著者
長谷川 恵理 山下 進太郎 吉田 登 新島 新一 徳川 城治 菱井 誠人 尾﨑 裕 清水 俊明
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.36-41, 2018 (Released:2018-06-14)
参考文献数
16

We report a case of an interhemispheric cyst complicated by subdural hematoma in a 16-year-old boy. He was diagnosed with a right interhemispheric cyst on magnetic resonance imaging (MRI) of the head during examination for an afebrile seizure at 14 years of age. Approximately one year later, a head MRI was performed to investigate the cause of headaches. The interhemispheric cyst was found to have decreased in size, but subdural effusion continuing from the cyst at the right convexity was observed. Two months later, following a severe headache, a head MRI showed hemorrhage at the place of effusion in the subdural space. Additionally, displacement of the brain parenchyma was observed. Emergent drainage of the subdural hematoma was performed, and the patient was diagnosed with chronic subdural hematoma. In this case, the head MR images taken over time showed the development of subdural effusion from the interhemispheric cyst, followed by the development of a subdural hematoma. Slight trauma is known to cause subdural hematoma in patients with arachnoid cysts; upon diagnosis, it is important to inform patients of the precautions to prevent an increase in intracranial pressure and response to the symptoms of increasing intracranial pressure.
著者
黒崎 碧 田中 恭子 江原 佳奈 清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂醫事雑誌 (ISSN:21879737)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.490-495, 2013 (Released:2014-05-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

目的:被虐待児における認知および精神症状の特性について検討する.方法:当院を受診した被虐待児21例を対象に,臨床所見および心理検査所見を考察し,その特性につき検討を行った.結果:被虐待児の精神症状として,境界域知能,多動,衝動性,言語社会性の遅れなどがみられ,認知機能は偏りが大きく,特に習得度が低く,同時処理能力優位である傾向にあった.また,虐待の原因として考えられた要因には患児自身の疾病,養育者側の経済的問題や心身の疾患が存在するケースがみられた.結論:虐待の長期化は,子どもの発達を著しく阻害し,脳へのダメージも大きいといわれており,その後遺症として,発達障害に酷似した症状を引き起こすといわれる.虐待の早期発見と適切な介入等,長期的な心理社会的支援などの確立が急がれる一方で,虐待の影響が発達期の脳発達に及ぼす影響をさらに多角的に検討を深め,多様性に富む臨床像に対する支援の方向性を見出す必要性があるものと思われた.
著者
大塚 宜一 清水 俊明 永田 智
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

食物アレルギーや炎症性腸疾患の病態を解明する目的で、食物の未消化産物との関連を検討した。その結果、未消化産物の明らかな抗原性は確認できなかった。一方、それぞれの消化管粘膜の生検標本を用いmicroarray法、RT-PCR法、免疫組織染法などの検討を行ったところ、新生児・乳児消化管アレルギーにおいてCCL21、CXCL13の、また、小児炎症性腸疾患においてCXCL9、CXCR3などの発現亢進を認め、それぞれの病態に食物の侵入経路であるリンパ濾胞との関わりが示唆された。
著者
大塚 宜一 清水 俊明 鈴木 竜洋
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

新生児一過性好酸球性腸炎(NTEC)、食物過敏性直腸炎(FPIP)、小児炎症性腸疾患の粘膜をMicroarray、RT-PCR、免疫組織染色法を用い解析した。NTEC, FPIPではCCL11、CXCL13の関与が、小児クローン病ではCXCL-9,-10,-11、小児潰瘍性大腸炎ではMMP-1,3,7,10の関与が示唆された。両者で発現亢進が確認されたCXCL13は、B細胞を誘導するリンパ濾胞形成因子であり、新生児期からの食物に対するIgA産生や寛容誘導に深く関わっている。その発現亢進は、小児に欠かせない免疫応答であると考えられる一方、炎症増強に関わっている可能性が示唆された。
著者
大塚 宜一 清水 俊明 藤井 徹 工藤 孝広
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

