著者
國方 弘子 茅原 路代 大森 和子 神宝 貴子 岡田 ゆみ
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.1_37-1_44, 2006-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
21

地域生活をしながら精神科デイケアまたは作業所に通所している統合失調症患者の生活への思いとその影響要因を明らかにすることを目的として,グラウンデッド・セオリー法による質的帰納的研究を行った。結果,《充実感がある》,《病気が安定している》,《自分をこれでいいと思える(自尊心)》,『折り合いをつける』,《自分を受けとめてくれる》,《居場所がある》,《心のよりどころがある》の7個のカテゴリーが抽出された。彼らは《充実感がある》生活を送っていることが見いだされ,『折り合いをつける』ことと《自分をこれでいいと思える(自尊心)》ことは,《充実感がある》生活に至るには必要であり,《病気が安定している》ことは《充実感がある》生活の基盤となっていた。本結果は,在宅生活をする統合失調症患者の生活の質を維持・向上するための看護支援のあり方に寄与できることが示唆された。
著者
大森 和子 加藤 悦 伊藤 セッ 大竹 美登利 好本 照子 阿部 和子 天野 寛子 宮崎 英子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.206-212, 1979-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

The purpose of this paper is to analyze the present state of the managerial housework on food, clothing, housing, and childcare, and to clarify wives overall evaluation of housework. The results of analysis were as follows : 1) 65% of wives went shopping for food everyday, because it is their daily routine.2) Husbands of most wives helped with some housework, like making the bed, shopping for food and so forth. Husbands of employed wives helped more then those of non-employed wives.3) Though many wives valued housework highly, they thought that employment and hobbies were also important. Wives who valued housework very highly believed that children under three years old should be brought up by their mothers.
著者
大森 和子 加藤 敏子 金原 ちゑ子 藤枝 悳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.408-414, 1972

高等学校における衣生活の指導はいかにあるべきかを考えるために, 高校生の家庭の衣生活管理について調査を行なった。家の職業や, 主婦が職業を持つか否かなどの要因が衣生活管理にどの程度影響を与えるかをみるために, 農家と, 主婦が職業を持たない非農家とに分けて, 調査結果を分析した。衣類の使いすて, 着すての傾向については, 主婦と高校生に分けて比較した。<BR>調査対象は, 高等学校生徒の家庭で, 高校は, 青森県, 栃木県, 東京都, 千葉県から1校ずつと, 愛知県から2校計6校を選んだ。各学校に質問紙を送付して, 生徒が家族と話しあって記入するよう依頼した。<BR>結果は, 農家, 非農家とも従来とくらべてクリーニング店の利用度も相当多くなってきており, 農家の方が変化が著しく, 非農家との差は少なくなってきている。<BR>新洗剤や布地などについての情報源は, 農家・非農家ともテレビによるというのが最も多く, 家庭生活におけるテレビの影響力の強さを物語っている。衣類をどこで廃品とするかということでは, 主婦と高校生を比較すると, 年齢のちがいによる生活態度のちがいがはっきりみられた。昔は破れるまで着ることの多かった肌着でさえも, 高校生は, 色があせたり, 布のはりがなくなったという状態で廃品とするものの割合がもっとも多く, スリップでは, 破れるまで着るのは高校生では23.1%程度である。上着類となると, 高校生はもちろん主婦も, 型が古くなったという原因で廃品とすることがふえている。<BR>靴下をのぞいては, 廃品とする原因のうち, 全体として多いのは, 色があせたり, 白いものは黄ばんだり, 布のはりがなくなったりしてという状態が最も多い。上着類ではそれとならんで型が古くなったという原因で廃品とするものが多くなっている。冬ものについては虫害やしみによって廃品とするという者も20%程度はあり, 衣類保管がゆきとどかない状態もあらわしている。<BR>また, 着られる衣類で不用品としたものの処理は非農家は親類や知人にあげるが多く, 仕立直して他の家族が用いたり, 他の物につくりかえるなどや, しまっておくがこれに次ぎ, 農家ではしまっておく, つくりかえるなどの更生による利用が, 親類・知人にあげるのと同程度で, 衣生活の面でも, 農家の方が手をかけることが多く, 非農家では手をかけることが農家より少なく, くずやに出すなどが多くなっている。人間の労力に関しての考え方の変化をあらわしているとみられる。不用品交換会に出す, 社会施設に寄付する, 災害地の見舞として出すなどがほとんどない。このようなことは, 市町村などによる公共的な対策がのぞまれるのである。<BR>以上のような高校生の家庭の衣生活管理の実状からみて, 衣生活指導では, 消費者教育との関連を考え, 次のようなことに注意すべきである。<BR>衣類の手入れ, 保管などは合理的に行ない, その使用価値を十分に利用すること, すなわち衣類をたいせつにすることの必要を認識させる。<BR>衣類の購入, 手入れの方法, 衣類をどの程度で不用とするかの決定などについては, それぞれの家庭の状況を考え, 適切な判断をして, 選択し, 決定しなければならないので, 自主的に適切な選択をすることのできる能力を養うことが必要である。<BR>廃品の処理方法などについては, 社会的な関心を養うことが必要である。