著者
卓 興鋼 吉田 佳督 大森 豊緑
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.254-266, 2011 (Released:2011-08-01)
参考文献数
43
被引用文献数
4 16

近年,わが国においてもエビデンスに基づく医療(EBM)の提供が求められており,その根拠となる学術論文のシステマティックレビューおよびメタアナリシスの重要性は,ますます高まっている。システマティックレビュー報告は,疾病の診断および予後,予防対策などに広く活用されている。これまでいくつかの研究でシステマティックレビュー報告の質が評価された結果,報告の質は全体的に不十分であった。1996年,メタアナリシス報告の質を向上させるために,国際研究グループが「QUOROM(メタアナリシス報告の質)声明」という指針(guidance)を作成した。さらに,QUOROMの項目等について検討してきた運営委員会は,2009年6月,その改訂版を作成し,「PRISMA(システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目)声明」と名づけた。このPRISMA声明では,システマティックレビューの概念および実践面におけるいくつかの発展が見られる。本稿では,著者らがこれまでシステマティックレビューおよびメタアナリシスを行ってきた経験を踏まえ,PRISMA声明の概要と展望について概説する。
著者
鈴木 和彦 大森 豊緑 川村 悦春
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.271-275, 1995-08-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1

採卵鶏 (Dekalb XL-L) を用い, 飼料に亜麻仁油を2%添加し, α-リノレン酸強化鶏卵 (以下, α-リノレン酸卵; ω3/ω6比0.44) を得た。このタマゴを1日2個, 普段魚介類の摂取が少なく, 血漿ω3/ω6脂肪酸比の低い女子学生 (年齢19~21歳) 4名に3週間摂取させ, その血漿脂質性状と血漿ω3/ω6脂肪酸比への影響をみた。血漿コレステロール値やトリアシルグリセロール値はやや低下の傾向を示したが, 有意な減少ではなかった。ω3系脂肪酸では, α-リノレン酸やイコサペンタエン酸は上昇傾向を示し, ドコサヘキサエン酸は統計的に有意な上昇を示した。ω6系の脂肪酸では, リノール酸はほとんど変化を示さなかったが, アラキドン酸は有意に低下した。これらの結果, 血漿ω3/ω6脂肪酸比は, α-リノレン酸卵摂取前では0.07±0.03 (mean±SD) と低い値であったが, α-リノレン酸卵の3週間摂取後では, 0.16±0.08と有意に高い値に変化した (p<0.01)。したがって, α-リノレン酸卵は魚介類摂取が少ないために生ずると考えられる血漿低ω3/ω6脂肪酸比を高めるために有効な食品になるかもしれない。本研究は (社) 日本栄養・食糧学会倫理委員会の承認を得たものである。本稿の一部は第48回日本栄養・食糧学会 (福岡, 1994年) において発表した。なお, この共同研究は大森豊緑博士が倉敷西地域保健所長在職時に行った。
著者
卓 興鋼 吉田 佳督 大森 豊緑
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.254-266, 2011
被引用文献数
16

近年,わが国においてもエビデンスに基づく医療(EBM)の提供が求められており,その根拠となる学術論文のシステマティックレビューおよびメタアナリシスの重要性は,ますます高まっている。システマティックレビュー報告は,疾病の診断および予後,予防対策などに広く活用されている。これまでいくつかの研究でシステマティックレビュー報告の質が評価された結果,報告の質は全体的に不十分であった。1996年,メタアナリシス報告の質を向上させるために,国際研究グループが「QUOROM(メタアナリシス報告の質)声明」という指針(guidance)を作成した。さらに,QUOROMの項目等について検討してきた運営委員会は,2009年6月,その改訂版を作成し,「PRISMA(システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目)声明」と名づけた。このPRISMA声明では,システマティックレビューの概念および実践面におけるいくつかの発展が見られる。本稿では,著者らがこれまでシステマティックレビューおよびメタアナリシスを行ってきた経験を踏まえ,PRISMA声明の概要と展望について概説する。