著者
夏秋 優 山下 紀子 相模 成一郎
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.160-164, 1992 (Released:2010-08-25)
参考文献数
13

成人アトピー性皮膚炎患者において抗核抗体の検査を行ったところ, 36名中20名が陽性 (40倍以上) であり, そのうち80倍以上を示したのは6名であった. 血清IgE (RIST) 値との関連をみると, 抗核抗体陽性者は総IgE値が高い傾向にあったが, 皮膚炎の発症時期や, 気道アトピーの既往・合併の有無と抗核抗体との間には明らかな相関は認められなかった. また, 顔面における皮疹の程度と抗核抗体価との間にも関連性はみられなかった.アトピー性皮膚炎患者における抗核抗体の出現の意義については不明であるが, 橋本病を合併してきた患者を自験しており, 注意深く経過を観察する必要があるものと思われた.
著者
五木田 麻里 山田 陽三 葉 乃彰 藤田 博己 夏秋 優
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.186-190, 2017

60歳代,女性。発症の20日前に淡路島北部にて墓掃除,発症の10日前に六甲山南側の山麓部にて木の剪定作業を行った。8月中旬より発熱,全身の皮疹が出現したため,当科を受診した。初診時,体幹,四肢を中心に淡い紅斑が多発し,手掌や足底にも紅斑を認めた。また,下腹部に2ヶ所の刺し口を認めた。検査所見では白血球増加,血小板低下,CRP 高値,肝障害,CK 上昇を認め,ペア血清による Rickettsia japonica 抗体価の有意な上昇を認めたことより日本紅斑熱と診断した。ミノサイクリンの投与により皮疹は軽快したが,経過中に後頸部痛と四肢運動感覚障害が出現し,精査の結果,無菌性髄膜炎,多発単神経炎と診断した。その後,アジスロマイシンとシプロフロキサシンの投与でこれらの神経症状は軽快した。日本紅斑熱に神経障害を合併した例は自験例以外に5例報告があり,全例無菌性髄膜炎を認めたが多発単神経炎の合併は自験例のみであった。(皮膚の科学,16: 186-190, 2017)
著者
羽田 孝司 夏秋 優 山西 清文
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.199-202, 2011 (Released:2012-10-23)
参考文献数
14

29歳,女性。右腎血管筋脂肪腫摘出術の術前処置として,経口腸管洗浄剤ニフレック®を内服した。内服30分後から全身に熱感と紅斑が生じ,その後,顔面の腫脹,呼吸困難が出現した。輸液とステロイド投与を行い,症状は改善した。原因検索のため行ったプリックテストで,ニフレック®およびニフレック®に含まれるマクロゴール4000で陽性反応を示した。またマクロゴール400,1500,6000でもプリックテストを行い,陽性反応を示した。以上より自験例をニフレック®に含まれるマクロゴール4000によるアナフィラキシーと診断した。(皮膚の科学,10: 199-202, 2011)