著者
鈴木 和彦 大森 豊緑 川村 悦春
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.271-275, 1995-08-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1

採卵鶏 (Dekalb XL-L) を用い, 飼料に亜麻仁油を2%添加し, α-リノレン酸強化鶏卵 (以下, α-リノレン酸卵; ω3/ω6比0.44) を得た。このタマゴを1日2個, 普段魚介類の摂取が少なく, 血漿ω3/ω6脂肪酸比の低い女子学生 (年齢19~21歳) 4名に3週間摂取させ, その血漿脂質性状と血漿ω3/ω6脂肪酸比への影響をみた。血漿コレステロール値やトリアシルグリセロール値はやや低下の傾向を示したが, 有意な減少ではなかった。ω3系脂肪酸では, α-リノレン酸やイコサペンタエン酸は上昇傾向を示し, ドコサヘキサエン酸は統計的に有意な上昇を示した。ω6系の脂肪酸では, リノール酸はほとんど変化を示さなかったが, アラキドン酸は有意に低下した。これらの結果, 血漿ω3/ω6脂肪酸比は, α-リノレン酸卵摂取前では0.07±0.03 (mean±SD) と低い値であったが, α-リノレン酸卵の3週間摂取後では, 0.16±0.08と有意に高い値に変化した (p<0.01)。したがって, α-リノレン酸卵は魚介類摂取が少ないために生ずると考えられる血漿低ω3/ω6脂肪酸比を高めるために有効な食品になるかもしれない。本研究は (社) 日本栄養・食糧学会倫理委員会の承認を得たものである。本稿の一部は第48回日本栄養・食糧学会 (福岡, 1994年) において発表した。なお, この共同研究は大森豊緑博士が倉敷西地域保健所長在職時に行った。
著者
松山 久義 大野 弘 鈴木 和彦 柘植 義文 山下 善之 橋本 芳宏
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

次のような成果を得た。各項目の番号は,研究報告書の章の番号に対応する。(1)2種類のCUSUM法(Crosier法とHealy法)が多数の外乱に晒されているプロセスの状態監視に有効であることを確かめることができた。(2)故障が致命的な事故を引き起こす恐れがある設備の管理において,次回の保全時期と作業内容を合理的に決定する組合せ論的アルゴリズムを開発した。(3)クラスタリング,ICA技術を利用して,汚れ,腐食の進展を検出するための新たな手法を開発し,故障した設備を取り除く作業手順の合成法を示した。(4)回分式プロセスの安全設計を支援するためのリスク評価システムを開発した。このシステムは,事象の深刻度と発生頻度から定量的にリスクを評価するだけでなく,回分式プロセスにおいて発生する可能性のあるあらゆる事故のシナリオを明確に与えることができる。(5)複合した原因によって発生した異常状態において原因を探索するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは,化学プロセスの状態変数間の因果関係の遅れをデータとして利用することにより高い精度で異常の原因を診断することが可能である。このアルゴリズムの有効性を流動接触分解装置の動的シミュレータを用いて確かめた。(6)異常になったプロセスを正常復帰させる対応措置の自動剛性を行うアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは異常診断システムと連携し,原因の候補集合に共通の対応措置が見いだされた場合には,それ以上候補を絞り込むことを中止する。また,異常診断のために高次統計量を利用する方法をも開発した。(7)統合的設備管理支援システムを構成する,ストレス排除,予防保全,冗長化,運転支援システムなどの合理的な役割分担を決定する方法を開発した。