著者
大木 直子
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.19-37, 2019 (Released:2022-09-12)
参考文献数
51

本稿は,「政治分野における男女共同参画の推進に関する法律」(以下,候補者男女均等法)施行後はじめての全国規模の選挙である 2019年4月実施の統一地方選挙のうち議員選挙を取り上げ,自治体レベル別・党派別・男女別にデータを整理し,政治的リクルートメントの観点から,2019年の統一地方選挙において,女性の議会進出がどこまで進んだか,政党は女性候補者をどのように擁立したのか,について明らかにすることを目指す。2015年のデータと比較すると,2019年統一地方選挙では,女性候補者割合,女性当選者割合ともにすべての自治体レベルで過去最高を記録したが,地方議会全体で女性議員の増加率はわずかであった。日本の地方議会への女性の参画は着実に進んだが,なぜ「微増」だったのか。政党所属の議員割合が高く,最も女性の進出度が低かった道府県選を考察した結果,男性候補者が減少傾向であるのに対して,新人の女性候補者数やその当選率,1位当選の女性候補者数は上昇していること,その一方で,新人の女性候補者の増加が一部の政党に留まったことから,女性候補者・当選者の大幅な増加には至らなかったことが明らかになった。
著者
大木 直子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

調査1年目として主に、選挙区定数ごとの女性の政治参加の実態を調査し、定数の増減と女性の立候補、当選の状況を考察した。また、調査2年目として主に、女性候補者リクルートメントに関する聞き取り調査を実施した。それらの調査の結果、①定数が大きければ大きいほど、女性の当選率は上昇傾向にあること、②選挙区定数が5以上の場合、全候補者に占める女性割合はほとんど変化がないこと、③政令指定都市と東京23区ではその他の自治体と比べて全候補者に占める女性割合が高いものの、当選率はより低いこと、④都道府県議選への立候補には所属政党の有無や選挙区内の候補者選考過程におけるジェンダー・バイアスが影響することを確認した。