著者
堤 博美
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.32, pp.21-40, 2004-03

筆者はこれまで、浪漫的詩人ヘルダリーンの全貌を解明しようとして、色々な角度から考察してきた。とくに才能と気質、運命と予感、ヒュペーリオンとディオティーマという三点に主眼を置いて論じた。今回は文体とモラル、自立への道、ズゼッテの愛という視点から詩人を観察したい。第一章の文体とモラルでは、ヘルダリーンの詩と小説と戯曲の中に範例を検索し、そこからその文体的特長を具体的に例示し、詩人特有の文体と徳性の関係を推断した。第二章ではヘルダリーンの書簡から自立への意志を読み取り、第三章ではズゼッテ(ディオティーマ)の手紙を抜粋引用して、彼女の愛と苦悩をつぶさに観察し、その光と影を呈示しようと試みた。
著者
市川 良哉 遠藤 隆 堤 博美 東山 弘子 高見 茂 大町 公 山田 隆敏 荒川 茂則 武久 文代 高橋 光雄 藤原 剛 田井 康雄 田中 良 田原 武彦
出版者
奈良大学総合研究所
雑誌
総合研究所所報 (ISSN:09192999)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.3-59, 1994-02

国民が生涯にわたって学習する機会を求めている現状にてらして、中央教育審議会は平成2年1月30日「生涯学習の基盤整備について」答申し、同年6月29日に「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」が施行され、新しい「大学設置基準」(平成3.7.1施行)もそれを踏まえている。こうした流れの中に、高等教育機関が地域の人びとの生涯学習推進に寄与することに強い期待を寄せているところに時代の特徴を見る。翻っていえば、これは高等教育機関としての大学は地域社会へ自らをどう開放するのか、どのような貢献が可能であるのかにかかわる問題であり、大学は時代の要求にどう答えるのかを問われているのである。本研究は本学が高度先端科学技術集積都市が形成されつつある「関西学術文化研究都市(以下学研都市)圏に位置するという立地条件の下で、地域レベルでの生涯学習支援システムを構築する際に担う本学の役割と課題を、総合的に検討するための基礎データを得るために調査を多面的に実施することに目的をおいている。