著者
大庭 有二 小門 宏 井上 英一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.7, pp.1209-1212, 1974

さきにも報告のした陽極の還元力を酸化亜鉛の光電導により制御して,電解反応により画像形成を行なわす電概論電子写真法り塩化ニッケル,塩化アンモニウム,チオ硫酸ナトリウムからなる現像液は,中性付近でもっとも高いニッケル析出濃度を示し,酸性側ほどニッケル析出効率が下がった。約pH 6以下では現像液が疲労しやすく,この原因は,申性以上で生成するニッケルアンミン錯体が電解反応に関与するためと推定した。ニッケル析出反応の促進剤であるチオ硫酸ナトリウムは,10-s mol/1までニッケル析出反応を増加させる作用に寄与したが,それ以上の濃度では,アルミニウム基板とニッケルイオンの直接反応を増加させる原因となった。これらの現像液中で測定した酸化亜鉛と接触したアルミニウム基板の電位は主としてアルミニウムとアルミニウムイオンの平衡と,アルミニウムイオンと塩化物イオンの平衡関係によりなり立ち,塩化物イオン濃度の関数であると推定した。この電位の安定性は,アルミニウムと遊離ニッケルイオン(アクア錯体イオン)との直接反応による電荷消費が原因と考えられ,遊離のニッケルイオンの減少により電位は安定化した。
著者
大辻 清太 外村 佳伸 大庭 有二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.3, pp.519-528, 1994-03-25
被引用文献数
20

本論文では,映像ハンドリングの基本処理単位を決定する上で重要なカット点の自動検出方法について述べる.映像のつなぎ目であるカット点を検出する問題は,目的条件に対しある程度の結果を出す手法は従来検討されているが,体系的かつ定量的には議論されていない.我々はこの課題を映像変化量の頻度分布と言う観点からとらえ,カット点およびカット点で囲まれるショットの映像変化量分布を分離する問題に帰着した.映像変化量は定義方法より,動きに敏感な場合はショット内分散が大きく,動きに影響されにくい場合は逆にカット点で分散が大きく分離が悪化する.被写体の動き等に伴う影響だけならば,映像変化量の連続性に着目し時間徴分で改善できるがテレシネ変換された映像等では,時間的に不連続な変動が重畳される.そこで本論文では,カット点近傍で映像変化量が示す変動の形態的な特徴抽出に基づく突出検出フィルタを用いた手法を提案し,実験により手法の効果を確認した.課題はまだ残しているものの,提案手法により検出手法改善は,映像ハンドリングにおいてさまざまな利用が期待される.
著者
大庭有二 三上 憲一 斎藤 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.100, pp.37-44, 1993-11-11
被引用文献数
2

会議システムにおける映像の役割を明かにする目的で、実テレビ会議のシーンの分析と心理的要因を検討した。実テレビ会議のシーン分析ではシーンの分類と各シーンのカテゴリ分けをすることにより、テレビ会議における映像利用に影響を及ぼす因子をまとめた。さらに因子間の利用頻度の高低を示すことにより、ある程度の映像利用の序列が推定可能になった。また、心理的要因を検討する実験としては()映像を要求する動機、()被験者に依頼するタスクの違いから生じる心理的な条件付けの差が映像の利用頻度に与える影響、の2項目を中心に調べた。映像を要求する動機は少なくとも()音声で不足する情報の理解と()不安感の除去等の心理的要因の2種類があることを示した。タスクの違いによる実験からは()外因的要因と()タスクの解釈の個人差として生じる内因的要因が映像利用の頻度に影響することを示した。また,本実験の条件下では「被験者の映像の直視を静止画に置換えることができるとすると、全映像の約0.1%が有効に働く」事を示した。To clarify the role of images in conferencing systems, actual teleconferences scenes are analyzed and psychological factors are investigated. In the analysis of teleconferencing scenes, types of scenes are defined and each scene is categorized, and on the basis of such information, factors which influence the usage of certain scenes in teleconferencing are determined. Moreover, by examining which factors occur the most and which occur the least, it becomes possible to estimate how often certain images will be used. Experiments were also performed to investigate psychological factors concentrating on two major items: 1) the motivation for requesting a certain images, and 2) the influence on image frequency due to differences in applied psychological conditions generated from different tasks given to test subjects. Motivation for requesting a certain image was found to be of at least two types: 1) to obtain information which cannot be satisfactorily understood by voice alone, and 2) to eliminate an uncomfortable feeling. in the experiments involving different tasks, it was shown that the frequency of using certain images was affected by 1) external factors, and 2) internals factors arising from individual differences in interpreting the tasks. In addition, it was shown under the conditions of this experiment, that if it is made possible for a test subject to switch his ore her observed image to a still image, only about 0.1% of all such images were found to be effective.