著者
堂浦 克美 逆瀬川 裕二 照屋 健太 逆瀬川 裕二 照屋 健太
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

プリオン病とアルツハイマー病では、難溶性蛋白質(プリオンとAβ)が脳組織内に沈着して神経細胞障害がおこる。インビトロ及びインビボにおけるアミロイド親和性化合物の構造活性相関解析研究を通じて、治療学の側面から両疾患に共通する病態発生のメカニズムの存在を検証した。その結果、難溶性凝集体としての物性は似ているものの、プリオンとAβでは凝集能や毒性に関与する立体的化学構造は異なっていることが明らかとなった。また、両疾患でアミロイド親和性化合物のインビボでの効果がほぼインビトロでの効果と相関しており、インビトロでの作用メカニズムの共通性から、プリオンとAβの産生や病態発生には共通なメカニズムがあり、アミロイド親和性化合物はこのメカニズムを抑制することにより治療効果を発揮しているものと考えられた。
著者
片峰 茂 堂浦 克美 金子 清俊 小野寺 節 福岡 伸一 堀内 基広
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本邦におけるプリオン研究者の情報交換の促進と将来の共同研究プロジェクト立ち上げのための準備を目的に本研究を遂行した。情報交換に関しては、平成14年10月21日に長崎において班会議を開催し、班員に加えて数名の内外のプリオン研究者による情報交換と討議の場をもった。その結果、個々の班員間の往来及び研究材料の共有などのいくつかの実が挙がっている。例えば、片峰と小野寺は各々が開発したプリオン蛋白遺伝子に関わる遺伝子改変マウスと培養細胞株を共有することにより、プリオン病神経変性の機構解明へ向けた共同研究の進展が図られた。準備研究に関しては、プリオン研究進展に極めて大きな意味をもつ種々のモデル動物、細胞株、抗体、解析システムの開発が行われ、将来の大型共同研究プロジェクトへの準備は整ったと考えられる。以下に特筆される成果を挙げる。(1)プリオン持続感染細胞株の樹立(片峰)(2)プリオン類似蛋白(Dpl)遺伝子トランスジェニックマウスの樹立(片峰)(3)プリオン蛋白(PrP)と相互作用をする分子の同定法の開発(堂浦)(4)異常プリオン蛋白(PrPSc)に特異的立体構造を認識する抗体の確立(堀内)(5)不死化によるPrP欠損神経細胞株の樹立(小野寺)(6)PrPの細胞内挙動の顕微鏡下での追跡法の確立(金子)(7)タンパク質の2次構造変換定理の発見(柳川)(8)微量核酸(RNA)同定法の開発(福岡)本年度は、他領域との重複などの問題点があり、新規特定領域への申請は見送ったが、本研究の成果を基礎に来年度以降の申請へむけ、さらなる体制整備を行う予定である。