著者
大木 篤 大槻 眞 岡林 克典 坂本 長逸 末広 逸夫 岡 徹 馬場 茂明
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.81, no.7, pp.1592-1597, 1984 (Released:2007-12-26)
参考文献数
20
被引用文献数
2

体重230~250gの Wistar 系雄性ラットに合成トリプシンインヒビター (TI:20, 50, 200mg/kg) を1日1回10日間経口投与し, TI投与量と膵肥大•増生との関係を検討した. ラットの体重増加量はTI投与群と対照群で差がなかつた. 膵重量および膵蛋白含量の増加はTI投与量0<20mg<50mg=200mgであつた. 膵DNA含量はTI投与量50mg以上でのみ有意に増加したがやはり50mgと200mgでは有意差がなかつた. 膵酵素含量増加の程度をみると, トリプシノーゲンは膵の肥大増生の程度より大きく, リパーゼは膵の肥大増生の程度とほぼ一致していたが, アミラーゼは膵の肥大増生の程度より小さかつた. TIの膵肥大増生使用には一定の限界があり各酵素含量に及ぼす作用も異なつていた.
著者
岡野 邦泰 大槻 眞 前田 光雄 山崎 富生 坂本 長逸 大木 篤 佐伯 進 尤 芳才 神田 勤 馬場 茂明
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.75, no.11, pp.1825-1831, 1978

腎不全患者に発現する高アミラーゼ血症に関してアミラーゼクリアスラン/クレアチニンクリアランス比 (Cam/Ccr) およびアミラーゼアイソザイムの面より検討をおこなつた. 腎不全患者および血液透析患者において高頻度に高アミラーゼ血症が認められたが, アミラーゼアイソザイムの解析でこれらはすべて正常パターンであることが明らかにされ, 膵炎の合併は否定された. 急性膵炎で上昇する Cam/Ccr は Ccr 5ml/分以下の末期腎不全患者においても膵炎と同程度の上昇を認め Cam/Ccr のみからでは両者を鑑別できなかつた.しかしこれらの患者のアミラーゼアイソザイムは正常パターンを示しており, アイソザイムによる検討からCam/Ccr 上昇を示す腎不全患者と膵炎を鑑別することができた.