H.pyloriに感染した小児と成人の胃粘膜に発現する免疫・癌関連分子を、microarrayなどを用いて網羅的に比較検討した。対象は各種消化器症状に対して消化管内視鏡検査を施行した患者とし、H.pylori感染小児群、非感染小児群、感染成人群、非感染成人群の各々6症例、合計24症例の胃粘膜(前庭部・胃体部)を検討した。その結果、成人感染群でより強い発現のもの(OLFM4)、成人・小児感染群で同等に発現するもの(PIM2,REG3A,LCN2,CXCL13)が確認された。発癌の機序として、H.pylori感染に伴う小児期からの癌関連分子の発現の亢進及び慢性炎症性変化の関与が示唆された。
著者
清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.12-23, 2003-05-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
11

エイコサペンタエン酸 (EPA) やドコサヘキサエン酸 (DHA) などのn-3系多価不飽和脂肪酸 (n-3系PUFAs) を多量に含有する魚脂が, 最近様々な分野で注目されている. その作用は, 細胞膜の構成成分としての作用やプロスタグランディン (PGs) およびロイコトリエン (LTs) などのエイコサノイドを介しての作用のほか, まだ解明されていないものもある. 小児科領域では, 新生児・乳児の視機能および脳の発達に対する作用, 抗炎症および抗アレルギー作用・脂質低作用などが実際に臨床応用されている. 当教室での臨床および動物実験においても, 炎症性腸疾患やアレルギー性疾患に対するn-3系PUFAs投与の有効性が確認されている.
著者
鎌田 彩子 大日方 薫 鈴木 光幸 春名 英典 木下 恵司 清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.256-260, 2012-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
20

症例 (13歳4ヵ月女児) は1歳頃より偏食傾向と体重減少がみられ, 1歳11ヵ月時に大球性正色素性貧血, 骨髄での巨赤芽球性変化, 血清ビタミンB12の低下を認めビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血と診断された. ビタミンB12投与後貧血は改善し, 摂食状態や身体発育も正常化した. しかし補充を中止するとビタミンB12値は漸減した. 低ビタミンB12血症の原因として摂取不足のみならず, 吸収障害の関与も考えられた.
著者
山城 雄一郎 大塚 宜一 永田 智 清水 俊明
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

インフォームド・コンセントの得られた川崎病患児14例中9例の小腸粘膜から,患児末梢血単核球を有意に刺激する4種のグラム陰性桿菌,3種のグラム陽性球菌,3種のグラム陰性球菌を検出した.このうち患児2例からはスーパー抗原活性を有するS.aureusが検出された.また検出された細菌のうち1種は偏性嫌気性菌で通常の咽頭/後鼻腔,便培養では得られない細菌群であった.これらの培養上清を同一患児血清と反応させ,Western blottingにより反応した蛋白成分をIgG抗体を用いて検出した.その結果,9例全例からγグロブリン投与前の血清で検出されなかった各細菌の産生物に対するIgG抗体が投与後の血清にて検出されていた.以上より,小腸粘膜から検出された細菌の産生物が,患児単核球を増殖させ,何らかの免疫学的活性をもたらしていること,しかもその細菌産生物の産生時期は川崎病急性期であること,γグロブリンによりその中和抗体が供給されたことより,川崎病が治癒を迎えた可能性が大きいことが推測され,これら細菌産生物が川崎痛の原因物質であることを強く示唆する結果と考えられた.これらのうち2例から得られた56kDa,47kDa,37kDaの3種のバンドについてのみアミノ酸分析が行い得たが,これらはいずれも細菌の内因性蛋白であった.以上のことから,川崎病の病原菌は単一なものではなく極めてheterogeneousなものであることが推察された.
著者
永田 智 清水 俊明 大塚 宜一
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

肥満群の便では健常児と比較してビフィズス菌の有意な減少と便中酢酸濃度の明らかな低下が認められた。肥満群は、観察期間の前半6ヶ月を食事・運動療法のみ、後半6ヶ月は乳酸菌シロタ株含有飲料を飲用させたところ、飲用1ヶ月後に有意な体重減少が得られた。また、飲用3カ月後に中性脂肪値の有意な低下、1カ月後にHDLコレステロール値の上昇傾向、飲用3カ月後に便中ビフィズス菌の有意な増加と酢酸濃度の有意な上昇が認められた。以上より、シロタ株には肥満抑制効果があることが示唆され、その効果は、シロタ株が腸内のビフィズス菌の増殖を促進して、その代謝産物である酢酸などが脂質代謝に影響している可能性が考えられた。