩圏域である800m未満の割合は78.6%、バス停の徒歩圏域である300m未満の割合は17.9%であることが明らかとなった。以上から、電動キックボードの利用は、バス停ならびに鉄道の徒歩圏域をカバーするとともに、バス停や鉄道圏域を拡大する可能性があることを示唆した。