著者
大澤 弘典 H. OHSAWA
出版者
東京理科大学
雑誌
理学専攻科雑誌 (ISSN:02864487)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.6-10, 1996-12-14

生徒に現実場面を基にした問題解決の体験をさせるために、陸上競技のリレー場面を取り上げた。生徒自身でデータを抽出し、そのデータから回帰線を予想・判断させた。その過程でグラフ電卓を問題解決の道具として利用した。また、総合的に生徒の学習を捉え、数学の授業に限らず他教科(体育)との合科として指導展開した。その結果、(1)グラフ電卓を利用することにより、扱いの困難であった現実場面問題の教材化が、例えば関数的な内容において、中学生(3年)に対しても可能である。(2)生徒の情意面では、単に数学の有用性の感得・体感に留まらず、原題材への再検討や新たな問題抽出の意識の高まりが少なからず発生する。(3)合科的授業展開により、問題解決の有機的な効率化が図れる等が明かになった。
著者
大澤 弘典
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.57-62, 2014 (Released:2018-04-07)
参考文献数
8

算数において,「同等と見なす技術」が具体的にどのように取り扱われているのかを明らかにするために,小学校第1学年用の教科書(学校図書,平成26年度用)に見られる記述内容について調査し,分析・考察した。その結果,次の知見を得た。①同等と見なす技術に係わる記述は,第  学年の教科書から見られる。②また,それらの記述は児童が違和感なく直感的に同等と見なすことができるように,基底構造としての絵や図などを駆使し記述されている。③さらに,それらの記述は数学的な拡がりを包含し,直面の算数指導にばかりでなくその後の授業展開や教材開発に利用可能である。
著者
大澤 弘典
出版者
東北数学教育学会
雑誌
東北数学教育学会年報 = Journal of Tohoku Society of Mathematics Education (ISSN:0910268X)
巻号頁・発行日
no.34, pp.25-34, 2003-03-31

数学的遠近法の教材化について,先行実践(大澤,2001,2002 ; 小関,2001,2002 等)に見られる「既習内容の深化」とは異なる視座からの教材化の可能性を模索した。数学的遠近法を「文化的な遺産」の一つとして捉え,Albertiによる作図法への注視を試みた。彼の作図法を学習者は具体的にどのように理解しうるのか。そこでの学習者の振る舞いおよび中学校数学の関与の可能性を分析・考察した。その結果,次の知見を得た。学習者は彼の作図法を手続きとして容易こ理解できる反面,その手続きの意味の把握に際し幾つかの疑問や困難さを持ちうる。学習者の抱くそれらの疑問の解消に,中学校数学は少なからず貢献しうる。Alberti の作図法を題材とした授業は,中学校においても十分に可能であることがわかった。
著者
大澤 弘典 森川 幾太郎
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は,数学の応用,モデリングといった視座からの実践的な研究であり,とりわけ中学校の数学の授業のあり方に焦点をしぼり研究を推進している。これまで授業で取り扱いが困難であるとされた題材の教材化を目指し,現実世界における問題を,数学の授業で積極的に取り扱おうと試行している。また,研究の方法としては,いわゆるアクションリサーチを採用している。実際の授業研究に対し,研究者として単に参与観察の立場に留まらず,指導者(授業者)として授業の構想や展開に直接的に深く関わる方法を採用している。本研究で開発した主な教材は,「生活の中の数学(学校図書)」にまとめ発信している。そこでは次のような20の教材を具体的に紹介している。第1話 鶏卵の重さを調べる 第2話 ひと裁ち折り紙:アルファベットの巻き第3話 最適なバトンパスを求める 第4話 三角グラフの利用第5話 群論を背景とした模様づくり 第6話 個人的な意志決定と社会的意思決定第7話 じゃんけんに必勝法がある!? 第8話 2時+3時=?第9話 ミカンの表面積を探る 第10話 日常的表現と数学的表現第11話 スライドパズルの探究 第12話 フラクタル模様からの刺激第13話 ISBNの秘密を探る 第14話 誤り訂正符号の教材化第15話 数学で生け花を捉える 第16話 Kielaというアフリカの遊び第17話 現代暗号に活きる数学 第18話 あみだくじのベクトル的な扱い第19話 高度測定板による測量 第20話 πの探究