著者
大塚 裕之 沼田 憲治 高杉 潤 松澤 大輔 中澤 健 清水 栄司
出版者
脳機能とリハビリテーション研究会
雑誌
脳科学とリハビリテーション (ISSN:13490044)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.35-40, 2009 (Released:2018-11-13)

右半側空間無視(USN)例の報告は少なく, またそのメカニズムは明らかではない. 今回左MCA領域脳梗塞後に慢性期まで右USNが遷延した自験例について報告する. 症例は89歳女性右利き(発症後1年3ヶ月経過). MRI所見では, 左MCA領域の病巣の他に両半球にleukoaraiosisを認め, 血管造影では右内頚動脈の中等度狭窄を認めた. 神経学的所見は, 軽度な意識混濁と運動性失語を伴うも短文理解は可能であった. 右上下肢は重度錐体路障害を伴い, 右方向への滑動性眼球運動の低下が認められた. 神経心理学的所見は, 線分二等分試験の左偏移および, 視覚性探索において右視空間方向に対するdirectional hypokinesiaを認めた. 右USNのメカニズムとしてWeintraubらは, 両側半球の病巣により右視空間への注意が補えず重症化することを報告した. 本症例もこれを支持し, 左半球損傷とともにleukoaraiosisによる白質損傷が存在したことで右USNからの回復を阻害された可能性が示唆される.
著者
大塚 裕之
出版者
酪農学園大学
巻号頁・発行日
pp.1-48, 2015

The purpose of this study is to place the Russian game management system in five European game management models (Putman 2011). Furthermore, I examined the usefulness of Russian game management system for Japan. Russian game management system resembles to an European game area system of top-down approach. And the Russian government intervenes in the game management system directly. In addition, Far Eastern Agricultural University teaches practical and professional knowledge and technique to the students in collaboration with private sections and government to develop future human resources. Russian game management may system serves as a reference to promote Japanese sustained hunting resources (game meat and fur) and to construct the framework of new Japanese game management system.
著者
大塚 裕之 西井上 剛資
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学理学部紀要 地学・生物学 (ISSN:03854019)
巻号頁・発行日
no.13, pp.p35-76,図4p,図3枚, 1980-12
被引用文献数
3
著者
香川 淳 大塚 裕之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.106, no.11, pp.762-782, 2000-11-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
44
被引用文献数
3 7

国分層群は, 鹿児島湾奥北西沿岸部の加治木堆積盆における中期更新世前半の内湾 湖沼成堆積物からなり, 加治木層・鍋倉層・蒲生層・小浜層・朝日層・小田層・隼人層・麓層の8層準に区分される.このうち鍋倉層・小浜層・小田層には, 水中火砕流や安山岩の噴出, 砂礫の流入および津波による削剥と再堆積を特徴とする著しい不連続面が認められる.これらの削剥面は, その下位に伸張応力を示唆する共役断層が発達することから, 火山活動を伴う造構運動によって形成された堆積物と考えられる.こうした「火山-構造性イベント」は, 鹿児島地溝の拡大に伴いくり返し発生したと考えられる.
著者
水谷 泰之 大塚 裕之 森島 大雅 藤塚 宣功 片山 雅貴 石川 英樹
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.785-791, 2013 (Released:2014-01-18)
参考文献数
16
被引用文献数
1 8

患者は65歳,男性.検診で膵管拡張を指摘され当科受診となった.US,単純および造影CTで主膵管拡張を認め,膵実質内に明らかな腫瘤は指摘出来なかった.EUSで主膵管は体尾部で4mmと著明な拡張を認め,その頭側に境界不明瞭で辺縁不整な低エコー領域を認めた.膵上皮内癌を念頭におきERCPを施行した.主膵管は頭体部移行部で限局性狭窄を来たし,尾側膵管は数珠状拡張を呈していた.膵液細胞診の結果は陰性であった.画像診断で腫瘤の認識は困難であったが,膵管像からは膵癌を強く疑い膵頭十二指腸切除を行った.病理学的所見は,主膵管と分枝膵管に低乳頭状増殖を示し,PanIN1からPanIN3に相当する異型上皮の置換性増殖を認めた.検索の限り明らかな浸潤像は確認されなかった.
著者
大塚 裕之 桑山 龍
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.106, no.6, pp.442-458, 2000-06-15
参考文献数
54
被引用文献数
1 6

本研究では, 種子島の西之表市南西部の住吉付近に小分布する形之山部層より発見されたカエル類化石の分類学的位置づけを明確にするため, 九州本土および南西諸島に現生するカエル類と本カエル化石との比較形態学的検討を行った.その結果, 本化石は寛骨や上胸骨の形態などにより, 沖縄本島と奄美大島のみに現生するイシカワガエルに同定されることが判明した.形之山部層の堆積年代は, 同部層最下部の軽石層のF.T.年代測定から1.3±0.2 Maであると推定されている.また, 琉球列島全域は, 地質学的証拠から島尻層群堆積後の鮮新世最末期から琉球層群堆積前の前期更新世にかけて大規模な陸化時期であったことが知られている.これらの事実は, イシカワガエルの祖先が形之山部層の堆積(約130万年前)前の陸化期(鮮新世最末期)に, 現在のトカラ海峡付近に存在していたと考えられる陸橋を渡って, 種子島を含む大隅諸島へ到達した可能性を示している.