- 著者
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堀江 瑶子
- 出版者
- 地理空間学会
- 雑誌
- 地理空間 (ISSN:18829872)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.35-52, 2015 (Released:2018-04-04)
- 被引用文献数
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3
本稿では,エスニックビジネスがホスト社会における中心商店街に進出する過程および要因を解明することを目的とした。対象地域は,明治期以降横浜の中心商業地としての機能を有する商店街,伊勢佐木モールである。本商店街の分布する横浜市中区は,1990年代以降ニューカマーが急増し,それと同時に商店街周縁地域には多数のエスニック事業所が分布,2000 年代前半に飽和状態を迎えた。一方,伊勢佐木モールにおいては,バブル経済崩壊以降,テナント賃料の低下や集合住宅および雑居ビルの過剰供給,老舗店舗の撤退が相次ぎ,テナント入居機会が拡大した。その結果,2000年代以降より比較的商業的価値の低い伊勢佐木町3~7丁目においてエスニックビジネスの進出が開始された。2010年代以降になると,商況の著しい伊勢佐木町2丁目におけるエスニックビジネスの展開が顕著となり,その業種構成についても従来の同胞集団向け店舗のみならず,日本人顧客を主要な対象と定める店舗が多数進出していることが明らかとなった。