著者
若盛 ゆき音 新妻 隆広 米山 俊之 嶋 泰樹 織田 久之 大日方 薫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.95, no.5, pp.377-380, 2021-09-20 (Released:2022-01-28)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Coronavirus disease 2019 (COVID-19) is often mild in children, but many severe cases with Kawasaki disease-like symptoms have been reported in Europe and the United States, and termed as multisystem inflammatory syndrome in children(MIS-C). We experienced a 12-year-old boy met the diagnostic criteria for Kawasaki disease and MIS-C after COVID-19. His clinical feature reviewed neither shock nor respiratory failure. His laboratory findings on admission showed remarkable inflammatory reaction, lymphocytopenia, thrombocytopenia, and coagulation abnormality. The number of pediatric cases of COVID-19 is increasing in Japan, and attention should be paid to the development of Kawasaki disease and MIS-C in the future.
著者
大日方 薫
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

二酸化塩素によるエアロゾル感染および接触感染の抑制効果、安全性について小児病棟に入院した下気道感染症患児を対象に検討した。重症度が中等度以上の小児市中肺炎の患児に対して、細菌培養、イムノクロマト法による抗原迅速検査およびFilm Arrayシステムを用いたマルチプレックスPCRにより原因微生物の検出を行った。その結果、細菌ではマイコプラズマが最も多く検出され、ウイルスではRSウイルス、ライノウイルス、エンテロウイルスが多く、次いでパラインフルエンザ、ヒトメタニューモウイルスであった。インフルエンザ、アデノウイルス、コロナウイルスの検出は少数例であった。また小児病棟の各病室に低濃度二酸化塩素ガス放出ゲル剤を設置し、同時に二酸化塩素水溶液による清拭を行う接触感染予防策を実施した。病室内の二酸化塩素濃度を二酸化塩素センサーで経時的に測定し、安全性を確認した上で製品の使用を管理するとともに、入院患者や医療従事者の有害事象について検討した。二酸化塩素ガス濃度は月1回交換では10ppb以下、2週毎交換でも10ppb以下だった。病棟内入院患者および付き添い家族、医療従事者の二次感染発症はなく、院内肺炎も認めなかった。さらに病室内に設置した二酸化塩素放出ゲル剤による有害事象も認めなかった。
著者
大日方 薫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.353-356, 2001-01-20 (Released:2014-11-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

ヒトパルボウイルス (HPV) -B19感染に伴ってループス様症状を呈し, 低補体血症や自己抗体産生など免疫学的検査異常を認めた2例を経験した. 症例1は35歳の女性. 発熱・多関節炎・レイノー症状, 体幹の発疹および顔面の蝶形紅斑があり, リンパ球減少・低補体血症・抗核抗体陽性を認めたため, SLEと診断された. 同時期に6歳の長女が伝染性紅斑に罹患したことからHPV-B19抗体を測定したところ, 母子ともにIgM抗体が上昇しており, HPV-B19特異的PCRによるゲノムDNAの検出が陽性であった. 症例2は13歳の女児. 顔面・四肢の紅斑, 多関節痛があり, リンパ球減少・血沈亢進・低補体血症・抗核抗体陽性を認め, SLEと診断された. 同胞2名が伝染性紅斑に罹患したことから, 患児のHPV抗体の検索を行ったところ, IgM抗体を検出した. これら2症例のループス様症状は短期間に消失し, 検査値も数ヵ月以内に正常となった. HPV-B19感染により自己免疫反応が誘導され, 一過性にループス様症状を呈した可能性が考えられた.
著者
鎌田 彩子 大日方 薫 鈴木 光幸 春名 英典 木下 恵司 清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.256-260, 2012-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
20

症例 (13歳4ヵ月女児) は1歳頃より偏食傾向と体重減少がみられ, 1歳11ヵ月時に大球性正色素性貧血, 骨髄での巨赤芽球性変化, 血清ビタミンB12の低下を認めビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血と診断された. ビタミンB12投与後貧血は改善し, 摂食状態や身体発育も正常化した. しかし補充を中止するとビタミンB12値は漸減した. 低ビタミンB12血症の原因として摂取不足のみならず, 吸収障害の関与も考えられた.