著者
大川 謙作
出版者
愛知大学現代中国学会
雑誌
中国21 = China 21 (ISSN:13428241)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.163-184, 2011-03-10
著者
大川 謙作
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第42回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.234, 2008 (Released:2008-05-27)

かつてのいわゆる「チベット旧社会」においては貴族(sku drag)が存在した。旧社会は1959年の新中国による「民主改革」によって大規模な構造転換を余儀なくされ、公的には貴族階級も消滅したかに見えたが、それから半世紀を経た今日においてもなお貴族集団は存続している。 本発表の目的はこの貴族の存続のロジックについて、先行研究を批判しつつ分析することであり、特に現代ラサでの日常会話を手がかりとしたい。
著者
大川 謙作
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

昨年度までの成果を引き継ぐ形で、文献研究および現地調査を推進した。まず文献研究としては、18世紀から20世紀前半までのチベット語文献に見られる政治体制や社会制度にかんする語彙および事例を収集し、もって昨年度までの調査によって蓄積した20世紀前半のチベット旧社会の社会制度と比較する作業を行った。とりわけ『ドリン・パンディタ伝』に出現するチベットの土地制度に関する情報を体系的に収集して整理することができ、これは今後の研究にとって重要な基礎データとなるだろう。また現地調査については夏季に中国四川省カンゼ・チベット族自治州および中国チベット自治区ラサにおいてフィールドワークを行った。中国からの投資がもたらした村落レベルにおける影響や、おラル・ヒストリーの採録をおこない、また現地研究者との研究交流を行った。さらに冬季には台湾に赴いて、民国期のチベット政策や漢人・チベット人関係についての文献収集を行うとともに、台湾漢人たちのチベット仏教信仰についての基礎データを収集した。こうした成果はこれまで対立と抗争という枠組みによって語られてきたチベット・中国関係における共生と交流の側面に光を与えるものであるといえる。以上のような調査に加えて、編著の刊行、単行本論文集への寄稿、英文学術誌への書評寄稿、チベット語文学の邦訳、国際会議の査読、法務省からのヒアリングへの協力などを行った。