著者
大槻 眞 尤 芳才 山崎 富生 前田 光雄 岡野 邦泰 坂本 長逸 馬場 茂明
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.190-196, 1977-02-05 (Released:2011-06-17)
参考文献数
33
被引用文献数
1

健康人で絶食, 食餌摂取ならびにglucose負荷時における血清アミラーゼ活性の変動について検討した. 高蛋白食摂取により血清アミラーゼ活性は上昇した. 一方高炭水化物食摂取, glucose負荷では血糖値の変化に逆相関して血清アミラーゼ活性は低下した. この場合のアミラーゼ活性低下はAmylase-1 (膵型) の活性低下にあり, glucoseが膵アミラーゼ放出を抑制し, それが血清アミラーゼにも反映されることを明らかにした. しかし絶食群では血糖値も, 血清, 尿中アミラーゼ活性も共に低下した. この場合もアミラーゼ活性低下は膵型アイソザイムにみられたが, ここではglucose以外の膵外分泌抑制機序が考えられる. このように血清アミラーゼは血糖値, 消化管ホルモン, 神経等を介して調節されており, 消化管系において消化作用を行うだけではなく, 体内において何らかの生理的意義をもつて分泌されているといえる.
著者
小川 和男 山田 省三 寺田 忠史 山崎 富生 本邦 隆次
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.2256-2265, 1985-06-25 (Released:2008-03-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 6

2-Aklylidene-4-arylidene-1, 3-oxathiolan-5-one (III-1a-m) and 2, 4-diarylidene-1, 3-oxathiolan-5-one (III-2a-i) derivatives were synthesized by treating β-aryl-α-mercaptoacrylic acids (I) with alkanoic acid anhydrides (II) or by treating α-acylthio-β-arylacrylic acids (V) with thionyl chloride in dimethylformamide. Basic hydrolysis and methanolysis of III-1 and III-2 in the presence of lithium hydroxide easily occurred to give the corresponding ring-cleaved products, the carboxylic acid (I and II) and the ester (VII and VIII), respectively. The catalytic hydrogenation of the two olefinic bonds of III-2 in the presence of 10% palladium charcoal proceeded easily without ring cleavage to give 1, 3-oxathiolan-5-one (IXa-e) derivatives. The oxidation of III-1 and III-2 with m-chloroperbenzoic acid afforded the corresponding 1, 3-oxathiolan-5-one S-oxide (Xa, b) derivatives.
著者
大槻 眞 坂本 長逸 前田 光雄 岡野 邦泰 尤 芳才 山崎 富生 馬場 茂明
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.359-365, 1978 (Released:2007-12-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1

1-phenyl-1-hydroxy-n-pentane (PHP) をラット十二指腸内へ注入し, 血中セクレチン濃度, 膵液, 膵アミラーゼ分泌量を同時に測定した. さらにPHPの作用に対するソマトスタチン (GIF) の影響もあわせて検討した.PHP 200mg/kg/min の注入により血中セクレチン濃度は, 5分後には前値の4~5倍にまで増大したが, PHP 50mg/kg/h 注入では血中セクレチン濃度は変動しなかつた. しかし両注入量に対する膵外分泌反応には差がなかつた.PHP 200mg/kg/min に対するセクレチン反応はGIFで完全に抑制されたが, 膵外分泌反応は認められた. 以上より PHP のセクレチン分泌作用は比較的弱く, セクレチン以外の膵外分泌刺激因子 (例えばCCK•PZ) に対し, 強い分泌刺激作用を示した.
著者
岡野 邦泰 大槻 眞 前田 光雄 山崎 富生 坂本 長逸 大木 篤 佐伯 進 尤 芳才 神田 勤 馬場 茂明
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化機病學會雜誌. 乙 (ISSN:13497693)
巻号頁・発行日
vol.75, no.11, pp.1825-1831, 1978

腎不全患者に発現する高アミラーゼ血症に関してアミラーゼクリアスラン/クレアチニンクリアランス比 (Cam/Ccr) およびアミラーゼアイソザイムの面より検討をおこなつた. 腎不全患者および血液透析患者において高頻度に高アミラーゼ血症が認められたが, アミラーゼアイソザイムの解析でこれらはすべて正常パターンであることが明らかにされ, 膵炎の合併は否定された. 急性膵炎で上昇する Cam/Ccr は Ccr 5ml/分以下の末期腎不全患者においても膵炎と同程度の上昇を認め Cam/Ccr のみからでは両者を鑑別できなかつた.しかしこれらの患者のアミラーゼアイソザイムは正常パターンを示しており, アイソザイムによる検討からCam/Ccr 上昇を示す腎不全患者と膵炎を鑑別することができた.