著者
坪郷 英彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.63-72, 2002-05-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
30

秩父市域(山地)、八王子市域(丘陵地)、所沢市域(台地)を対象とし、竹籠の意匠と地形、生業とのかかわりについて調査分析を行った。結果として次のことが明らかとなった。1.円筒形で底を斜め網代編みとする笊目編みと、円筒形で六つ目編みの2つの技術系統が基本である。2.山地ではこの2つの系統以外に直方体形で底を網代編み、胴を笊目編み、縁を組み縁にする技術系統がある。3.畑作用籠の意匠を基本とし、副業にあわせた多様な意匠の展開がみられる。4.傾斜地と平地での運搬手段の違いが、籠の形態、大きさに関係している。
著者
辻 正二 中村 彰治 原田 規章 坪郷 英彦 松野 浩嗣 石田 成則 高野 和良 速水 聖子 鍋山 祥子 林 寛子 高橋 征仁
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

現在の高度産業社会には、これまで人類の歴史が経験したことのない新しい時間問題が生まれている。これまで人類は、進化の中で身につけた生命的時間と人間が自ら形成した社会的時間をうまく調和させてきたが、今日のグローバル化と情報通信技術の進展によって生じたハイスピード化社会は、社会的時間を大きく変化させて、人類の時間構造に歪みを増幅させて、生命的時間に慢性的時差ボケを生みつつある。今回の時間意識の調査研究ではハイスピード化によって社会的時間の変化が生じており、これが生命的時間との間でズレを生んでいることがある程度明らかになった。調査データの分析からは、ハイスピード化が生命的時間に負の影響をもたらし、青年や高齢者に身体の不調(疲労やイライラ度や不眠や生理不順など)や社会病理の原因を生んでいることが明らかになった。
著者
坪郷 英彦
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

中国5県で活躍する草葺き屋根職人の所在調査と、地域ごとの屋根型、技術、道具の違いを調査した。その結果、環境と人の暮らしの立場から山地と平野部の屋根の屋根勾配の違い、千木の有無の違いを明らかにした。近代産業と在来技術の関わりの視点から芸州流と呼ばれる広島県の職人、出雲の職人について、技術の特徴と職人像を明らかにした。
著者
坪郷 英彦
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

山地・丘陵地・台地の竹籠の生産と使用について調査分析を行った。秩父・多摩地域の竹籠職人5名の製作技術の調査、博物館及び資料館10カ所の収蔵資料370点の資料収集を行った。成果として、論文発表とともに収集資料目録の作成、2職人の製作工程映像の編集を行った。研究は次のようにまとめられる。1、対象地域の竹籠は地域の自然環境(山地・台地)と、これにともなう生業の形態(雑穀畑作)に大きく関連している。雑穀の保管及び傾斜地での運搬のために竹籠は必要とされた。2、多様に展開した竹籠の種類・形状の基本形は畑作における落葉を活用した堆肥づくりの用具である。斜め網代編みの底に笊目編みの胴の技法と底胴とも六つ目編みの技法が基本である。3、竹籠の多様な展開は明治以降の養蚕、都市近郊の野菜作り、製茶など副業の多様さを反映したものである。いずれの場合も収穫、運搬、保管の役割を担っていた。4、山地では馬での運搬、背負板での運搬に適した独特の籠が使用され、形状や使い方に一定の型が生み出されていた。5、職人には専業と非専業の2つの営業形態があり、非専業は農家副業として行われていた。大正期のデータでは非専業の比率が専業を上回っていた。6、専業と非専業の職人は異なった職人意識を形成していた。多様な竹籠を生み出していったのは専業の職人であり、「何でも出来て一人前」という意識が根底にあった。非専業の職人は基本的な種類に限って生産しており、地域で了解された、実用的な形を作り出すことを心がけていた。