著者
大浦 律子 吉川 清兵衛
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.207-212, 1989-03-05 (Released:2010-03-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

Redox potentials of various bleaching agents and the fiber model substances were measured in order to estimate the oxidizing power of them.Bleaching agents used were sodium hypochlorite, hydrogen peroxide, sodium percarbonate, sodium perborate and sodium hydrosulfite. On the other hand, glucose and glutathion were adopted as the model substance of cellulose and wool fibers respectively.Results obtained were as follows.1) The redox potential of sodium hypochlorite was higher in plus value than that of hydrogen peroxide. That is to say, the bleaching agents of perchlorite series had more intensive oxidation power than that of peroxide series.2) Every redox potentials of peroxide bleaching agents used in these experiments were nearly equal. Sodium hydrosulfite exhibited minus potential.3) The potential of these bleaching agents lowered with the increase of pH, with point of infection appearing in diagram.4) The potential of glucose and glutathion were lower than that of peroxide series, and with the increas of temperature the potential of that became lower.
著者
大浦 律子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.124, 2004 (Released:2005-04-02)

目的:家庭洗濯によって排出される排水は、下水道がまだ完全に整備されていない現状では、河川水への負荷を与えている。環境負荷を低減するための洗浄剤のビルダーとして、酸素系漂白剤の有効利用を試みた。洗浄補助剤としての漂白剤の利用は、近年の除菌習慣の高まりと共に実用されつつあるが、色素汚れの除去にはまだ不十分である。本研究は市販漂白剤入りの洗剤とモデル洗剤との比較を行いながら、漂白剤を配合することによる界面活性剤の減量化を図った。また、酸素系漂白剤の河川水中での分解について検討した。方法:漂白剤入り市販洗剤及びモデル洗剤を用いて洗浄実験を行い、洗浄性を比較した。洗浄実験には湿式汚染布および紅茶汚染布を用いた。洗浄性は洗浄効率の算出、洗浄後の汚染布の分光反射率曲線、蛍光強度の測定により評価した。また酸素系漂白剤の河川水中での分解速度を滴定法により測定し、河川水中への影響について調べた。結果:界面活性剤を10_から_20_%_減量し、この減量分の酸素系漂白剤を配合すると、湿式汚染布の洗浄効率は低下せず、色素汚れの除去率は上昇する。漂白剤配合の市販洗剤では色素除去には特に効果はなく、洗浄による白さは蛍光増白剤に依存していることが確認された。酸素系漂白剤の環境負荷について、河川水中での分解速度はpH、温度ともに高いほど速く、特に過炭酸ナトリウムについては夏季ではかなり速く分解する。界面活性剤の濃度が濃くなるとCOD値も高くなるため、界面活性剤の減量化が望まれ、このための対策の一つとして漂白剤の有効利用が望まれる。
著者
大浦 律子 吉川 清兵衛
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.183-188, 1986-03-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

過酸化系漂白剤なかでも過炭酸ナトリウムの分解速度はpHにより大きく影響される.この現象をさらに検討するため本報では, 過酸化水素の分解速度, 漂白力とpHの関係を測定し, 過酸化水素に炭?ナトリウムを加えた系 (モデル過炭酸ナトリウム) との比較を行った.さらに, 洗剤中に配合されている無機ビルダー (硫酸ナトリウム, リン酸ニナトリウム, メタケイ酸ナトリウム) を共存させた系についても検討した.また, 過炭酸ナトリウムに, これらの無機ビルダーを共存させた系で, 無機ビルダーが分解速度におよぼす影響について検討し, つぎのような結果を得た.過酸化水素に炭酸ナトリウムおよびメタケイ酸ナトリウムを加えると, 過酸化水素単独にくらべ, 分解速度は速くなり, これらの無機ビルダーは, 分解促進作用がある.しかし, 硫酸ナトリウムやリン酸ニナトリウムを加えても, 過酸化水素の分解速度には, ほとんど影響しない.過酸化水素に無機ビルダーを加えた場合の漂白力への影響は, 硫酸ナトリウムやリン酸ニナトリウムでは, 中性から弱アルカリ性域で, わずかに高くなるが, pH 11以上では, ほとんど変わらない.また炭酸ナトリウムでは中性~酸性域では相当の, また弱アルカリ域ではわずかの漂白効果の向上がみられた.またメタケイ酸ナトリウムを加えた場合は, 強アルカリ浴でも漂白力は低下しなかった.過炭酸ナトリウムにメタケイ酸ナトリウムを加えるとpH9.5までは分解が起こらず, 弱アルカリ浴では, 過炭酸ナトリウムの分解を抑制することが認められた.本研究の一部は昭和59年度日本家政学会年次大会 (第36回) で発表した.
著者
大浦 律子 南後 守 徳田 順子
出版者
大阪薫英女子短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

〈研究の目的〉繊維や河川の汚れ除去に漂白剤の役割は重要である。しかし近年、塩素系漂白剤がダイオキシン生成の一因となることが指摘され、環境保全の面から酸素系漂白剤の利用が注目されている。本研究は繊維や環境にやさしい酸素系漂白剤の有効利用のために、できるだけマイルドな条件で活性化できる諸種のポルフィリンの金属錯体を合成し、触媒として使用することを試みた。〈実験方法〉過酸化系漂白剤には過酸化水素を、触媒にはポリエチレングリコールと結合したマンガンポルフィリン誘導体を、被漂白物質にはC.L.Acid Orange 7とBC-1(紅茶汚染布)を用いた。分光光度計(島津製作所UV-160)を用い、色素の吸光度変化から擬一次速度定数(K_<obs>)を算出し、色素溶液の退色速度について検討した。また、分光式色差計(日本電色工業SE-2000型)を用い、汚染布の反射率の変化から漂白率を算出し、汚染布の漂白効果について検討した。〈結果〉pH8.0という温和な条件で漂白を行った結果、過酸化水素のみではほとんどC.I.Acid Orange 7の退色が見られなかったが、ポリエチレングリコールと結合したマンガンポルフィリン誘導体存在下では色素の退色が促進された。ポルフィリンの骨格をフッ素化したマンガンポルフィリン誘導体よりも塩素化したマンガンポルフィリン誘導体のほうが大きな効果が認められた。また、ポリエチレングリコールと結合したマンガンポルフィリン誘導体を触媒とした過酸化水素による漂白が酵素類似の反応として取り扱えることがわかった。さらに、汚染布での漂白効果においては、本条件下では顕著な差が認めらなかった。