著者
多田羅 勝義 石川 悠加 今井 尚志 河原 仁志 神野 進 西間 三馨 福永 秀敏
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.57-62, 2007

<p>国立病院機構所属施設では,平成17年7月1日時点で89施設に2164名の長期人工呼吸患者が在院しており,昨年度より約100名増加していることが判明した.この内363名は,10年以上人工呼吸を続けている患者で,最長は27年であった.疾患別にみると,筋ジストロフィー1156名,筋萎縮性側策硬化症402名,重症心身障害児者304名であった.使用人工呼吸器は74.5%がポータブル型で,人工呼吸方法は,気管切開が61.3%,非侵襲陽圧人工呼吸が37.1%で,半数以上がアシストコントロールモードであった.人工呼吸下での外出,入浴の実施率から患者QOL向上への配慮が伺われる一方,モニタリング実施率の低さ等,安全管理上の問題点が明らかになった.</p>
著者
竹村 安弘 多田羅 勝義 中島 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.2152-2162, 2005-10-01
被引用文献数
6

筋ジストロフィー患者らの人工呼吸中の神経筋疾患患者における人工呼吸回路不全の早期発見を目的として, 呼吸運動モニタ装置を用いた異常検出方法を提案し, その有効性を検証した. 使用した呼吸運動モニタ装置は非接触の三次元視覚センサを応用したもので, 長期間のモニタリングが必要な患者の使用に適している. 異常状態のデータ取得は被検者に大きな負担をかけるため, 正常状態と異常状態の識別領域を形成するための十分なデータが取得できないことから, 判定時点直前の一定期間の状態の生起確率をそれ以前の確率分布から推測し, それが設定された誤報率を下回ったときに異常と判定する方法を考案し, 更に過去の状態に関係なく呼吸停止を判定する機能を組み合わせて検出漏れを防ぐ仕組みとした. 被検者7名による延べ12回の終夜呼吸運動波形測定データにおいて, 本方法による検出テストを行ったところ, 患者の呼吸状態に合わせて60秒から600秒で異常検出を行うとともに, 誤報は3回に抑えられた. これらの結果から, 本方法は人工呼吸回路不全の発見に有効であることが確認された.