1 0 0 0 OA 7.補体

著者
堀内 孝彦 塚本 浩
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.2427-2433, 1998-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
5

補体の分野における最新の知見は,補体活性化経路として古典経路,第二経路のほかに新たにレクチン経路の存在が見いだされたことである.さらにこの経路の機能不全と慢性関節リウマチ,全身性エリテマトーデスとの関連の可能性が示唆されている.従来の補体検査は,膠原病の診断,活動性の判定に大きく寄与してきたが,これらの新しい知見を発展させることにより,さらに詳細な病態把握が可能となることが期待される.
著者
前田 豊樹 三森 功士 牧野 直樹 堀内 孝彦
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.41-47, 2019-05-31 (Released:2019-06-19)
参考文献数
22

これまで温泉治療が様々な疾患に療養効果があることは示されてきたが,一般的にどのような疾病に予防効果があるのかは示されていない.また,温泉入浴の禁忌症は示されているものの,某かの疾病の発症を促進する可能性についても知られていない.このような状況を踏まえて,筆者らは,平成24年度から3カ年間,65歳以上の高齢別府市民2万人を対象に,温泉の利用歴と各種疾患の既往歴に関するアンケート調査を実施し,その解析結果を先頃論文報告した.結果は,性別によって分かれており,温泉入浴が,男性においては,心血管疾患の予防に寄与し,女性では,高血圧に予防的に働くが,膠原病などの発症には促進的に働く可能性などが示唆された.このように,温泉は必ずしもすべての疾患の予防に働くわけではなく,一部促進する場合もあり得ることが伺えた.この疫学調査から伺える予防的効果には,温泉の効能としては期待されてこなかったものやこれまで示されてきた効能に反するものが含まれている.本編では,様々な疾患に対する温泉の予防効果と治療効果のずれという観点から,アンケートによる疫学調査をレビューする形で紹介したい.
著者
前田 豊樹 三森 功士 牧野 直樹 堀内 孝彦
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
pp.2318, (Released:2018-10-26)
参考文献数
22

これまで温泉治療が様々な疾患に療養効果があることは示されてきたが,一般的にどのような疾病に予防効果があるのかは示されていない.また,温泉入浴の禁忌症は示されているものの,某かの疾病の発症を促進する可能性についても知られていない.このような状況を踏まえて,筆者らは,平成24年度から3カ年間,65歳以上の高齢別府市民2万人を対象に,温泉の利用歴と各種疾患の既往歴に関するアンケート調査を実施し,その解析結果を先頃論文報告した.結果は,性別によって分かれており,温泉入浴が,男性においては,心血管疾患の予防に寄与し,女性では,高血圧に予防的に働くが,膠原病などの発症には促進的に働く可能性などが示唆された.このように,温泉は必ずしもすべての疾患の予防に働くわけではなく,一部促進する場合もあり得ることが伺えた.この疫学調査から伺える予防的効果には,温泉の効能としては期待されてこなかったものやこれまで示されてきた効能に反するものが含まれている.本編では,様々な疾患に対する温泉の予防効果と治療効果のずれという観点から,アンケートによる疫学調査をレビューする形で紹介したい.
著者
塚本 浩 上田 尚靖 堀内 孝彦
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.361-368, 2011-10-31
参考文献数
24
被引用文献数
2 6

TNF receptor-associated periodic syndrome(TRAPS)は常染色体優性遺伝形式の家族性周期性発熱疾患である.TRAPSではI型TNF受容体(TNFRI)をコードするTNFRSF1A遺伝子について100以上の遺伝子変異が報告されており,かつ浸透率は85%以上と高い.本邦からはC30R, C30S, T61I, C70S, C70G, C88Y, N101Kの7種類の変異が報告されている.変異TNRIは小胞体内に停滞し,ミトコンドリアからの活性酸素産生を介してMAPキナーゼを活性化状態にする.ここに細菌感染等でToll様受容体からのシグナルが付加され,炎症性サイトカイン産生誘導が起こることが本症の病態形成に関与していると考えられている.臨床所見として発熱期間は平均21日間,発熱間隔は1から数ヶ月である.発作期には,発熱と共に,皮疹,筋痛,関節痛,腹痛,漿膜炎,結膜炎,眼窩周囲浮腫などの随伴病変を伴う.治療としては,副腎皮質ステロイド剤とTNF阻害薬エタネルセプトが発作の重症度や発作期間の短縮に有効である.エタネルセプトでは発作頻度も減少するが無効例も存在する.最近では,IL-1受容体拮抗薬アナキンラやIL-6受容体拮抗薬トシリズマブの有効性も報告されている.厚生労働省のTRAPS研究班(代表者:堀内孝彦)は2010年に,本邦のTRAPS患者の病態に即した診断基準を作成するため全国の実態調査を行い,現在遺伝子解析が進行中である<br>